ダウ平均は「リーマンショック」以降の重要な節目にさしかかっている(写真:Ksky/PIXTA)

米国市場では、ニューヨークダウ平均がついに1月17日に終値で2万6000ドル台に乗せました。一見、今後もさらに上昇するように見えます。

リーマンショック後からの上昇は、1つの節目に?

実は、ダウの2万6000ドル前後の水準というのは、長期のチャートで見ると、大きな節目なのです。株価の上昇や下落を一つ一つの波のようにとらえる方法がありますが、この考え方で行くと、2008年のリーマンショック直後に付けた安値(6547ドル)から2011年4月高値(1万2810ドル)までの上昇幅である6263ドルを「上昇第1波」と考えます。また2011年10月安値(1万0655ドル)から2015年5月高値(1万8312ドル)までの上昇幅7657ドルを、「上昇第2波」と考えます。

2015年5月高値を付けたあとは、中国の人民元ショックをきっかけに波乱相場がしばらく続いたのを覚えている読者の方も多いと思いますが、その間の安値となった2016年2月安値(1万5660ドル)を起点に、今の「上昇第3波」が続いていると考えるのです。

そうすると、次の上値の目安は、上昇第2波の値幅が「もうひと回転」する2万5969ドルや、2015年5月高値から2016年2月安値までの下落幅2652ドルの「4倍返し」である2万6268ドルなどとなります。多少の上振れはあるでしょうが、こうした簡単な値幅分析で考えると、そろそろ頭打ちになりやすい水準といえます。

また懸念材料もあります。米国の長期金利(10年債利回り)が、じりじりと上昇してきました。長期金利は2月に向けてもう少し上昇が続く可能性が高いとみています。もし上昇が加速するような動きになれば、米国株の調整のきっかけになるかもしれません。しかし、過去、長期金利が1993年10月の5%前半から1994年11月に8%程度まで急上昇したとき、米国の主要企業500社で構成される株価指数のS&P500は多少の波乱はあったものの、結局、株は下げませんでした。それ以降の、金利の短期的な中間反騰局面でも、株価が同じタイミングで下げたことはほとんどありません。

ですから、もし、長期金利が3%を一時上回るような上昇があったとしても、それはスピードの問題であって、緩やかに上昇する程度なら、株価はそれを織り込みながら落ち着いた動きになることが予想されます。

ただより長期で見ると、長期金利の動きは、明らかに変わった可能性が高いと思います。この先、需給に偏重をきたし、コントロールできないぐらいジリ高基調が続くようだと、減税による企業業績以外のところでは、自動車や住宅ローン金利の上昇などを通じて景気には悪影響です。株価は景気に3カ月〜半年程度先行する傾向が強いといわれます。

いまや、青天井で上昇を続けるダウ平均の終焉がいつになるかは想定しづらいですが、やはり、そのきっかけとなる骨太の材料は、景気の勢いの変化ということになるでしょう。確かに、短期的な長期金利の動向もリスクであり重要なのですが、チャート分析専門の筆者にとっては、長期的な下向きのトレンドが上向きに変わり始めた今の姿が不気味にみえます。

日本株も今年最初の大きなポイントを迎えている

さて、東京株式市場は、国内企業の決算発表に注目点が移ります。ただ、株価は昨年秋口以降の上昇で、企業業績の上振れをある程度織り込んでおり、好調さがすでに市場に浸透している機械や電機、鉄鋼、非鉄といった業種で、さらなる「良いサプライズ」がなければ、株価の好反応は期待しづらいところです。むしろ、業績はそれなりに好調でも、どう反応してよいかわからず、もやっとしているところに、米国株の調整リスクが付きまとうことになるとみています。年度末に向けた相場を占う上でも、決算発表のこの1月末のタイミングは、今年最初の大きなポイントとなります。

日経平均株価をどう見ればいいでしょうか。1月23日は前日比で300円を超える上げ幅となり、取引時間中と終値ベースの昨年来高値を一気に更新する展開となりました。

実は、筆者が重要視している月足チャートでは、1月は一目均衡表という分析手法でみると、短期線の「転換線」が上昇に変わっており、長期の指標でも株価にとっては相性の良い環境なのです。

ただ、アベノミクス相場での主要な安値から高値までの上昇期間のリズムでみると、2016年6月安値からの上昇期間の長さが、過去の上昇期間を超えるまでに成熟しており、上昇の勢いが、そろそろなくなっていくリスクがあることを認識しておいた方がいいかもしれません。

それに加え、12カ月移動平均線からの「上方かい離率」が16.5%(23日現在)と、昨年16連騰したあとに付けた同11月の高値時のそれ(13.7%)を上回る水準まで上昇しており、短期的な過熱感も強い状態にあります。決算のイベントといい、チャート分析上でも強弱材料が入り混じっており、今年の最初の正念場を迎えようとしています。

円高なら、外国人投資家はリスクを取りやすい状況に

それでも、株式の需給面は良好です。たとえもし、数カ月程度の短期的な調整はあっても、だらだらと年間を通じて下げが続く状況にはならないと思います。理由は、足元のドル安円高含みが続けば、日本株のドルベースの評価が上昇し、売買の大半を占める海外投資家にとっては、実はリスクをとりやすくなるからです。

一方、個人が手がける信用取引に関してもコメントすると、投資家の損益状況を表したものに「信用評価損益率」があります。評価損益を信用買い残高で割って求めるもので、数値が低下するほど評価損益が悪化、上昇は改善を示します。これはプラスになることはまれで、マイナスを示すことが多いのが特徴です。

過去をみると、評価損益率が-15%〜-20%以上になると日経平均株価は底打ちする傾向があります。一方、2014年以降、概ね-5%〜-6%程度まで改善すると株価は頭打ちとなってきました。アベノミクス相場の初期には、プラス水準まで改善したこともあります。

直近発表の1月12日現在でみると、-3.6%まで改善しています。経験則ではまもなく頭打ちに近いといえますが、逆に見方を変えると、-5%〜-6%よりも改善したのだから、当面は株価上昇とともにもう少し改善基調が続くとみることもできます。株価上昇で個人は含み損が減っているし、一部は利益を出せる状況になっています。利益の再投資で資金の回転がよくなり、特に個人投資家好みの小型株にとっては、今後追い風になっていくのではないでしょうか。さらに、仮想通貨に投資して怖くなった短期資金も、一部はボラティリティ(変動率)を求めるために流れ込み、今年の小型株市場は次第に取引に厚みが増す展開が予想されます。