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 会議や対話で、洗い上げ質問、掘り下げ質問、示唆質問、まとめの質問の4つの質問を繰り出していくと、一定時間内に合意形成できる確度が格段に高まってきます。掘り下げ質問で問題点の深刻度合の優先順位を見極めたら(参照:『合意形成のためには、問題点を「深く掘り下げる」のは正解か?』)、示唆質問を繰り出して議論の方向性を絞り込みましょう。

 例えば、来年度の業務方針について合意形成を行う会議をしていて、一番深刻な問題が、「人手が足りないから出来ない」という問題だったとします。進行役は、例えば、「それでは、もし仮に、○○チームに応援してもらって、人手を充足することができたとすれば、賛成ですか」と聞く。これが方向性を示唆する質問です。

 あるいは、「ただでさえ忙しいのだから、新しい取り組みを含む、来期の方針は実現できない」というようなスケジュールが合わないから出来ないということが、最も深刻な問題だったとします。この場合、進行役は、「それでは、スケジュールを組み直すことが出来れば、少なくとも反対はしませんか」……というように解決の方向性を示唆して賛否を聞く方法です。

 これらの示唆質問に対して、賛成だ、少なくとも反対はしないという返答を得られれば、異論や懸念を出してくれた人との間で、合意形成できたことになります。

 もちろん、「賛成だ。反対しない。しかし、○○の問題もある」……というように、次の問題を指摘されることも多いでしょう。そうしたら、次の優先順位の問題について示唆質問を繰り出せばよいことになります。

◆示唆が思い浮かばないときはどうする?

 この方式を実際のビジネスの場面で試した結果、寄せられる質問に、「示唆質問が思い浮かばなかった」というものがあります。「仮に○○だったら賛成ですか」「もし○○ができれば、少なくとも反対はしませんか」という○○が思いつかなかったというものです。

 その場合でも心配はいりません。最も深刻な問題として、その点を挙げてくれた人に、「仮にということで結構ですが、どうすれば、その問題が解消したり、緩和されたりしそうでしょうか」と聞いてみればよいんです。

 4つの質問による合意形成の進行役は、議題の細部に精通した人でなくとも務まります。逆に、精通した人でない人の方が実施しやすいのは、そのためです。参加者に示唆の内容を聞けばよいし、そもそも質問だけで進行していく手法なので、議題の細部に進行役が精通している必要はないのです。

◆実現度と合意度のバランスで方向性を見極める

 進行役が示唆質問の示唆のあり方を聞く相手は、最も深刻な問題を挙げてくれた人でなくても構いません。他のメンバーの方に聞いてみればなおよいでしょう。そうすることで、ともに問題を解消する気運を盛り立てることができるわけです。

 4つの質問による合意形成の方法は、複数名が参加する会議の場面でも、1対1の対話の場面でも活用することができますが、複数名が参加する会議の方が、さまざまな示唆のアイデアを出してくれる可能性が高いからです。

 逆に進行役が自ら示唆を繰り出さない方が良い場合さえもあります。参加者に聞いて、参加者が望む方向でまとめていけばよいのです。参加者が答えた解決の方向性が実現不可能なものである場合もあります。その場合は、いくつか解決の方向性を出してもらい、その中から選んでいけばよいのです。

 実施できるかどうかの現実性と、参加者が合意できるかどうかという状況との兼ね合いで、どの方策を取るか決めていくのです。

◆会議の手順ではなく合意形成手法そのもに関心を

 会議の進行役を務めることに抵抗感を覚える人もいるでしょう。できれば、担いたくないと思う人もいらっしゃると思います。しかし、このように、参加者に質問していくだけで、異論や懸念を洗い上げ、掘り下げ、示唆質問は思いつかなければ参加者に質問すればよいという方法であれば、やってみたいとと思わないでしょうか。