建設業“選ばれる事業者”になれるか?技能者の処遇改善

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 建設業界が技能労働者の処遇改善に向けて動きだす。技能者の資格や就業履歴を登録、蓄積する業界統一システム「建設キャリアアップシステム」が今秋に稼働する。能力や経験に応じた処遇を受けられる環境を整備し、建設業の担い手確保につなげるのが狙い。事業者は優秀な技能者を育成し、取引先や若者から“選ばれる事業者”になることが重要となる。

 「建設業界が一丸となって突き進む初めての機会だ」。1月5日に開かれた建設業関係11団体の新年賀詞交歓会で、日本建設業連合会の山内隆司会長(大成建設会長)は、建設キャリアアップシステムの意義を強調した。

 建設キャリアアップシステムは今秋の稼働に向け、国土交通省と建設関連団体が連携して仕組みづくりに取り組んでいる。今春から技能者などのシステム登録を開始し、初年度に100万人、5年で330万人の全技能者の登録を目指す。

 システムには技能者の資格や社会保険の加入状況、現場の就業履歴を登録。事業者の概要や工事現場もそれぞれ登録する。技能者は経験や保有する資格を客観的に証明できる。現場経験を重ねるほど実績として蓄積される。一方、事業者は現場で技能者を管理する書類作成の手間が省けるなどの利点がある。

 国交省はシステム運用に合わせ、就業履歴と資格を組み合わせ、技能者をレベル別に評価する基準を検討している。能力を上げ経験を積めば、上のレベルに昇格できるようにする。技能者がモチベーションを高め、将来のキャリアを描きやすくする。

 また、優秀な技能者を抱えている事業者の施工能力を“見える化”する仕組みを取り入れる。国交省は「選ばれる事業者になれば仕事が増える。その結果として、賃金を上げ、良い技能者を育てるといった循環を作りたい」(建設市場整備課労働資材対策室)と期待する。

 建設業界では今後、高齢化した技能者が大量に離職する。今のままでは若者の入職者が集まらず、将来立ちゆかなくなる。若者に人気のない理由の一つが賃金水準の低さ。製造業に比べて平均10%以上低く、賃金カーブでみると30代後半でピークに達し、それ以降は伸びが鈍化する。

 建設キャリアアップシステムはこうした状況を改善し、やる気のある優秀な技能者の処遇改善につなげる狙いがある。

 想定通りの効果が生じるかはさらに詰める必要があるが、働き方改革と並ぶ重要な取り組み。システムの成否は建設業界の今後を左右しそうだ。
(文=編集委員・村山茂樹)