今回イヌにまつわる英語表現をご紹介します(写真 : YUMIK / PIXTA)

アメリカ人の同僚ジョンが、企業の研修担当者数名から年賀状をもらったとのこと。「初めて年賀状をもらった」と大喜びして、机に並べて飾っています。年賀状に描かれたイヌたちを見て、「今年は戌年だね! 実はボクは年男なんだよ」と、ずいぶん干支のことをよく知っている様子なので感心してしまいました。「戌年生まれは正直者なんだよ!」と自慢げに話す様子も、妙に微笑ましい。

今回は、戌年にちなんでイヌにまつわる英語表現をいろいろと紹介していきます。

英語でイヌのイメージは?


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英語にはDogs are man's best friend. (イヌはヒトの最良の友人)という表現もあり、忠犬ハチ公のような「誠実」「忠実」というイメージもあります。「戌年生まれは正直者」というのは、日本語でのイヌのイメージに影響されたものなのかどうかは不明ですが、少なからず英語と日本語で共通するような印象があるのかもしれませんね。でも、実は英語ではイヌは意外にネガティブなイメージで使用されることのほうが多いのです。たとえば、

Since I got back from the trip, I’ve been sick as a dog. (旅行から帰って来て以来、すごく具合が悪い)

のように (as) sick as a dog (とても体調が悪い)という意味で使ったり、a dog’s life (みじめな暮らし)という表現に使われたりもします。

Hiroshi has been leading a dog’s life since his girlfriend dumped him. (ガールフレンドに捨てられてから、ヒロシはみじめな生活を送っています)

ことわざに、

Every dog has its day. (どんなイヌでもいい時がある)

という表現がありますが、これなんて「たとえイヌでさえもみんな」というように、ちょっと下に見て使われていて、ことわざ自体は「(イヌでさえそうなのだから)誰にでもいい時が来るものだ」という意味なのです。ちょっとイヌがかわいそうですよね。

他にはwork like a dog (がむしゃらに働く)やdie like a dog (みじめな死に方をする)なんていうのもあり、あまりにもふびんです。

My father worked like a dog for years and died like a dog. (父は長年あくせく働いて、みじめな死に方をしました)

like a dog (イヌみたいに)と言うと、とにかくネガティブな意味になることがほとんどです。それから go to the dogs という表現もあり、これには「落ちぶれる」や「だめになる」という意味があります。

I used to love this restaurant but it has gone to the dogs. (以前はこのレストランが大好きでしたが、いまではもうぜんぜんイケてないところになりましたよ)

イヌ好きの筆者には、なんだか納得のいかない事実ではあるのですが、こんなイメージでイヌが使われるなんてちょっとびっくりではありませんか。でも、ここに挙げた表現は会話では便利なものばかりですので、ぜひ覚えて使ってみてください。

迎え酒はどうして犬の毛?

dogを使った表現はまだまだあります。意外なものでは、英語で迎え酒のことを、

the hair of the dog (迎え酒)

と言います。あるとき、この表現を調べてきた研修生に、どうして「イヌの毛」が「迎え酒」という意味になるのか聞かれたことがあります。この表現はもともとは、

the hair of the dog that bit you (迎え酒 〔自分をかんだイヌの毛〕)

という長いフレーズでした。直訳すると「あなたをかんだイヌの毛」という意味ですが、「イヌにかまれたら、その傷口にはそのかんだイヌの毛をつけるといい」という古い言い伝えが由来のようです。実際に、狂犬病の予防にイヌの毛をかまれた傷口に当てたという説もあるようです。ただの都市伝説か実際の民間療法かは不明ですが、そこから「二日酔いには酒がいい」に転じて、迎え酒を指すようになったとのことです。

Do you want strong tea or coffee? Or the hair of the dog? (濃いめのお茶かコーヒーを飲みますか?それとも迎え酒にしますか?)

研修生に説明をしたあとで、Do you really think the hair of the dog cures a hangover? (本当に迎え酒が二日酔いに効くと思う?)と尋ねると、Of course! (もちろん!)と言って、Gin works the best. (ジンがいちばん効く)と教えてくれました。Well, I took it with a grain of salt. (まあ、話半分に聞いておきました)

戌年生まれは頑固!

さて、「戌年生まれは正直者」と言ったジョンが Do you really care what animal it is each year? (毎年、何の干支なのか、そんなに大切なの?)と聞いてくるので、筆者は年賀状を書くときしか気にしないと伝えました。

あとは、自分の干支の話のときに、話題にあがるくらいですよね。すると、「ふーん」と言いながら、

What’s your Chinese zodiac sign? (干支は何?)

と聞くので、I’m a Rat. (子年)と言うと、

Rats are stingy. (子年はケチ)

と悪いほうの性質を挙げるではないですか! They are thrifty! (倹約家!)と言い直して、ついでに、

Rats are smart. Dogs are stubborn. (子年は頭がいい。戌年は頑固)

と負けずに応戦すると、肩をすくめながらスルーされてしまいました。血液型や星座で性格占いのようなものはよく見かけますが、干支の性格占いって、ふだんそんなに目にしない気がします。しかも、まさかのアメリカ人から指摘されるのはかなり新鮮でした。ちなみに「子年は頭がいい」というのは、筆者のまったくのでっちあげなので、本当にそう言われているのかどうかは不明です(笑)。

ジョンに、干支の順番の由来と言われる、動物たちの競争の話を聞いたことがあるか尋ねると、知らないようでした。せっかくなので、ざっと話してあげると、案の定「ネズミがウシの背中に乗って、ゴール直前で先にゴールイン!」のくだりをかなり気に入ったよう。「本当にネズミはひどいね!」と、また冗談半分に批判されてしまいました。

でも、子年と戌年ということは、筆者とジョンは10歳も違うのか!と、ますます老けたような気になって話していました。So, are you turning 36 this year? (じゃあ、今年36になるんだよね?)とジョンに聞くと、ムッとした顔でNo, I’m turning 24! (24歳になるんだけど!)という答え。Oops! (ヤバっ!)

おすわり!お手!おかわり!

最後に、イヌ好きの方が使える表現もご紹介します。ある研修でイヌのしつけに使う指示語を英語でなんと言うのか教えてほしいという研修生がいました。英語のコマンドは飼い主によっていくつかバリエーションがあります。もしかしたら○○流のように、団体ごとで決めているものがあるのかもしれませんが、筆者が聞いたことのあるフレーズをいくつか教えました。基本的な動作では、

Sit. (おすわり)
Stand. (立て)
Down. (伏せ)
Come. (来い)
Off. (離れなさい)
Stay. (待て=動くな)
Wait. (ここにいなさい=移動するな)
Leave it. (無視しなさい)
Take it. (拾いなさい)
Drop it. (置きなさい)

のようなものはイヌのいる家庭に行くとよく耳にします。

日本では、こういった動作の他に「お手」のような芸を教える飼い主が多い気がします。「お手」はいくつかバージョンがあって、

Shake. / Shake hands. / Paw. (お手)

のような指示をよく聞きました。他にもgiveを使った言い方などがあると思います。

「お手」のあとに続けて言う「おかわり」という指示には、英語で遭遇したことがないので、筆者もなんと言うのかわからなかったのですが、

Right paw. Left Paw. (右手。左手)

とセットで教えている人は見たことがあるので、研修ではこれを教えました。他の芸で見たことがあるのは、

Roll over. (ごろん)
Beg. (ちんちん)

です。これからイヌを飼う方は、英語でしつけをしてみるのもいいかもしれませんね。