ポイントを貯めるほど、お金は貯まらない

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「お金に縛られない生活」を手に入れるにはどうすればいいのか。雑誌「プレジデント」の特集「億万長者入門」では、34歳で「お金に不自由しない状態」を実現した田口智隆さんに、20代から60代までの5つの年代ごとに赤字家計の再生法を聞きました。第3回は世帯年収900万円という40代夫婦へのレクチャーです――。

■子供一人、手取り世帯月収約46万で赤字は毎月約8万

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40代:今村家の場合

家族構成
夫 44歳 食品会社人事
妻 38歳 アパレル販売
長男 14歳
年収
額面 夫 600万円 妻 300万円
うちボーナス 夫 150万円 妻 35万円
貯蓄額
120万円


夫は新卒以来勤めている会社では真面目に働いてきたが、昇進に対して閉塞感を感じている。年収の大幅アップも望めない中、転職も考えているが、息子の教育費を考えると冒険はできない。家計は妻が取り仕切っているが、細かくお金の計算をするのが苦手。住宅ローンや保険料、通信費など、見直すのが面倒でそのままにしている。

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▼住宅ローンも保険料も通信費も、初期契約のまま放置。

■年収は頭打ち 赤字削減の妙策はコレ

年収が頭打ちで、この先、大幅アップは望めないという40代の夫。私が強く勧めたいのは、会社に期待するのはやめて、会社以外の場所で収入を得る方法を考えることである。

会社からもらう給料だけが収入ではない。投資でリターンが得られればそれも収入だし、副業で収入を得てもいい。私の知人は英語を猛勉強して通訳案内士の資格を取得し、会社の休みに外国人向けの観光ガイドで副収入を得ている。あまり役に立たない資格を複数取得するより、英語を習得したほうがずっと実用的で副収入が得やすいし、本業にも役立ち、収入アップに繋がる可能性が高い。かくいう私も現在、オンラインで英会話の勉強中だ。

メーンの収入に加えてサブの収入を得るということは、収入が増えるということに加え、家計が安定する、というメリットもある。片働きより共働き、収入源が1つより、2つ、3つのほうが安心だ。その意味でも、多くの仕事を抱えて残業代を稼ぐより、残業をやめて副業をする、語学力をつけるほうがいいのである。

今村家では月に8万円近くも赤字が生じており、改善は急務といえる。気になるのが、夫の小遣い5万円。「これくらいは必要だ」と言いたいところだが、そのほとんどが部下へのおごりに消えている点には改善の余地がある。ルールを決めてはどうか。私は自分から後輩を誘った場合は、全額自分で払う。しかし定例の飲み会やその場の流れで飲みに行くときはおごらないと決めている。一昔前とは異なり、上司といえども大盤振る舞いできないことは若い世代も承知している。無理のない付き合いで円滑な人間関係を築くというのが、今の時代に合っている。

ポイントカード中毒ではお金は貯まらない

教育費についても、かけすぎていないかをじっくり考えてほしい。私は以前、塾の講師をしていたが、「お金をかける=学力アップ」ではないと断言したい。学力アップのために必要なのは「勉強時間を増やすこと」で、家で復習しないのでは意味がない。私は講師時代、勉強する意味を熱心に伝えた。いい学校に入るために勉強せよ、と言っても子どもにはピンとこない。「将来の選択肢が広がる」ということを丁寧に伝えることが真の教育で、それなくして成績は上がらないのだ。塾に行けば勉強するだろうといった安易な考えで教育費をかけても、それは浪費であり、投資にならない。

もうひとつ、肝に銘じたいのは、家計を放置せず、定期点検することである。家計改善というと、食費や光熱費などに目がいきがちである。たしかに食費や光熱費は節約がしやすいが、1パック20円安いほうの卵を買ったり、こまめに電気を消したりしても、いったいどのくらいの効果があるというのか。また、よく行くお店のポイントを貯めて支払いに充てるなどの努力は、財布がカードで分厚くなるだけ。「チリは積もってもチリのまま」なのだ。ポイントや割引き目当てで複数のデパートでクレジットカードをつくるのも考えもの。購入時にはオトクだと感じるかもしれないが、結果的に買いすぎに繋がっていないだろうか。

一方で、住宅ローンや保険料などは、長く放置していてはいけない。住宅ローンの返済は定期的な出費として見過ごしがちだが、年数が経てば金利が下がった、自身の返済能力が上がったなどの変化もある。高い金利のままなら、別の銀行に借り換えよう。残債が2000万円、残り20年のローンで金利が3%から1%に下がれば、毎月返済額は約1万9000円も安くなる。

生命保険も同様で、ここ数年、保険会社間の競争が進み、割安な商品が多数登場しており、乗り換えればより保障が充実したり、保険料負担が安くなる可能性も高い。資産が増えていれば必要な保障額は小さくなるため、保障額を減額し、より有効な保障を得ることもできる。

チリを積み上げることに躍起になるよりも、1度見直せば大きく改善できるものを見直したい。

富豪の掟●見直し効果が大きいものを見逃さない

(ファイナンシャルインディペンデンス代表取締役 田口 智隆 構成=高橋晴美)