Googleマップのタイムライン「行動履歴」に見る、自動記録されていく新しい情報の行方を考える

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最近、自転車で走りはじめたこともあり、行ったことのある、いまさらマップを検索せずに行ける場所でもよくGoogleマップでルート検索をするようになった。

すると、「☓☓に昨日訪れましたか?」と表示されることにふと気づいた。
これが、Googleマップの「タイムライン」機能だ。

2017年にはスタートしているサービスなので"今さら"感がある。
しかし、知らずに機能をオンにしたまま、ログとして記録されているという人も意外と多いのではないか。

◎Googleマップのタイムライン機能とは
これは、ひとことで言うと、移動した距離、場所、手段をとにかく記録しますというもの。

あえてルート検索をしなくとも、iPhone / Andoridなどスマートフォンのセンサで取得された値から推定されるものが記録されている。
たとえば、自宅から習い事の場所、打ち合わせの場所などが記録されているわけだ。

使い方は

・デバイス側の「Googleマップ」アプリに「位置情報」を使用する権限を許可
・Googleアカウントのロケーション履歴をオン

にする。

筆者の場合、自分で上記の機能をオンにした記憶はないのだが、ちょうどiPhone 7に変えたときから履歴が記録されている。この頃からデフォルトでオンになっていたということだろうか。とはいえ、その後、半年以上ロギングされていたわけで、個人的には結果オーライだ。




実際には、「おそらくここだろう」という形で候補を提示され、確認することで確定になる場所もある。また、移動の手段などもマニュアルで修正する必要がある。
筆者の場合の履歴からいうと、地下鉄や電車であれば誤認識はあまり発生せず、徒歩か自転車かの判断がときおりうまくいっていない。

◎意識させないライフログ実現の課題
ここ数年のセンサーデバイスの発展で、これまでなかなか検知できなかった情報が数値化できるようになった。

しかし、1つ1つの数値データは点でしかなく、そこから"何か"をとらえるためにはデータの集合が必要だ。どんな種類のデータであれ、まずデータの収集が必要なのだ。

Googleマップが記録したタイムラインの表示を見て「おもしろいな」と感じたのは、やはり過去の自分の行動が履歴で蓄積されていたからだ。
単に機能そのものに"気づいた"のであれば、そういう便利な機能があるのだと思っただけだたろう。

自分の足跡がそこにあったから驚いたし、おもしろさを感じたのだ。

となると、特にライフログの場合、いかに利用者に意識させずにデータを取っていくかというのが重要な要素の1つといえるだろう。

しかし個々人にひも付いたライフログの収集・活用は、プライバシー保護との兼ね合いが難しい。

行動履歴は重度のプライバシー情報になる。
誰だって、知っているにせよ、知らないにせよ、誰か第三者に自分の行動を知られるのは監視されているみたいで気持ちが悪いし、いまのご時世、危険もある。

もちろん、今回の件、実際、サービス提供側もどこかでは確認させていたはずだ(それでも、おそらくデフォルトでオンになっていることの是非は議論がわかれるところだが)。

IoTにおけるデータ収集全般に言えることだが、これまでになかった新しい情報を扱うビジネスでは、まず導入の敷居をいかに下げて、利用者に使用を持続させ、データを収集するのか?
そこにいまサービス提供側は腐心している。
データが集まらないことには、次のステップに進まないからだ。

たとえばウォッチ型のデバイスもそうだ。
歩いた歩数や消費カロリー、心拍数、睡眠データなどの生体情報が取得できる。
始めてみれば、生活の質をあげることには確実につながる。

しかし、こうしたメリットは使ってみて初めてわかることだ。

始めるまでのハードルをどう越えさせるのか。
新しいハードウェアを導入して、充電して、設定する。これはかなりモチベーションが高くないと厳しい。

そうなると、何か別のアプローチが必要になる。
そこで起きているのが、ハードウェアで儲けるだけではないビジネスモデルだ。
ウォッチ型デバイスなど、法人向けのビジネスとして展開し、従業員の健康管理のために企業が導入していたり、保険会社の新しいサービスに組み込まれたり、といった動きがすでに出ている。

もちろん、収集したデータを使って何をするのか(どこでマネタイズするのか)によって解決すべき問題は違ってくるため、一概には言えないことだが。

とはいえ、ユーザーにどんな体験を提供するものなのかをイメージさせることが重要だと言える。そのために、一定期間継続して使用しないとわからない。
まずは継続使用させるモチベーションをあげる演出が必要だ、ということになる。

ちなみに、このGoogleマップのタイムラインは完全に非公開でアカウント個人にしか見ることができないとされている。
ただ今後、何らかの「犯罪捜査のため」として、捜査機関に提出を求められたらGoogleはどうするのか、というのは気になるところだ。


大内孝子