GRスーパースポーツコンセプト(画像: トヨタ自動車の発表資料より)

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 アストンマーティン・ヴァルキリー、AMG・プロジェクトワンなどレーシングカーそのものを公道で走れるようにした車が登場することがある。古くはフォードGT40、マクラーレンF1、現代のマクラーレン・セナなどあるが、実用性はゼロと考えておくことだ。レース場にトレーラーで持ち込んで、楽しんだらまたトレーラーで持って帰ることが本筋といってもよい。現代でも、性能の中で「最低地上高」がその実用性を決めてしまうことになるのだ。

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 筆者はBMW325をチューニングして、実効果のあるフロントスポイラーをつけていたことがあるが、それだけでも工事中の荒れた路面でこすってしまう。急な坂道がある時、上り始めは要注意だ。もちろんスーパーの駐車場の車止めでもぶつかってしまう。だからカスタムカーは、その不便さを承知して乗るべき車なのだ。

 今回トヨタが東京オートサロンに出品したのは、プロトタイプレーシングカー「TS050 HYBRID」をモディファイしたものだ。これでは公道を走ることは実用上できないと考えておくことだ。

 意味はないかもしれないが一応、仕様を少し書いておこう。エンジンは1,000馬力、2,400ccV6ツインターボにモーターを加えたHV(ハイブリッド)だ。一昨年のル・マン24時間レースで、ゴール直前3分前に故障して止まってしまった車が元だ。

 FIA世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリーLMP1クラスの車両で、その加速力はエンジン車では及ばない。ということは、公道でもかなりの加速力が出る可能性があり、意外に「最低地上高」以外は実用に供せるのかもしれない。モーターの低回転トルクは、電動カーの実用性を大いに上げている。

 その昔、レーシングカーのエンジンをディチューンした車は特段の運転テクニックを必要としていたが、HVパワーユニットではその心配はなかろう。レーシングエンジンに低回転トルクがなく、高回転では強烈なトルクを発生したので、強化レーシング・クラッチをミートするときに、かなりエンジン回転数を上げてミートしなければならないことによる難しさなのだ。現在のDCTなどのミッションとHVの組み合わせでは、普通の女性でも運転できるかもしれない。

 おそらくはトヨタのGAZOO Racing(ガズーレーシング)は公道での使用を可能にするように造りこんでくるであろう。乗り込むだけでル・マンの興奮が伝わってくるのだろうか?その昔、マクラーレンF1の試乗を勧められたときに、断ってしまったことが今でも悔やまれる。