W杯出場のサウジが驚きのアイデアで強化 スペイン“集団レンタル移籍”が実現した理由

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サウジアラビアの9選手、スペイン1部に3人、2部に6人移籍することを発表

 今年6月のロシア・ワールドカップ(W杯)に出場するサウジアラビアが、驚きのアイデアで強化を図ろうとしている。

 それは代表選手らを、スペインクラブへ“集団レンタル移籍”させるというもの。2部を含めて9人もの選手が各クラブに送り込まれることになるが、リーガ公式サイトも今回の件を報じている。お互いの思惑とは、どのようなものなのか。

 今回、リーガに加入するのは1部が3人、2部が6人。昨季AFCチャンピオンズリーグ決勝で浦和レッズと対戦したアル・ヒラルのMFサレム・アル・ドサリは強豪で知られるビジャレアルへと移籍。その他にもMFヤヒア・アル・シェフリがアル・ナスルからレガネス、MFファハド・アル・ムワラドがアル・イテハドからレバンテへと移る。

 サウジアラビアの首都リヤドで行われた会見では、全9選手が半年間のレンタル移籍で加入することが発表された。サウジアラビアのスポーツ局を統括するアール・アッシャイフ氏は以下のようにコメントしている。

「サッカーを成長させつつレベルを高め、新たな世代のサッカー選手を生み出す。それは我々の国にとって継続し、長期的な目標となっている」

 今回の移籍は、W杯を目指す代表クラスの選手だけでない点がポイントだ。育成年代の選手2人が、それぞれレガネス、ビジャレアルに加わることで、経験値を上げようとしている。またリーガ側にとっても悪い話ではない。そのメリットを同記事ではこう記載している。

スペインリーグ側のメリットとは?

「スペインのクラブとしては、中東世界での露出度上昇を意味する。リーガはこの地域で最も人気のある国際的なリーグであり、サウジアラビアの選手が1部ならびに2部リーグに加入することは、観客や視聴者数、そして商業的な機会の拡大につながることを確信している」

 今回の移籍に付随して、サウジアラビアサッカー協会はリーガ側の知識や人材を用いて、サウジアラビアにサッカーアカデミーを設立しようともしている。長期的な視野に立って育成年代から改革することで、レベルを引き上げようとの方針に至ったようだ。

 選手を大量に送り込むという大胆な手法だが、それが実現したのも商業面や強化などでお互いの思惑が一致したからこそだろう。

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images