アマゾンが、かねてから米国で実験を行っていた、レジのないコンビニエンスストア「Amazon Go」が、現地時間1月22日にオープンする。

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当初の計画から10カ月遅れる

 同社はさっそく、ウェブページで、Amazon Goの開店を告知し、入店時に必要となるスマートフォン用アプリを、Google Playなどのアプリストアで配信した。

 同社が、Amazon Goを発表したのは、2016年12月だった。当初、同社従業員限定で試験営業を行い、昨年の3月末に一般公開する予定だった。

 しかし、米ウォールストリート・ジャーナルなどの米メディアによると、Amazon Goでは初期の実験段階で不具合が見つかった。このため、アマゾンは、試験営業を継続し、システムの改良を図っていた。

(参考・関連記事)「アマゾン、レジ精算不要の実店舗、一般公開が延期」

商品を手に取って、店から出るだけ

 前述したとおり、Amazon Goにはレジがない。レジに代わってあるのは、駅の改札口のようなチェックイン/チェックアウトレーンだ(米ニューヨーク・タイムズの記事)。

 顧客はスマートフォンに入れた専用アプリでQRコードを表示し、チェックインレーンにかざして入店する。

 店内には、一般の店にあるようなショッピングバスケットやカートもない。自動運転車にも利用されている、コンピュータビジョンや、ディープラーニング・アルゴリズム、センサーフュージョンといった技術によって、レジ精算が自動化されているためだ。

 ここでは顧客は、買いたいものを棚から取るだけ。その際、商品を自分のかばんに入れてもかまわない。すると、アマゾンのシステムが、どの商品を手に取ったかを認識し、その客の仮想ショッピングカートに入れる。

 また客が、一度手に取ったものを棚に戻した場合、その商品はショッピングカートから削除される。こうして、必要なものを手にした客は、チェックアウトレーンを通って店から出る。すると代金は客のアマゾンアカウントで精算される。

 ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、これまで行ってきた試験によって、Amazon Goのシステムは、より正確に、物を認識したり、買い物客によってそれぞれ異なる動作の速度やパターンを追跡したりすることができるようになった。

 アマゾンで、実店舗技術担当副社長を務めるディリップ・クマール氏は、こうした顧客の行動追跡に関する処理は、とりわけ混雑時に難しくなると話している。

Amazon Goの技術をホールフーズにも導入か

 Amazon Goは、計画が大幅に遅れたものの、こうして一般公開に至ったことの意味は大きいと言えそうだ。

 というのも、アマゾンは、eコマースの巨人でありながら、近年、実店舗展開に力を入れているからだ。例えば、2015年に1号店をオープンした、書籍の対面販売店舗「Amazon Books」は、現在13店舗を展開しており、新たに3つの新店舗もオープン予定だ。

 昨年は、米国やカナダ、英国に約460店舗を持つ、米高級スーパーマーケットチェーン「ホールフーズ・マーケット」を買収した。

(参考・関連記事)「アマゾン、ホールフーズの買収効果が明らかに」

 同社が今後、Amazon Goの技術を、これらの店舗に導入するのかどうかは分からない。だが、技術面においては、実現可能な方向に向かっているようだ。

 アマゾンのクマール氏によると、同社の技術プロジェクトは、そのすべてが、その後の拡張可能性を念頭に進められているという。

 ホールフーズ・マーケットのような大型スーパーで、こうした技術を導入することは、現時点で難しそうだが、売り場面積が小さいAmazon Booksでは比較的容易に実現できるのかもしれない。

(参考・関連記事)「Amazon Booksに垣間見られる実店舗展開」

筆者:小久保 重信