Facebookのアルゴリズムが変更されたことでパブリッシャーたちはパニックに陥っているかもしれない。しかし業界のなかにはこれを良いニュースとして受け取っているグループもある。それがインフルエンサーとそのフォロワーたちだ。

Facebookの決定は、(特定の)パブリッシャーの投稿よりも友人や家族からのコンテンツを優先して表示する、というものだった。これを受けてエージェンシーのバイヤーたちはインフルエンサーのコンテンツにフォーカスするべきだとクライアントに呼びかけている。

「Facebookがユーザーによるコンテンツの優先順位を高めることで、ブランドたちはオーディエンスと信頼関係を持つインフルエンサーたちの起用をさらに増やす可能性がある」と、360iのインフルエンザマーケティング部門の責任者であるコーリー・マーティン氏は言う。

恩恵を受ける者たち



マーティン氏は、Facebookによるニュースフィード変更の宣言を額面通りに受け取っていると述べた。散らかってしまっているニュースフィードを整理し、フェイクニュースを(もしかしたら)減らすだろう、ということだ。(フィードにおける)有料プロモーションに関しては大きな変更はないと、Facebookはエージェンシーたちに対して語っている。しかし、広告の料金は高まるかもしれない。

この変更でもっとも大きな利益を受け取るのは、インフルエンサーマーケティングだろう。単独で行われた場合、インフルエンサーからのコンテンツは基本的には、家族や友人からのコンテンツと変わりないからだ。

「私ならクライアントにインフルエンサーコンテンツをもっと活用するように言うだろう。Facebookはメディアパートナーよりもインフルエンサーに対するコントロールを強く持っている。今回の変更はFacebookにおける広告バイイングに対して、ネガティブな影響は与えないだろう」と、マーティン氏は言う。

「素晴らしい動きだ」



スピーカー(Speakr)のCEOであるマルコ・ハンゼル氏によると、インフルエンサーコンテンツも、ブランドではなくインフルエンサーが投稿した方が5%から10%良いエンゲージメントを生むとのことだ。そしていま、Facebookがニュースフィードからブランドを取り除こうとしているなか、オーガニックなエンゲージメントを持つアカウントに置いて、エンゲージメントが増えるのは明らかだろう。

「今回の動きは素晴らしい。そこではフィード上のブランドの存在感が減り、有名人のページや友人や家族からのコンテンツが現れているのだ」と、ハンゼル氏は語った。

コンテンツがブランド目的でインフルエンサーによって作られていることを示すFacebook上の「ハンドシェイク」も、ブランドにダメージを与えるようなものではない。むしろ、これによってブランドのページへと到達する人々が「いいね!」を増やすかもしれない。

懸念されるセーフガード



インフルエンサーコンテンツが今後もっとプロモートされることでFacebookにも利益がある。実際、これまでもFacebookはブランドやエージェンシーたちに対して、インフルエンサーコンテンツに対する支払い戦略を作り上げることを依頼してきた。そうすることで、ただニュースフィードを「掃除する」だけでなく、広告収益を増加させることもできるわけだ。

ウェーブメーカー(Wavemaker)の体験、コンテンツ、スポンサーシップ部門の責任者でありマネージングパートナーであるノア・マーリン氏は、インフルエンサーがFacebook上でより大きな存在感を発揮するための方法を、Facebookに探ってほしいと期待している。現時点で、すでにインフルエンサー関連のアクティビティはたくさん行われてはいるが、インスタグラムやYouTubeほどではない。しかし、ニュース分野において大きなインパクトを与えたブランドセーフティ問題は、インフルエンサー分野においても存在していると、彼は言う。「(インフルエンサーマーケティングにおけるブランドセーフティに関して)セーフガードはどこにあるのか?」。

オーガニックなトラフィックという点では、インフルエンサーはニュースフィードにおいてブランドよりも上位に存在する。フィード上のニュースの優先順位が下げられたことはインフルエンサーにとっては有利だ。新しいアルゴリズムは、いわゆる誤解を生むような言葉でクリックを得ようとする「釣りタイトル」を厳しく規制すると予想される。そのためブランドたちはより意味のある、「信頼できる」コンテンツを作る必要がある。そこにインフルエンサーとのパートナーシップが入り込む余地がある。

エージェンシーのRPAが先日、クライアントに送ったメッセージでは同様の意図が伝えられている。「Facebookでは意味のある社会的なつながりを促進・奨励するために、プラットフォームレベルで新しい変更が加えられている。もしもブランドが上記の(Facebookが標榜する目標)ことをクリエイティブにおける根本的な基準としてまだ採用していなければ、それを直ちに行う必要がある。ただアルゴリズムに対応するだけではなく、ナチュラルかつ信頼性を持った役割を今後のFacebookにおいて担っていくためだ」。

Facebookがはらむ矛盾



トレンディング・ファミリー(Trending Family)のファウンダーであるジャスティン・ムーア氏はひとつの失敗が起きる可能性を認識している。Facebookは2017年、Facebookとインスタグラム両方において、インフルエンサーが「ビジネス」ページへと移行することを促進していたのだ(それ以前は「パブリックフィギュア(公的な人物)」カテゴリーに属していた)。ビジネスページのプロフィールを持っていない限りは、インスタグラム上で使えるアナリティクスは一部に限られていた。しかしブランドキャンペーンを実施する際、インフルエンサーたちはホワイトリスティングやペイドメディアアクセスといったアナリティクス機能を活用する必要があったのだ。そしてビジネスページへの移行が進められたあとになって、今新しいアルゴリズムは、ビジネスページを不利な状況に追い込んでいる。

ビジネスプロフィールを持つブロガーのグレース・アットウッド氏は「初見では、良いニュースだとは思えない」と語った。

Shareen Pathak(原文 / 訳:塚本 紺)