電気も通らないモザンビークの村に日本人が銀行を設立!

写真拡大

◆<日本植物燃料代表・合田真氏インタビュー>

 アフリカのモザンビークでバイオ燃料事業を展開していた日本人起業家が、現地でモバイルバンクを設立するという。Fintech(金融とITの融合)を活かして世界最貧困地域で奮闘する経営者が、その先に見ている“新しい経済の形”とは!?

◆電気も銀行もないアフリカの農村でモバイルバンクを設立

――合田さんがモザンビークで銀行を設立する動きが話題になっていますね。そもそも、なぜモザンビークで!?

合田:もともと、現地でバイオディーゼル事業を展開していたんです。電気も通っていない田舎の農村で「ヤトロファ」(※)という植物を農家に育ててもらい、その実から搾油してバイオディーゼル燃料を作っています。現地従業員を雇い、バイオディーゼル燃料で起こした電気を使って売店を村に設置し、充電したランタンを貸し出したり、氷や冷たい飲み物などを売ったりしています。

=================

(※)《争いを生まないエネルギー「ヤトロファ」の開発》

 バイオ燃料の原料として主流なのは油ヤシからとったパーム油や、サトウキビから作るバイオエタノールなどだ。だが、それらは大手企業がプランテーションを大々的に開発し、上流から下流まで流通経路を押さえてしまうので、中小企業の参入は難しい。事実、日本植物燃料も当初はパーム油の卸業を手がけたが、すぐに行き詰まった。

 また、大規模プランテーションは森林伐採による環境破壊や、既存農地との競合による農民の追い出しや食糧生産の圧迫など、さまざまな社会問題を起こす。被爆地・長崎で生まれ育った合田さんは「第二次世界大戦の一因は資源をめぐる争い。争いを生まないエネルギーを作りたかった」と語る。

 そこで同社は、「ヤトロファ」という植物の実からとれる油に注目。従来種より300%油の収量が多い品種を開発した。そしてモザンビークに現地法人を立ち上げ、ヤトロファの苗を農家に無償提供するプロジェクトを始めた。新たに畑を作るのではなく、畑の垣根として植えることで、既存農業との競合を避けた。収穫した実を農家から買い取り、搾油・精製したものが商品となるが、海外に販路を求めても競争力がない。一方、ほとんどが非電化地帯であるモザンビークの農村にとっては、このエネルギーに対する需要は大きい。

 そこで、まずは充電式ランタンのレンタル事業を始める。続けて、精製したバイオ燃料で発電機を回し、氷や冷たい飲み物などを売る売店を設置。現地の人々は、農地を削ることなく新たな収入源を確保できると同時に、消費財を買う資金とアクセスを同時に得られるようになったのだ。

=================

――燃料を作るだけでなく、農村開発のようなこともしているんですね。

合田:そこで問題が起きました。帳簿を合わせるたび、売り上げ金が足りない。で、現地スタッフに聞くとこう言うんです。「周りの村は電気もないのに、ここだけ電気も売店もある。それを妬んだ他の村の人が黒魔術師を雇って呪いをかけたんだ。そのせいで、妖精がお金を持って行ってしまった」と。

――すごい理由ですね。しかし現地の人たちとの関係性を考えると、頭ごなしに否定もできない。

合田:悩んだあげくに達した結論は、「現金を扱わなければいい」というものでした。村の人たちにICカードを配り、NECの協力を得て電子決済システムを導入。お店の決済を電子マネー化したんです。すると、最大で3割も合わなかった売り上げ金が、誤差1%以下にまで激減しました。

――妖精も電子マネーまでは持って行けなかったんですね(笑)。

◆「格差」を乗り越えるFintechの可能性