2017年は、動画に注力するという方針転換を行う企業を数多く見る年となった。その結果はさまざまだったが、バッスルデジタルグループ(Bustle Digital Group:以下BDG)は、ほかのパブリッシャーとは違い動画ファーストな会社になろうとはしていないようだ。

BDGには女性のライフスタイルにフォーカスしたバッスル(Bustle)、母親向けのロンパー(Romper)、そしてミレニアル世代向けのエリート・デイリー(Elite Daily)というサイトがある。そこで動画事業に乗り出し、2017年には動画制作チームを8から24にまで増やしている。さらに、自社サイトでの配信やビアコム(Viacom)、CNBC、Facebook Watchといった配信パートナー向けに17の動画シリーズも制作した。BDGによると、2017年中の動画の再生回数は2016年比で200%。複数あるプラットフォームの累計再生回数は5000万回を超えたという。

だが、バッスルは自身を「動画ファースト」な会社だとは考えていないと、BDGのビジネス開発部門でSVPを務めるケイト・ロビンソン氏は語る。

記事コンテンツこそが強み


「まわりにどう捉えられているかはともかく、私たちはデジタルパブリッシャーだ」と、彼女は語る。「独自の記事こそが私たちの強みであり、それを企業の方針としている。動画は非常に重要で、間違いなく記事コンテンツを魅力的にする要素ではあるが、動画に注力するために記事の執筆を減らしたり、動画にばかり重点を置くようなことはしない」。

ロビンソン氏のこのコメントは、バッスルの創設者兼CEOのブライアン・ゴールドバーグ氏による、米DIGIDAYのポッドキャストでのコメントに同調しており、ゴールドバーグ氏も、(そのポッドキャスト中で)BDG内の動画制作スタッフは社員全体の約10%ほどだと話している。

バッスルの幹部は、動画はテキストベースの記事コンテンツの価値を高めるものだと考えている。BDGの動画部門でディレクターを務めるエリカ・トレンブレイ氏によると、これは同時に、動画制作チーム自体がサイロ化して自己完結することなく、Facebookやインスタグラム向けのソーシャル動画を制作するべきか、それともバッスルのプラットフォームや、外部のプラットフォーム向けの番組を制作するべきかについて、編集者やライターと検討しながら協働することを意味しているという。

「孤立して仕事をしているようなチームは必要ない」と、トレンブレイ氏は語る。さらに、チームにとってのもうひとつのゴールは多様性だ。

「私たちは、常に動画チームと協働し、さまざまなフェーズにある複数のプロジェクトを循環させるようにしている」と、トレンブレイ氏は語る。「そして、チームを編成するうえでは、多様なバックグラウンドを持った人員を配置するようにも心がけてきた」。

パートナー関係が認知に影響


番組制作に関しては、バッスルは「レース・トゥ・フェイス(Race 2 Face)」や「ロンパーズ・ドゥーラ・ダイアリーズ(Romper’s Doula Diaries)」などのFacebook Watch向けの番組や、CNBCメイクイット(Make It)のバーティカル向けの番組「ヤングマネー(Young Money)」、そしてビアコム向けの番組「セーブ・ザ・デート(Save the Date)」などのシリーズ番組に力を入れている。また、CNBCやビアコムとは、共同制作という形で契約しているが、Facebookは番組制作費をバッスルに支払っている。

「現状、『ビアコムやCNBCとは同等の条件で』という財務上の合意があり、これは彼らが貴重な存在であることを表している」と、ロビンソン氏。「だが、ビアコムやCNBCと関係がある、というだけで、マーケティング面やブランド認知の観点でもメリットがある」。

バッスルは、外部のパートナーと共同で制作したコンテンツの所有権に関しても一定の基準を保持することにも気を配っていると、ロビンソン氏は語る。「誰かに雇われてブランド名のクレジットの無い動画を制作するような、ただの動画制作工場になるつもりはない。提携していることを示し、著作権をはじめとした知的財産権を所有したい。もしかすると短い期間、特定のプラットフォーム限定となることも考えられるが、この試みは、最終的には独自配信やほかのチャンネルへ配給する際にも使えるような、ある種のカタログを作り上げることに繋がっている」。

バッスルは「量より質」を番組制作のモットーとしながらも、ひと月に30〜40ほどのソーシャル動画を制作している。これはソーシャルプラットフォーム上のエンゲージメントや、バッスルの広告収入を伸ばすための施策だ。事実ロビンソン氏によると、この取り組みが講じて広告主とのスポンサー契約や、そのほかの商品の販売にも繋がっているという。

事業の収益性はまだ未知数


バッスルが動画への取り組みに本格的にギアを入れたのは2017年春。デイリーメール(Daily Mail)からエリート・デイリーを買収し、トレンブレイ氏が動画部門のトップに任命されてからのことだった。バッスルの動画ビジネスの収益性について広報担当に質問したところ、収益性に関する認識を得ることは重要だが、まだ運用開始からの期間が短いために、広告販売やマーケティング、またそのほかのパートナーシップへの貢献度を検証できる状態ではない、とのことだった。

トレンブレイ氏は、自らのその取り組みをこう説明する。「私たちがまず最初に取り組んだことのひとつは、ロードマップの策定だ。会社にとって規模が大きすぎるチームを作るべきではないことはわかっていたが、同時に、オーディエンスと対話できるように、継続的な動画制作を確実なものとして戦略に盛り込みたかった」。

Sahil Patel(原文 / 訳:Conyac)