優勝したジョン・ラーム(左)とアンドリュー・ランドリーがお互いの健闘をたたえ合う(撮影:GettyImages)

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最終日を1位や2位で迎えても、初優勝がかかる選手の多くは、往々にして勝利をつかみ損ねる。そんな現象はプロゴルフの世界ではしばしば起こる。今週の米国男子ツアー、「キャリアビルダーチャレンジ」でも、最終日はそういう展開になっていった。
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2日目に首位に立ち、3日目を2位で終え、初優勝に迫っていたのは米国人選手のアンドリュー・ランドリー。2016年に米ツアーに初めてフル参戦したもののシード落ちし、昨年は下部ツアーのウェブドットコム・ツアーにフル参戦。そこで賞金ランク4位になり、今季は米ツアーへカムバックした。
この大会は彼にとって今季7試合目。昨年11月の「RSMクラシック」で4位タイに食い込んだことが、ランドリーの自信を膨らませつつあった。プロアマ形式で進行が遅く、日々コースも変わる変則スタイルの今大会は、トップランクの選手たちの多くが敬遠するが、そんなふうにプレーしにくい状況下で、ランドリーは出場選手の中で唯一、3日間ノーボギーの見事なゴルフを披露。30歳にして初優勝ににじり寄っていた。
そして最終日。この日もランドリーは奮闘していた。3日間たたかなかったボギーをこの日はたった一つだけたたいてしまったが、それでも5バーディーを奪い、彼にとっては最高レベルのゴルフをしていたのだと思う。
しかし、どんなにいいプレーをしていても、それ以上のプレーをする選手が現われるのが、この米ツアーという場所だ。今大会の出場選手の中で世界ランキング最高位(3位)だったスペインの23歳、ジョン・ラームが最終日に5つスコアを伸ばし、ランドリーに追いついてサドンデスのプレーオフへ。「世界3位」対「世界184位」の一騎打ち。どこからどう見ても、ラーム有利と思われた。
しかし、二人の戦いは想像以上に互角の争いとなり、なかなか決着を見ることなく4ホール目までもつれ込んだ。世界3位が184位を「ちゃっちゃと下す」なんてことは「いうは易し、行なうは難し」。それが、ゴルフというものなのだろう。
世界3位とはいえ、ラームはまだ23歳。30歳のランドリーのほうが社会経験豊富な大人である。ゴルフの世界においても、ランドリーは米ツアーも下部ツアーも熟知しており、上から下へ落ちることも、下から上へはい上がることも、すべて経験済みだ。切羽詰まった状態で自身の精神面をどうやって落ち着けたらいいか、そのコントロール方法を知っていたのは、ランドリーのほうだったのかもしれない。 
ラームはすでに米ツアー1勝、欧州ツアー2勝を挙げていたが、プレーオフは初めての経験だった。もっとも、プレーオフに関してはランドリーも初体験だったため、そこは二人とも同等だった。
こうしてみると、世界ランクは大きく異なるものの、二人は案外、近い場所に立っていたといえる。それは突き詰めれば、この二人のみならず、米ツアー選手の誰にも当てはまることであろう。
実力差がひっ迫している昨今の米ツアーでは、ここ1、2年ほどの成績によって実績やランクに差が出ているが、それは刹那的なものにすぎない。逆にいえばこれからの1、2年ほどで、あっという間に逆転されてもおかしくない数字ばかりだ。
76ホール目の2打目まで、二人の戦いは本当に互角だった。結果的には、2.5mのバーディパットを入れられなかったランドリーが初優勝を逃がし、ほぼ同じ距離から入れたラームが勝利を挙げた。それは「ツアー2年目に早くも米ツアー2勝目を挙げ、世界ランク2位へ浮上した23歳が、来週の『ファーマーズ・インシュランス・オープン』のディフェンドに挑む」という、素晴らしくよくできたストーリーになったが、よくよく考えれば、ランドリーもラームも「初」の経験に心を震わせながら、たった1打少なく上がることだけに夢中であり必死。そういう戦いだったからこそ、「世界3位」と「世界184位」のプレーオフは、あんなにも長丁場になったのだろう。
長い戦いを敗北で終えたランドリーが、底抜けに明るい笑顔でラームに握手を求めた姿がとても新鮮だった。負けても「とてもいい1週間だった」と笑ってみせたランドリー。苦戦の末に勝ち、「信じられない。何て言ったらいいのかわからない。支えてくれたみんなに感謝の気持ちでいっぱいだ」と興奮気味に語ったラーム。
ゴルフの戦いは、ランキングやデータや数字より、その人その人の歩みに沿って眺めるものだと、あらためて思ったサンデーアフタヌーンだった。
文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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