司馬遼太郎の『世に棲む日日』から人生の基軸を学んだ

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 私は10年単位で目標となる“志”を定めている。銀行で最高情報責任者(CIO)だったこともあり、この10年は「ITで日本を豊かにする」だ。

 志は人生の基軸であり、“志本主義”と言っている。そう思わせたきっかけが、司馬遼太郎の『世に棲む日日』だった。大学3年の頃に読み、感銘を受けた。幕末の思想家である吉田松陰、志士の高杉晋作が革命に挑む物語から、行動を起こすには志が大切と分かった。今にも通じる。志を宿したチャレンジでなければ、イノベーションを起こせない。

 35歳くらいの時、塩野七生の『ローマ人の物語』に出会った。最高裁判所判事の略歴欄に好きな本として紹介されており、興味をひかれた。戦争に勝った国が敗れた側に寛容な自治を認めると、民衆がついてくる。私自身、社長となってからもリーダーシップのあり方として参考になる。競争は必要だが、最終的には“協創”、つまり皆でつくり上げるのが仕事だ。

 『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』は、企業の存在意義を考えさせられた。著者であるハーバード大学教授のクレイトン・クリステンセン氏は、自分たちの富しか考えない経営を戒める。起業して報酬を得ることも大切だが、社会に貢献する姿勢が経営者に求められると説いた。

 国は違うが『代表的日本人』『無私の日本人』も、誰かに貢献する生き方という意味で共通する。企業はイノベーションを起こさないと社会で存続できない。当社も困りごとに対応し、お客さまのイノベーションのお手伝いをしたい。

 私の普段の業務にはアルボムッレ・スマナサーラの『怒らないこと』が影響を与えた。怒ると相手も、自分も壊れる。周囲から警戒され、情報が入ってこなくなる。怒りは最悪のコミュニケーションだ。45歳の頃に読んでからデスクに置いたままの、文字通り“座右の書”となっている。