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 東京理科大学生命医科学研究所の小幡裕希講師、同大理学部の椎名勇教授らは、消化管の間質細胞腫である「GIST」のがん細胞増殖を抑制して細胞死を起こす化合物を見い出した。がん細胞の中でたんぱく質を成熟させる器官の輸送機能を阻害し、細胞増殖を抑える効果があった。GISTやほかのがんの治療への応用が期待される。2018年中にも動物実験を開始する。国立がん研究センターとの共同研究で実施した。

 GISTは、胃や腸の筋層に発症する肉腫。国内の発症率は10万人に2人であり、患者数の少ない希少がんに分類される。一般的な治療では、細胞増殖の信号を伝達する酵素「Kit」を狙った分子標的薬「イマチニブ」の継続的な投与を行う。しかし、Kitに変異が起きるとイマチニブの効果がなくなり、再発してしまう。再発した患者の80%で、Kitの特定の場所に変異が起きることが分かっている。

 研究チームが変異型KitのヒトGIST細胞内での動きをくわしく調べたところ、たんぱく質合成器官の「小胞体」から「ゴルジ体」へと輸送され、ゴルジ体で活性化している様子が観察できた。

 これに今回発見したたんぱく質の輸送を阻害する化合物「M―COPA」を作用させると、変異型Kitは小胞体に留まってゴルジ体に移動せず、細胞増殖に働く信号を出せなくなっていた。増殖できなくなると、がん細胞は細胞死に至った。