フリーアドレス特有"仲間はずれ"の対処法

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無責任上司、事なかれ部下、わがまま同僚……。そんな人たちに「こっそりお仕置き」をするには、どうすればいいのだろうか。「プレジデント」(2017年7月31日号)の特集「人を動かす黒い心理学」より、職場での3つの実例をご紹介しよう。第2回は「情報格差に苦しむ時短社員の反撃」――。(全3回)

■働かないベテランを一掃する会心の制度

組織の上層部で意思決定できるポジションにいる場合には、組織の決定事項として“指導”をすることもあるという。

渋谷由香さん(仮名・36歳)は人材系企業の人事部で働いている。渋谷さんの会社では、社員の若返りを図ろうと、若手の早期昇進を積極的に進めてきた。

「実力のある社員をどんどん部長に抜擢していきました。結果、シニアのプレーヤー社員が増えた。彼らのなかには完全にやる気をなくし、サボタージュを繰り返す明らかな職務放棄や、日中にパチンコに通う証拠写真が出てきた人もいました」

あるとき、渋谷さんの上司にあたる人事部長は固定席を廃止する「フリーアドレス制」を導入すると言い出したという。2カ月後、その制度が実際に導入されることになる。

「はじめのうちは会話もしやすいと社員たちからも好評でした。でも、次第に内勤の多い社員やエース社員の座るところが固定されてきたんです」

さらに、そこにはある仕掛けがあったという。

「実は社員数は増えているのに、座る椅子の数は以前と一緒だったんです。社内に席がなくなって、社外のカフェなどで仕事をする人が出てきた。その結果、やり手部長たちと仕事をバリバリやる社員だけが会社に来て、彼らと顔を合わせたくない社員は会社に来なくなったんです」

顔を合わせないことで、さらに部長たちと仕事を放棄する社員の溝は深まったという。

「だんだんと情報の格差が生まれていきました。メールだけでは理解できないニュアンスなどが伝わらなくなったんです」

制度導入後、サボリ社員たちは小さなミスが重なるようになり、簡単な業務の達成も困難になった。厳しい立場に追い込まれた社員たちは次第に会社を去っていったという

■情報格差に苦しむ時短社員の反撃

さらに身近なところでも、組織ぐるみの“指導”は行われている。ゲーム制作会社で働く大波圭佑さん(仮名・34歳)の会社では、ここ数年は産休・育休明けの時短勤務の社員が増加しているという。大波さんの隣のチームにも4月から時短勤務の女性が復帰した。

「最初はチームメンバーもサポートしようと言っていたんです。子どもの発熱で急に休んだときも、代わりに商談に行くなど対応していました。でもあるとき彼女が、『子どもが風邪で』と言って休んだのに、友達と映画を見に行っていたと噂になったことがあった。ほんとうに風邪で休んでいたのにです」

そのあたりから隣のチームの雰囲気が変わったという。

「うちの会社では、昨年から社内専用の簡易チャットサービスを導入しました。隣のチームは時短勤務の彼女が16時に帰ったあとの連絡用にと、彼女以外のメンバーでグループをつくっていました。ところが次第に彼女の悪口を言うグループになっていった。わざと業務で必要な情報を共有せずにミスを誘引しようといった会話がされていた」

ところが、事態は急変する。裏グループの1人が、誤って表のグループに悪口を書きこんだのだ。それを見た時短勤務の女性はあ然。すぐに人事部に報告したそうです。

その後、逆に会社にいづらくなった裏グループのメンバーは順に会社を辞めていったという。

(鈴木 俊之)