2017年12月、CNNはSnapchatで配信中の番組を終了すると発表した。放送開始からわずか4カ月での撤退が話題となった。一方、ライバル社のNBCニュースは、5カ月前に配信開始したデイリーニュース番組「ステイ・チューンド(Stay Tuned)」に、十分な牽引力があると手ごたえを語っている。

「ステイ・チューンド」は平日には1日2回、土日はそれぞれ1回ずつオンエアされており、NBCニュースによると毎月数百万人ものユニークビューワーを獲得しているという(放送初月のユニークビューワー数2900万件を記録)。ある情報筋によると、同番組に愛着を持つオーディエンス数も多く、配信開始以降の登録者数は400万名にのぼっており、その3分の2以上が25歳未満の若年層だ。さらにNBCニュースは、「ステイ・チューンド」のオーディエンスのうち、半数以上が1週間に3つ以上のエピソードを視聴していると話している。

NBCニュースのデジタル部門でシニアバイスプレジデントを務めるニック・アシュハイム氏は、「スナップ(Snap)と提携して『ステイ・チューンド』を立ち上げるにあたり、我々が楽しみにしていたことのひとつが、従来型のプラットフォームにあるNBCニュースのコンテンツでは関われなかったオーディエンスにアプローチできることだ」と話した。「若者のあいだで、このように上々の結果が出ているのを見て、その目標が達成できたと感じている」。

2社の蜜月関係



2017年7月にNBCニュースが立ち上げた「ステイ・チューンド」は、1日2回アメリカと世界のニュースや政治、ポップカルチャーや気象情報、そして最近起きた大きな事件などについて情報配信する番組だ。各エピソードは概ね2分間で、スタジオと現地取材を含む4つのニュースで構成されている。

このプロジェクトに、NBCニュースは投資を惜しまなかった。「ステイ・チューンド」のエグゼクティブプロデューサーであるアンドリュー・スプリンガー氏が率いるSnapchat専属チームには、専任のプロデューサーやライター、編集者やグラフィックス担当者など30名のスタッフが在籍する。番組の進行を務めるのはNBCニュースとMSNBCの記者、ガディ・シュワーツ氏とサバンナ・セラーズ氏だ。

「ステイ・チューンド」の採算性について、NBCニュースはコメントを控えた。しかし、この番組はスナップとNBCユニバーサルとが拡大を進める共同事業の一端に過ぎない。NBCユニバーサルは2017年3月のIPO(新規株式公開)でスナップに5億ドル(約565億円)もの資金を投じているのだ。この1年間、NBCユニバーサルは「ザ・ボイス(The Voice)」や 「サタデーナイトライブ(Saturday Night Live)」など、同社のテレビ番組をもとに、複数のSnapchat向け番組を制作している。また、数カ月前、NBCユニバーサルは今後Snapchat向けに台本のある番組を制作するため、スナップと共同でデジタルスタジオを設立した。共同事業の一環として、NBCユニバーサルとスナップは「ステイ・チューンド」などの番組内での広告スペース販売についても提携している。

CNNの撤退理由



これはNBCユニバーサルには有効だが、どの企業でも同じというわけではない。先ごろ、ライバル社のCNNが10名のスタッフを投じてSnapchatに配信してきたデイリーニュース番組「ザ・アップデート(The Update)」の終了を決めた。ウォールストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)によると、番組の採算が取れないことが撤退の理由だという。Snapchatで番組を配信する別の企業は以前、米DIGIDAYに対し、Snapchat番組内の広告枠を埋めるのがむずかしいと語っていた。これを受け、スナップは番組内のプログラマティック広告数を増やしている。

過去にスナップが他社メディアと築いた関係について、NBCニュースはコメントしていない。しかし、ある関係者は匿名でNBCユニバーサルとスナップの深い関係を指摘し、NBCニュースが「ステイ・チューンド」にかなり力を入れていると強調している。

「全体的にNBCユニバーサルは、この番組の成功に多大な投資を行っている」と、前出の関係者は話す。「この番組が打ち切りになる予定はない」。

ユーザー獲得のコツ



同番組にオーディエンスが惹きつけられているようなので、それが救いだ。スプリンガー氏によると、ユーザーに新しいエピソードを見てもらい、また何度も訪れてもらえるように工夫しているという。たとえば、「ステイ・チューンド」のオーディエンスはあまり政治に興味がなく、冒頭に政治関連の内容を持ってきても、なかなか見てもらえないことが多い。それよりもニュース速報や最新の事件、気象情報やインターネット、そしてポップカルチャーのほうが好まれる。一般的に、若いユーザーがSNSで話題にするような内容が「ステイ・チューンド」のトップニュースになることが多いとスプリンガー氏はいう。このタイプのニュースであれば、「ステイ・チューンド」のトップ記事で数日間同じ題材を扱ったとしても、オーディエンスは嫌がらない。2017年10月にラスベガスで銃乱射事件が起きた時期、「ステイ・チューンド」では4日間にわたってこの件をトップニュースとして取り上げたが、NBCニュースで視聴率の低下は見られなかった。

「番組の最初、大統領上級顧問ジャレッド・クシュナー氏の話題あたりからはじめるとする。オーディエンスは冒頭に硬い政治ニュースがあっても、すぐさま興味を示さない」とスプリンガー氏はいう。「そういうタイプのニュースは番組の中盤に取り入れると、視聴者も興味を持って番組を最後まで見てくれるようになった」。

NBCニュースによると、いまでは半数以上のオーディエンスがスキップせずに「ステイ・チューンド」のエピソードを最後まで見てくれているという。

最良のバランス



NBCニュースは、数ある発見のなかでも、人物写真やカラフルな画像が番組のカバー写真として適していることに気がついた。「天気を伝える画像も同じだ」とスプリンガー氏はいう。「ハリケーンが来て木が暴風などで揺れている画像や、ビビッドなハリケーン画像など、とにかくハリケーンの写真は外れることがない」。

番組を立ち上げてからNBCニュースが唯一変更したのが、エピソードの長さだ。当初、「ステイ・チューンド」の各エピソードは5つの話題で全長2、3分という構成だった。スプリンガー氏は、「ステイ・チューンド」の最高バランスは2分間のエピソードに話題が4つ、というものだという。

「過去のエピソードを見返すと、ペースが間違っていたように思う」とスプリンガー氏はいった。「電話を手に持ち、3分間見続けるという作業は、非常に長い時間に感じられる」。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac)