2017年、パブリッシャー各社は、Amazon AlexaやGoogle Assistantをはじめとする音声アシスタントに熱心に取り組んだ。専用のコンテンツが必要になるうえ、確実なマネタイズの手段がまだないというのにだ。CNBCでは、自社のAlexaスキルを毎週利用するオーディエンスの数が一定レベルに達したため、グローバル広告チームが数カ月以内にオーディオ広告パッケージの売り込みをはじめることになった。

CNBCによると、AmazonとGoogleを利用した音声サービスのユーザーは2017年1月から倍増した(Google向けサービスは2017年5月に米国で開始)。ただし、正確な数は明らかにされていない。また、スキルを利用するユーザーはロイヤルティが高く、オーディオサービスはiOSアプリとAndroidアプリに次いでリピート率が高いという。たいていの場合、CNBCは音声アシスタントデバイス経由で既存のユーザーにリーチし、彼らがオーディオコンテンツをもっと手軽に利用できるようにしている。

CNBCがAlexa対応デバイス向けのコンテンツを作り始めたのは、2016年11月のことだ。翌12月には、CNBCインターナショナル(CNBC International)がAlexaのフラッシュ・ブリーフィング・スキル(RSSを読み込んで最新記事を読み上げてくれる機能)の提供を開始。欧州とアジアのオーディエンスが地域の最新の金融情報を聞けるようにした。現在は、ロンドンとシンガポールにいる総勢8名のデジタルチームが、Alexa専用コンテンツの制作に取りかかっている。このAlexaスキルは、米国以外の国の株式市況を伝えるもので、この1月から提供をはじめる予定だ。

「現時点では、これは実験だ」



当然ではあるが、この分野が成長するには、対応デバイスの所有者が増えなければならないと、CNBCで製品およびテクノロジー担当シニアバイスプレジデントを務めるディープ・バグチー氏はいう。コンサルティング企業のストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)が公開したレポートによれば、スマートスピーカーのユーザーは全世界で2400万人にまで増えている。また、同じくコンサルティング企業のアクティベート(Activate)の予測によると、米国では2019年にデバイスの数が4100万台に達し、ほかの多くの消費者向け製品がスピーカー経由で利用できるようになるという。

「このプラットフォームは新しく、まだ登場したばかりだ。したがって、どのように成長していくのかを観察し、見極めたいと考えている」と、バグチー氏は語っている。「現時点では、これは実験だ。このプラットフォームを使って、どのような機能を実現できるのか、どのくらいの人たちが利用するのか、何が支持されるのかを確かめているところだ」。

CNBCでは、新しいプラットフォームを担当する6名のチームが、各プラットフォーム向けのコンテンツを制作する編集部と緊密に連携しながら、コンテンツをプラットフォームに統合する作業を行っている。音声アシスタントデバイスについては、コンテンツの拡大を図っており、「CNBC Markets Now」「CNBC Tech Check」「Mad Money’s Jim Cramer」「Cramer's lightning round」の4種類のコンテンツに特化したフラッシュ・ブリーフィングを追加。また、Amazon Echo Show(エコーショー)向けのコンテンツを手がけており、Echo Show専用のコンテンツも作成している。CNBCでは、成功の度合いを測るため、オーディエンスの合計と毎週のリピート率、それにCNBCのスキルがユーザーの質問に答えられなかった回数を測定している。バグチー氏によれば、彼らがもっとも関心をもっているのは、提供するコンテンツの数が減ることではなく、ユーザー体験を維持できているかどうかだという。

「早くから関与することが大事」



Alexaのスキルやほかの音声アシスタントの類似機能にとっては、その存在を人々に知ってもらうことが問題となる。アクティベートは10月、利用可能なスキルの数が2万5000以上あるにもかかわらず、米国のAlexaユーザーの65%がサードパーティのスキルをまだ有効にしていないと報告した。実際、CNBCはこの問題に直面している。継続的なオーディエンス調査の一環として、どのようなスキルがあればもっとも役に立つかを尋ねたところ、同社がすでに提供している株式市況のスキルを求める声が上がったのだ。

「より大きな問題は、プラットフォームがスキルの存在をユーザーに周知する方法だ」とバグチー氏は述べ、「プラットフォームは認知度をもっと高める必要がある」と語っている。この問題を解決する方法のひとつは、GoogleやAmazonがユーザーの質問に答えられなかったときに、その質問をサードパーティのスキルに転送することだ。ただし、サードパーティの選び方や費用の負担が新たな問題となる。

CNBCは、オーディエンスの数を増やすことを2018年の目標に設定。そのために、CNBCのほかのチャネルを利用して音声アシスタントサービスを宣伝し、ユーザー体験を損なうことのない持続的な収益モデルを確立するという。

「最初の1年は、ユーザー体験を検証する時期だった。オーディエンスが存在していること、そしてユーザー体験が優れていることを確認する必要があった」と、バグチー氏はいう。「需要が見込めるのは、テクノロジー好きのオーディエンスにリーチしたいと考える金融関係の広告主だ。(広告主にとっては)規模が重要になるだろうが、このプラットフォームはまだ新しいため、早くから関与して、適切な広告とユーザー体験を作り出すことがブランドに価値をもたらす。広告だらけのオーディオ番組にしはたくないのだ」と、バクチー氏は語った。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)