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小泉さん、企業の就労実態をぶっ壊してください(5)

【PJ 2005年10月03日】− 第五回:夫婦で「1.5稼ぎ」する道を選んだオランダ。(全7回)

小泉さん、政府では「経済教育」を推進されていますよね。(経済教育に関する研究会中間報告書 概要)7月の経済教育サミットには私も参加しました。「経済合理性」の考え方をどう日本社会に根付かせるか、ですよね。

 「生活と仕事」の調和に向け、企業組織が一歩を踏み出せるかも「経済合理性」の視点から問題を眺められるかにかかっています。会社と社員が、お互いのニーズを出し合って、「経済合理性」の視点から議論することが大事です。そうですよね、小泉さん。

夫婦で「1.5稼ぎ」する道を選んだオランダ
 「経済合理性」から改めて社員のニーズを探ってみた。「時間」と「場所」の多様化のニーズを。ここまで「就業形態」の多様化は正社員以外の形態、つまりパート社員や契約社員の拡大という形で進んでいるが、そのことが逆に、正社員の「希望」と「実態」を乖離させ、同時に経営側との認識のズレを生じさせている。アンケートによると、正社員の「希望」は「生活優先」の方がはるかに多い。しかし従業員の「現状」は「仕事優先」とする割合が高い。

 従業員の真のニーズはどのあたりにあるのか。『短時間正社員(働く時間が短い正社員)』と『在宅勤務』の二つの制度について調査した。『短時間正社員』を「希望する」のは、どちらかといえば希望するまで含めると、男性20.7%、女性29.4%。『在宅勤務』は、どちらかといえば希望するまで含めると、男性37.5%、女性31.1%、と男性の方が多い。夫婦の就業形態の組み合わせでみると、男性で夫婦とも正社員の場合に、両制度とも「希望する」が高く、妻が無業の場合との差がみられる。

 『短時間正社員』を希望する場合に、どのような働き方をイメージしているのか。短時間正社員の場合の勤務時間数は、「フルタイム正社員の1/2程度」が46.8%、「3/4程度」が48.6%で半々で、男女差はみられていない。また、時間当たり賃金水準については、「フルタイム正社員と同じでなければ受け入れられない」は男性32.8%、女性20.7%で、「9割程度」(男性22.9%、女性31.5%)、「8割程度」(男性31.0%、女性36.9%)と、1〜2割以上の賃金減少があってもかまわないとする割合が多数を占めている。

 男性は短時間正社員を希望している者の方がフルタイム正社員に近い賃金水準を希望する傾向があるが、女性は反対に希望者の方が賃金格差を容認する傾向がみられるのも面白い。ライフステージ別にみると、子どもが未就学、子どもが小学・中学の場合には女性の希望割合が高い。一方で男性は、「介護を必要とする家族がいる時期」、「60歳代前半の高齢期」、「自己啓発等の学習活動に取り組みたいと考える時期」、「ボランティアを含む社会活動に取り組みたいと考える時期」などで比較的高い。男性が学習活動や社会活動の時に短時間正社員や在宅勤務を希望する割合は、子どもが未就学時に比べても高い数値となっている。意外なところに「真」のニーズがありそうだ。

 更に興味深いのは、企業の価値観によるフレである。制度導入企業と制度未導入企業で傾向の異なる項目がある。「雇用の維持」についてはいずれの企業でもトップにあげられている。しかし、制度未導入企業では「人件費の削減」が2番目に多い回答である。一方で制度導入企業は、「人件費の削減」以上に、「人材の有効活用」が上位で、「社員の定着」や「社員の勤労意欲向上」をあげる企業割合は、未導入企業に比べて高くなっている。制度導入企業は、社員の確保、定着、モチベーションの向上といった、制度の積極的な側面を評価していることがうかがえる。

 夫婦で「1.5稼ぎ」をする道を選んだオランダでは、女性の就業率が上昇する一方で、失業率が大幅に低下し、さらに男性の家事参加が進み、90年代に出生率が上昇している。「真」のニーズを見極めた、会社と社員の「win-win」の制度設計が求められている。【了】

○関連URL
 ・「正社員の働き方は変わるのか」

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

パブリック・ジャーナリスト 神宮司 信也【 東京都 】
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