大手エステの壮絶セクハラ「幹部は全員オーナーの愛人でした」

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 エステでケアしてもらうのって気持ち良くて天国! でも、施術するエステティシャンの側は大変なようです…。

 エステ業界は、大手数社でパワハラやサービス残業が訴訟沙汰になっており、2014年には労働組合「エステユニオン」が発足したほど。

「私がいた大手エステチェーンはオーナーが独裁者で、女性スタッフはまるで北朝鮮の喜び組でした」

 森菜々美さん(仮名・38歳/エステシャン)は5年前に大手エステ会社を辞めて独立。その背景にあるのは、オーナーの日常的なセクハラでした。彼女が体験したセクハラとは、どんなものだったのでしょう。

◆「俺だ。品川のホテルにいるから来てくれ」

「高校卒業してエステ協会の事務をしながら、スクールで技術を学びました。それから20歳で北陸の都市のエステサロンに就職。ところが、そこが全国100店舗以上のサロンで展開する大手エステ企業に買収されたんです。

 私はそこで神奈川の店長に任命されました。2年後にエリア長に就任すると、エリア長が集う本社主催の勉強会のあとの食事会で、初めてオーナーに会ったのです」

 でっぷりと太った40代後半のオーナーは、森さんはじめ若いエリア長を引き連れてはしご酒。すると1週間後の夜中2時に、オーナーから突然電話があったそうです。

「『俺だ。品川のホテルにいるから来てくれ』といきなり言われてびっくりしました。同棲中の彼氏が『誰?』と電話のそばでいうと、電話が切れてしまいました。

 翌日、オーナーの秘書から『間違い電話なので、忘れてください』と電話で謝罪されました。そんななか、3日後にオーナーからの担当地域の変更の電話があったんです……」

◆幹部は全員オーナーの愛人だった

 オーナーから神奈川と山梨のそれぞれの地域担当を命じられた森さんは、青ざめたそうです。というのは、そこは売り上げがワースト10に入る最悪のエリア。

 しかも東京をはさんで、神奈川と山梨の2つの地域を担当するのは「寝ずに仕事をしろ」と命じられたのも同然だったからです。

 一体何が起こってしまったのだろう。会社の先輩エステシャンに聞いてみると、驚きの事実がわかったそうです。

「権力を利用したオーナーのセクハラは長い間、続いていました。しかもオーナーの要望に従うことがルールだから、断ると私のようなひどい目にあうのだそうです。

 なかには『オーナーの要望にこたえて、その試練を乗り越えてきたから、今の自分がある』と平然と言うエステシャンも。この会社の幹部は、全員オーナーの愛人なのだとわかるとゾッとしました」

◆またもやオーナーと副社長に誘われる

 オーナーの誘いを断固として受けないと決めて激務をこなしていた森さんですが、売り上げが伸びないという理由で、3か月もの間、森さんの給料をストップされたことも。もちろんこれは労働基準法違反です。

「休みなしに働いても、給料はなし。彼氏ともすれ違いで別れ、人生に絶望をしていました」

 やっと給料が支払われるようになって、ほっとしたのも、つかの間のことでした。仕事が終わってから、オーナーと副社長に突然呼び出された森さんは、またもや他の若いエステシャンらと、はしご酒に付き合わされます。

「オーナーはどこから情報を入手したのかネチネチと『男を紹介してやるよ、寂しいんだろう』と私を馬鹿にしました。そして『おまえを副社長にやるよ』と言ったのです。すると、副社長が私に抱きついてきました。たまらなくなって、逃げて帰りました」

◆「政治家の一晩の愛人を用意しろ」

 もう限界だ、辞めよう、と決意した森さん。でも翌朝、オーナーのとんでもない要望に、ついに激怒してしまったのです。

「会社主催のダイエットコンテスト審査員の政治家の好みに合うような、身長が高くキレイで若い女性を集めろというお達しでした。『政治家の一晩の愛人に、うちのエリアの女のコを差し出すわけにはいかない!』と、上司と大ゲンカして、やめました」

 大手エステの男尊女卑と腐敗ぶりに、すっかり嫌気がさした森さんは、初心忘るべからずの精神で「女性をキレイにする」をモットーに独立開業。

「あの頃よりも幸せになる!と自分を鼓舞しています」

―私達の身近な「セクハラ」 vol.15―

<TEXT/夏目かをる イラスト/鈴木詩子>

【夏目かをる】
コラムニスト、小説家、ルポライター。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆〜恋、のような気分で♪」更新中