米ニューヨーク・タイムズや米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディア報道によると、米フェイスブックでは、このほど、中国政府首脳とのパイプ役を務めてきた王黎(Wang-Li Moser)氏という重要な人物が、辞任した。

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対中外交戦略が後退

 その理由は定かではないが、中国生まれの米国市民である同氏は、一身上の都合で米国に帰国することを希望したと、ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。

 同氏は、これまで、フェイスブックの対中外交戦略を率いてきた。

 フェイスブックのソーシャルメディアは2009年から、同国でサービスが遮断されているが、同社はサービス再開を目指し、さまざまな施策で、中国政府との関係構築に努めている。

 しかし、今回の王氏の辞任によって、その対中外交戦略は大きく後退したと、ニューヨーク・タイムズなどは伝えている。

王氏、政府首脳との会談で重要な役割

 王氏は米国の半導体大手、インテルの出身。インテルの中国事業在籍中は、政府高官との会談調整役を務め、25億ドル規模の工場建設に尽力したことで知られるが、フェイスブックへの移籍後は、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)の対中外交を手助けした。

 例えば、ザッカーバーグCEOは2014年に、当時、中国インターネット規制当局のトップだった魯煒氏を、同社本社に招いて会談を行ったが、このとき、王氏も会談に同席した。

 ザッカーバーグCEOは、2016年に北京を訪れ、魯煒氏や、当時の共産党政治局常務委員だった劉雲山氏とも会談したが、このときも王氏が同席している。

 フェイスブックの中国戦略については、社内に、中国を対象にしたガバメント・リレーションズ(中国の政府高官などと関係を築く)部門があることが知られている。

 昨年は、この部門に、米リンクトインの中国事業を担当していた、ウイリアム・シュアイ氏という人物を雇い入れたと報じられた。ウォールストリート・ジャーナルによると、このシュアイ氏をリンクトインから引き抜いたのは、王氏だったという。

 そして、王氏が辞任した今、当面、同氏の後任に就くのはシュアイ氏だと、事情に詳しい関係者は話している。

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FBのソーシャルメディア、次々と遮断

 前述したとおり、フェイスブックのサービスは2009年に中国で遮断された。また、同社傘下には、写真共有サービスの「インスタグラム(Instagram)」もあるが、これも、2014年に香港で起きた反政府デモ(いわゆる雨傘運動)の際に遮断された。

 同じく同社には、メッセージアプリ「ワッツアップ(WhatsApp)」もある。しかし、こちらも昨年7月、一時的に遮断され、同年10月には全面遮断されたと伝えられている。

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 こうした中、フェイスブックでは、傘下のVR(virtual reality、仮想現実)企業であるオキュラスVRが、中国のスマートフォン大手、シャオミ(小米科技)と提携するなど、ソーシャルメディア以外の分野で、中国市場への進出を図っている。

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筆者:小久保 重信