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●「Jアラート」など災害・避難情報の取り組みを報告

IIJは1月13日(大阪)と20日(東京)、同社のMVNO事業や格安スマホについてのトークイベント「IIJmio meeting #18」を開催した。MVNOやキャリアを巡る状況が大きく動きつつある中、今回も200名以上もの参加者を集めた同イベントではどのようなことが語られたのか、レポートしよう。

○技術者との生トークが魅力のイベント

IIJが開催するユーザー参加型のトークイベント「IIJmio meeting」は、高い技術力とトーク力でSNSでも人気を集める「IIJの中の人」やIIJの技術者と交流できるイベントで、参加無料・IIJmioユーザー以外も参加できることから高い人気を誇る(事前登録制)。今回で開催は18回めだ。

最初に「IIJmio Update」と題して、前回(10月)開催からの間に更新された情報が、IIJの堂前清隆技術広報担当課長より提供された。この中では、新規取り扱い端末(ASUS ZenFone 4 Selfie/ZenFone 4 Max、Huawai Mate10 Pro、SHARP AQUOS sense lite、Motorola moto X4/moto g5S、CAT CAT S60)の紹介、IIJmioの新規オプションサービス(「IIJmio WiFi by エコネクト」、「スマート留守電」、「ローチケHMVプレミアム」、「取り放題.jp&グルメギフト得々オプション」)、長期利用者向け特典「長得」(4種のオプションから選択)などが紹介された。

また、前回も話題になった「緊急地震速報」「防災情報」「Jアラート」といった携帯電話向けの警報について、昨年末に電気通信事業者協会(TCA)が緊急速報「エリアメール」と「緊急速報メール」の共通仕様をAndroid 8.1向けに大手キャリア3社と共同で策定している。これについてIIJではSIMフリー端末ではどのように動作するのかをNexus 5Sを使って確認し、Android 7.2.xまでは地震・津波への警報が、8.0からはJアラートを含む「災害・避難情報」も受信できることを確認したということ。

公式にはAndroid 8.1(Oreo)以上ということで利用できる端末はまだ少ないが、SIMフリー端末でもミサイルの飛来警報を受信できる道が用意されたのは評価できる。今後の端末選びにも役立つだろう。

なお、すべてのトークについて、IIJの公式ブログでスライドが公開中なので、詳細はそちらをご覧いただきたい

●子供をとりまくスマホのあれこれに一言、二言

○サポートセンターにつながりやすい時間帯は?

続いてIIJのサポートを担当している周玟(ぶん)希さんから「みおふぉん教室:ご新規入会時の役立つ情報」として、IIJmioの基本情報と新規入会時の事例などについて紹介があった。

新規入会時の契約参考例では学生、主婦などの5パターンで推奨プランを紹介。すでにMVNOを活用しているなどリテラシーの高いユーザーには「何を今更」な内容かもしれないが、あまり詳しくない人にとっては、実際にデータ容量がどれくらい必要かなどはなかなか把握できないため、いい参考になるだろう。

○2月からは子供向けスマホのフィルターが義務化

続いて、再び堂前氏より「MVNOの法令遵守と「青少年インターネット環境整備法」改正」と題し、MVNOを取り巻く法環境と、青少年に関する法規制についての話題が語られた。

MVNOが関連する法令としては「電気通信事業法」「電波法」「携帯電話不正利用防止法」「景品表示法」などがあり、不当廉売や携帯電話を悪用した犯罪防止など、さまざまな規制がかけられている。こうした法令の中に「青少年インターネット環境整備法」があり、未成年の携帯電話利用に関して、いわゆるフィルタリングソフトの適用を義務付けている。

この法令が施行された背景としては、2007〜2008年前後のケータイやネットを使った殺人事件(いわゆる「闇サイト殺人事件」や「秋葉原無差別殺傷事件」など)をはじめとする虐めなどのトラブルの増加だ。こうした事態に対して国会・政府でも対策を求める声が高まり、検討会が開催されている。これに対してキャリア側が連名でフィルタリングの導入を発表し、2008年4月に「有限責任中間法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構」(EMA)が設立。現在はEMAが認定した「青少年被害防止の対策を実施したサイト」と、フィルタリングアプリの事業者が巡回してカテゴリ分けしたサイトのデータベースを元にキャリアがフィルタリングを実施するというスタイルになっている。

ところがガラケーの頃は回線そのものにフィルタリングすることで解決していたものが、スマートフォンではアプリ形式でのフィルタリングとなっているため、フィルタリングの実施率が下がっている。回線の場合はキャリアが操作できていたが、アプリ形式の場合はキャリア側から操作することができず、スマートフォンの利用者はその保護者がフィルタリングを有効化する必要があるためだ。アプリ方式にはWi-Fiもカバーできるといったメリットもあるのだが、わざわざ設定する手間を惜しむ(あるいはやり方がわからない)ユーザーもかなり多いということだろう。

こうした状況を踏まえ、「青少年インターネット環境整備法」が昨年6月に改正され、今年2月1日から施行される見込みとなっている。この改正法でのポイントは、「契約時にセットで販売される携帯電話端末について」、これまで「契約者の年齢確認」だけでよかったものが「契約者と利用者の年齢確認義務」となったこと、キャリアから利用者へ、フィルタリングサービスの必要性と内容の説明が義務化されたこと、そして利用者によるフィルタリングの有効化が義務化されたことだ。つまり契約と同時に端末も購入する場合は、キャリアはその端末の実際の利用者を確認し、フィルタリングソフトの有効性を説明し、フィルタリングサービスそのものを提供し、利用者が未成年の場合はフィルタリングソフトをインストールし、設定し、有効化してもらわねばならない、ということだ。

ちなみに今回の改正では、端末メーカーだけでなくOS側にも努力義務が課されている。AndroidもiOSも、今後日本で販売する以上、ペアレンタルコントロールをよりわかりやすい導線で実施できるような実装に改善する必要があるということだ。

この改正案について、堂前氏は、MVNOの場合、端末とSIMが別売りだったり、通信販売で購入する人が多いなど、キャリア側が義務を果たすのが難しい状況であることを指摘。IIJでは利用規約で未成年の利用者の自己申告や、フィルタリングの設定完了報告を義務づけるなどして法律の厳密な実施を試みるとした。

ただし、いくら法が改正されても、保護者がフィルタリングを安易に解除してしまうようでは何の意味もない。未成年者にスマートフォンを与えている家庭ではフィルタリングの徹底化や設定の見直し(ホワイトリストの利用など)を行い、同法の精神が正しく実行されるように努力する必要があるだろう。

●最近話題の「eSIM」ってなんなの?

○eSIMの登場によって何が変わる?

そしてIIJ公式Twitterアカウントの「中の人」として知られる、ネットワーク本部技術企画室の佐々木太志氏から、「eSIMとMVNO」と題し、昨今話題のeSIMについて紹介があった。

佐々木氏はまず「SIMとはなにか」の定義から紹介。eSIMとは、狭義では「OTA(On The Air)によるリモートSIMプロビジョニング(RSP)の標準化に対応したSIM」であり、広義では標準化されていないOTA-RSPに対応したSIM、または組み込み用途(enbedded)のSIM、のことだという。このうち一般ユーザーに関係してくるのは前2つのほうだ。

RSPというのは、SIMが抜き差しできない状況で、遠隔でSIMを書き換える技術のことを指す。こうした機能自体は以前から提供しているメーカーがある(たとえばアップルのApple SIMなど)が、それぞれ独自の形式でやっていては、キャリアごと、メーカーごとの形式ができてしまい不便だ。そこで携帯通信事業者の業界団体である「GSMA」が世界標準として標準化を行なっており、コンシューマ向けとしては2016年1月にウェアラブル向けのバージョン1が、同年11月にスマートフォン向けのバージョン2が策定済み。今年第2四半期のバージョン3策定に向けて作業が進行しているという。

GSMAが想定する使い方としては、eSIMのQRコードを読み込むとネットに接続してサーバーから設定用のプロファイルをダウンロードし、インストールすることで使えるようになるというものだ。海外旅行などでSIMを購入して差し替えるのが、QRコードを読み込むだけでよくなる、というイメージだ。プロファイルをダウンロードするサーバー(SM-DP+)が適切に見つかるようなサーバー(SM-DS)の元締めとなるルートサーバーをGSMAが昨年9月から提供している。

ちなみに独自方式のAppleなどは、自前で全てのApple SIM対応キャリアのプロファイルを用意しておき、そこから読み込むようにするだけで済むわけだ。対応するキャリアが限られているからこそできる方法といえるだろう。

最後にSIMカードの進化形態としてのeSIMに触れ、中国で実装が進んでいるTEE based SIMや、QualcommがSnapdragonプロセッサに内蔵させようとしているIntegrated SIM(iUICC)などが紹介された。

eSIMが普及しても、それは通信速度の改善やSIMのコストダウンといった要件に直接繋がることは少ないだろう。そういう意味ではあまり直接ユーザーと関係する機能ではないかもしれないが、SIMフリースマートフォンの機能として搭載されるようになるのもそう遠い未来の話ではないだろう。

トークセッションの終了後はTwitterや会場からの質問に答えるQ&Aセッションが行われ、IIJmio metting 18は閉会した。

○ユーザーとMVNOの接点になる貴重なイベント

筆者がIIJmio meetingに参加するのは3回目だが、毎回高いレベルの内容を楽しく聞かせてくれるという点では、他に類を見ないイベントだと言える。扱われる話題も業界のトレンドにタイムリーであり、質も量も実に大盛りで濃厚だ。

次回開催は4月の予定。おそらくIIJが予定している「フルMVNO」について、様々な情報が提供されるはずだ。もし興味を持たれた方は、ぜひ次回は参加してみてはいかがだろうか。同時にネット中継も行われているので、遠方の方は雰囲気だけでも味わってみてほしい。