巨大ソーシャルプラットフォーム、Facebookへの依存度を減らす取り組みがパブリッシャーのあいだでトレンドになっている。そして、Facebookがニュースフィードのなかでパブリッシャーよりも一般ユーザーの書き込みの優先度を上げると公表したことで、この流れはさらに加速していく可能性がある。

Facebook経由のトラッフィックが減少することを危惧して、パブリッシャーは新たなSNSチャネルの立ち上げや既存のチャネルへの投資や内部ツールの強化を行い、ユーザーとの関係を深めようとしている。Facebookへの依存が顕著なパブリッシャーは、多チャネル化にあまり興味を示していないようだが、本記事の執筆にあたって連絡をとったパブリッシャーはみな、大きな変化を感じていた。

グループ・ナイン・メディア(Group Nine Media)でCEOを務めるベン・レラー氏は、パブリッシャーの2017年における大きな不満の種は、ニュースフィードの動画があまりマネタイズされなかったことであり、「配信されなくなる可能性のあるコンテンツとは、パブリッシャーがマネタイズできていないコンテンツだということだ」と語る。「パブリッシャーはみな、これまで通りFacebook内でサステイナビリティやスケーラビリティのあるビジネスモデルを見出そうとしている。だが、何か大きな変化が起こらない限り、それは不可能だろう」。

多チャネル化戦略



Webページのアクセス数を調査する機関、シミラーウェブ(SimilarWeb)の分析によると、インターネット事業会社IAC傘下のニュースメディア、デイリービースト(The Daily Beast)では、掲示板サイトのレディット(Reddit)やTwitterからのトラフィックがFacebookを上回っている。また、アプリ内のニュースアプリのフリップボード(Flipboard)からのトラフィック構築といった誘導施策に積極的だ。2017年11月からフリップボードに取り組みはじめて以来、このアプリからの口コミによるトラフィックは2倍近くまで増加し、参照元としてFacebookを大きく凌いでいるという。

「競合と比べると、我々のFacebookへの依存度は非常に小さい。これは、可能な限り多くのチャネルを持つという戦略をとってきたおかげだ」と、ビーストでオーディエンス成長部門のディレクターを務めるジャナキ・チャラ氏は語る。

シミラーウェブによると、ブルームバーグメディア(Bloomberg Media)の参照元は依然としてFacebookが最大のメディアだが、彼らは新しいチャネルにおけるリーチの拡大にも取り組みはじめているという。ブルームバーグメディアは最近、メッセージアプリとして日本、台湾、マレーシアで絶大な人気を誇るLINEを含む、10のプラットフォームで自身のコンテンツを展開している。また、イランなどの国で人気のメッセージアプリのテレグラム(Telegram)での展開も検討中だと、ブルームバーグでオーディエンスエンゲージメントのグローバル部門のトップを務めるミーナ・シルベンガダム氏は語る。

ギズモード・メディアグループ(Gizmodo Media Group)などのパブリッシャーは、既存のオーディエンスからのトラフィックを増加に焦点を当てている。

ユーザーとの関係構築



現在、トラフィックの大部分をFacebookに依存しているパブリッシャーにとっては、選択肢はあまり多くない。トラフィックの90%がFacebook経由だというパブリッシャーの幹部は、「Facebookのようにトラフィックを稼げるプラットフォームは、地球上のどこにもないし、今後もすぐには出てこないだろう」と語る。

匿名希望のその幹部にとって、2017年12月14日に発表された変革は間違いなくFacebookの活用法に影響を与えることになるだろう。「私たちがこのプラットフォームをどのように活用するかの議論は厳しいものになる」と、その幹部は語る。「Facebookが求めているようなエンゲージメントを生み出すために、見境いなくただコメントを許可するのではなく、論点を導き出して読者を議論に巻き込めるように、もっと積極的に取り組んでいくつもりだ」。

この変革に関して、予想したほど楽観的に見えるパブリッシャーが少なかった一方で、このFacebookの動きは、そもそも莫大な利益を得られる見込みのない戦略から、移行するためのきっかけになるのではないか、と指摘する者もいた。

Facebookをeメール、Googleに次ぐ3番目に大きな参照元として考えているアメリカ国内のニュースパブリッシャー、パッチ(Patch)でCEOを務めるウォーレン・セント・ジョン氏はこう語る。「私たちは常に、ユーザーとの直接的な関係を持ちたいと考えてきたし、常にそれを最優先にしてきた。だが、この変革は間違いなく、そうした考えに切迫感を与えるものだ」。

Max Willens(原文 / 訳:Conyac)