ヤフーは、新執行体制への移行と代表取締役の異動を発表した。新執行体制と異動は4月1日付け。

 新たに代表取締役社長CEOに就任するのは川邊健太郎氏。CEOとCOOを統合した執行体制になるほか、社員に近い年齢に若返りを図ることで、選任された常務執行役員とともに事業の拡大に取り組む。

宮坂学氏

川邊健太郎氏

 具体的には、現社長の宮坂氏の下で大きく進展した「スマートフォンの会社」という目標に加えて、2018年度からは「データの会社」に新たに挑戦していくとしている。背景として、今後も市場環境が急速に変化していくことや、インターネット業界を勝ち抜くために、新たな挑戦と経営幹部の若返りが重要な要素としている。

 代表取締役社長の宮坂学氏は取締役会長に退き、新会社「Zコーポレーション」の代表取締役に就任、ヤフーの事業とは切り離した新領域に挑戦していく。

蓄積したデータを活用、「すべての事業に効いてくる」

 24日には記者会見が開催され、現社長の宮坂学氏と新社長の川邊健太郎氏が登壇し、新執行体制などについて語った。

宮坂氏(左)と川邊氏(右)。気心の知れた仲ということで、笑い合う場面も見られた

 会見で宮坂氏は、スマートフォンやEコマース事業の進展について「ある程度大きな前進ができた」と一定の評価をするものの、「まだまだ」という認識。「スマートフォンの会社になるとは、(宮坂氏が社長に就任した)6年前に掲げたテーマ。新しいテーマを掲げる時期にきている。新しい山に登るには、新しいリーダーで行うことが適切だろうと考えた」と、事業の変化に合わせて社長自身を含む執行体制を変更することや、社員に近い年齢に若返りを図ることは自然な流れとした。また同氏は早くから後継者の育成に取り組んできたことも明らかにし、川邊氏とは直接で10年以上、一緒に事業に取り組んできたことも紹介している。

 新体制では「スマートフォンの会社」という従来の目標に加えて、「データの会社」になることが表明されている。川邊氏は「データの会社」について、ヤフーが日々蓄積している膨大なデータを、広告プラットフォームを含むメディア事業や、Eコマース事業などに活用し、便利で効率が良くなるようにしていくことと説明している。これらは自社での活用だけでなく、他社を支援するソリューションとして提供していくことも視野に入れている。

 川邊氏は「データの力を解き放つ」と語り、インターネット化によって蓄積するようになったデータについて、「データドリブンなインテグレーション(データ主導の活用方法と提供)が大変重要で、そこに価値が移っていく」と大きな市場になることを示唆した。

 43歳で1970年代生まれの川邊氏は、「インターネットを心底愛している」と自身について語った他、インターネットにはまだまだ伸びしろがあるとし、「未来を作りにいく」と意気込みを語っている。

携帯電話向け事業、動画や決済などさまざまな分野を強化へ

 携帯電話関連の事業については、2014年に「ワイモバイル」を立ち上げるものの、資本参加(イー・アクセスの買収)はその後に撤回、サービス連携で事業を展開してきたことに関連し、川邊氏は「MVNOの発展や、楽天が携帯電話事業への参入を表明した今、当時の我々の戦略はある意味で後の世につながることだったと思う」とした上で、今後も携帯電話事業への参入ではなく、ソフトバンク以外も含めてキャリアとの連携を深めることで、事業やサービスの拡大を図っていく方針を明らかにしている。またヤフーのIDを利用しているスマートフォンなどのユーザーに対して、「お得なことをどんどん提供していきたい」ともしている。

 宮坂氏も、「スマートフォン事業で1番の会社になったとは思っていない。課題は山積しており、アプリは他社の後塵を拝している。ユーザーをもっと増やしていきたい。Eコマースももっと使い勝手を良くして、動画サービスも強化したい。モバイル決済、フィンテックは、今年はものすごく強化していく。データドリブン(データ主導)の方針も、携帯電話向けの事業に貢献する」と語り、継続して強化していく方針を語っている。

2012年、ヤフーの新CEO就任を発表した当時の宮坂学氏(中央)

2014年、ヤフーがソフトバンク傘下のイー・アクセスの買収を発表、携帯電話事業に参入するとして新会社を「ワイモバイル」と名付けたが、買収だけは白紙撤回された

2014年、ワイモバイルへの資本参加は見送られたが、六本木のショップオープン記念イベントに出席した(右)

宮坂学氏(左)と川邊健太郎氏(右)