黒と白に塗ることは問題ないが名称などは入れられない

 パトカーのレプリカを作りたい、所有したいと思ったとき、どこまで合法なのか考えてみよう。まず前提として公道を走らない限り、基本的にはどんな精巧なレプリカを作っても問題ないはず。ガレージの中に保管していたり私有地で走る分には、文句を言われる筋合いはない。問題は、そのレプリカを公道で走らせたいとなったときだ。

 ベースとなるクラウンやスカイライン、コンパクトカー、軽自動車、ワンボックスを購入し、パトカーと同じように、黒と白に塗装するのも問題なし。ただし、○○県警、POLICE、機動隊といった名称や、ロゴ、マークなどを表示するのはNGとなる。

 また、緊急自動車以外が、サイレンを鳴らすことは公安委員会遵守事項違反になるので許されない。赤色灯は、ホンモノのパトカーであっても、「人命救助などの急務」のための緊急走行時に限って点灯することが許されているので、パトカーレプリカが点灯させるのは、完全にアウト(「緊急自動車の警光灯と紛らわしい灯火を点灯し、又はサイレン音若しくはこれと類似する音を発しないこと」(東京都道路交通規則 第8条 第13号)。だったら、サイレンの音を出さずに、赤色灯を点灯しなければOKなのか? サイレンは車体の寸法を変えない限り、音を出さなければ大丈夫。

 しかし、赤色灯は「道路運送車両の保安基準」第42条の「その他の灯火等の制限」で、緊急自動車の警光灯を除き認められていない。つまり、点灯しなくても備え付けるだけで保安基準違反になる(どうしても赤色灯が欲しい人は、布などで赤色灯を完全にカバーする必要がある)。

 さらに車体の寸法が変わる場合は、改造申請も必須になる。映画やドラマの撮影などでパトカーレプリカを走らせる場合は、事前に撮影申請をして諸々の許可を得ることが前提。整理すると、カラーリングは問題なし(警備会社のクルマにも多い)。実在の警察関連団体の名称、ロゴ、マークの使用は不可。紛らわしいものも場合によってはNGとなる。

 赤色灯は、点灯はもちろん取り付けも違法。サイレンは類似した音も含め鳴らすことはご法度。というわけで、公道を走ることを目的とすると、カラーリング以外はあまり本物のレプリカに近づくことはできないということを覚えておこう。