Amazonは広告事業でも10億ドル(約1100億円)の事業規模を誇る。メディア業界においても巨大な存在となっている同社だが、ブランド各社はAmazonが提供するソリューションなどのややこしい略語の数々や、Amazonの担当者にとってすら難しい同社のエコシステムの把握に苦労している。

業界人に匿名で本音を語ってもらう 「告白」シリーズ。今回は、Amazonの勧めで高額なメディアバンドルを購入したものの業績に結びつかず、Amazon関連の戦略の見直しを余儀なくされた複数のブランドをクライアントに持つ、とあるエージェンシーの幹部に話を聞いた。

なお、以下のインタビューは内容を明瞭にするため若干の編集を加えている。

――ブランドがAmazonに資金を投じるにあたって苦労するのは、どういった点か?



多くのブランド、特に(消費者向けのパッケージ商品や)高級パーソナルケア用品分野では、「うちもAmazonに進出しようと思うが、何をしたら良いかわからない」というブランドが多い。当社のクライアントでも、AMS(Amazon Marketing Services)やAMG(Amazon Media Group)の違いが分かっていないブランドがほとんどだ。そんななかメディアエージェンシーやAmazonに話を持っていくと、AMGや最小限の閾値を持つ高額なバンドルサービスへの投資を勧められる。

だが、Amazonで優れた結果を出すためには大金を投じる必要はないんだ。AMGは閾値が10万ドル(約1100万円)だったこともある。一方でAMSなら、1万ドル(約110万円)も払えば充分だ。つまり、AMGのサービスはブランドにとってすぐに必要になるものではなく、大げさすぎる。(ブランドにとっては)歩くことを覚える前から走り出そうとしているようなものだよ。当社に来るほとんどのブランドは、すでにAMGを経験済みだ。彼らが一度もとの状態に戻して、戦略を練り直したいと考えるのも理解できる。

――あまりにも多額の投資をしたのに求める結果が得られていないことに気づいたと



その通り。AMGは長期に渡って知名度を上げていくためのものだ。

――AMGのサービスについてはどう思っているのか?



行動データに基づくディスプレイ広告という面が大半。そして、広告はAmazonだけでなく、Amazonの所有しているIMDbなどにも表示されるようになる。サイトのテイクオーバー広告や時期限定のバナー広告も出せる。ブランドが多額の投資をすると代理人がつくこともある。だがAMGの代理人は商品ページや問題解決に力を貸してくれることはない。メディアの仕事をしてくれるだけだ。

――AMSのほうが効率が良いのはどういう点か?



AMSは、直販とROIに焦点を絞っている。AMSはセルフサービスのプラットフォームだ。販売者がキーワードやスポンサード広告でターゲティングし、自社のブランドストアへのトラフィックを増やせる。AMSには1クリックあたりのサービスが多数あり、とても効率が良い。AMSのキーワード戦略を使えば、そのブランドを探していない層も取り込める。さらにブランドストアにはほかのメディアは介入できないから、ライバルやサードパーティーの商品が閲覧者の目にさらされることがなく、多少はコントロールしやすい面もある。最後に、ブランドストアは現在無料で、「いつやるか? いまでしょ!」という状況だ。当社でもっとも効率の高い結果を出しているのはAMSで、広告費に対して300〜500%のリターンがあったクライアントもいる。予算の非効率な使いみちの一例として、ブランドが検索マーケティング(SEM)のキャンペーンに1万ドルを投資する前に、ホームページのテイクオーバーに10万ドルを投じてしまうようなケースが挙げられる。当社では一般的に、クライアントにはAmazon上のプロジェクトの売り上げの約1%を投資に回すことを勧めている。

――AMGのバンドルについて、Amazonはブランドにどのように説明しているのか?



クライアントが何をすべきかはっきり理解しないままメディアエージェンシーやAmazonに相談して、結局AMGから多額の大掛かりなメディアパッケージを買うことになっている。メディアエージェンシーがブランドにこうしたバンドルを勧めるのは、Amazon以外でのメディアバンドルと非常に似通っているからだ。Amazon自身が直接ブランドにこのようなバンドルを売り込むこともある。

――AmazonがブランドにAMSでできることを説明するのではなく、AMGをプッシュするのはなぜ?



AMGは、別個の組織であり、ほかのメディアやパブリッシャーの直接的なライバルだ。だからここで利益を上げようとしている。機に乗じる、いかにもAmazonらしいやり方だ。当社はブランドに対し、投資する前にこうした情報を伝えている。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:SI Japan)