相談役・顧問が多い企業トップ10社ランキング

写真拡大 (全8枚)


相談役・顧問の情報を開示することで、うまくいっている会社は優れた事例として他社の参考になる(写真 : xiangtao / PIXTA)

相談役・顧問に関する情報を任意で開示することに

東芝の不正会計事件でその元凶ともされた同社の相談役・顧問の存在。外部に公開されていない点などが問題視され、今年1月からは各社のコーポレート・ガバナンス報告書で代表取締役社長等経験者が就任した相談役・顧問に関する情報を任意で開示することにつながった。

こうした動きを受け、「第13回東洋経済CSR調査」(昨年6〜10月実施)では、「相談役・顧問制度」についての質問項目を入れていた。内容は代表取締役社長等の経験者以外も含む幅広い相談役・顧問の状況で1071社の回答があった。今回はこのデータを使って集計やランキングなどでご紹介していく。

まず、制度の有無について見ていこう。相談役・顧問制度の状況では、「あり」62.4%(668社)、「なし」33.2%(356社)、「その他」4.4%(47社)だった。


ただ、「その他」47社には「相談役は存在せず顧問しかいない」「制度はないが、必要に応じて置くことがある」といった内容に加え、人数が回答されていることも多く、実質的に「あり」と判断してよさそうなケースが目立った。

経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」でも「相談役・顧問が悪い」とは言っていないのだが、「相談役・顧問制度あり」という回答には躊躇する企業は多いことがうかがえる。

相談役・顧問制度の導入目的は複数の選択が可能(対象は「あり」「その他」715社)。最も多かったのは、「現経営陣へのアドバイス」で74.7%(534社)、続いて対外活動42.0%(300社)、その他13.0%(93社)だった。


相談役・顧問の待遇は?

相談役・顧問の待遇では、「報酬」が67.8%(485社)で最も多かった。続いて、「個室」29.0%(207社)、「秘書」20.1%(144社)、「社有車の利用」17.5%(125社)、「その他」6.6%(47社)となった。


個室、秘書、社有車の利用のいわゆる「3点セット」すべてあったのは82社(報酬も含む4点セットは80社)。電機、電力、保険、商社など伝統的な業界に多く見られた。

相談役または顧問の人数を開示している638社の相談役の合計人数は316人、同じく顧問は1829人。人数では顧問が圧倒的に多かった。顧問は経営者や取締役経験者以外に技術的な助言などを受けるために置いているという企業も少なからず存在していた。

続いて、相談役・顧問の合計人数でランキングし、各社の状況を見ていく。あくまでアンケートによる回答のため、開示をしっかりしている先進企業内での順位であることには注意していただきたい。

表には相談役・顧問数と対比させる情報として『役員四季報』2018年版の取締役数も掲載した。

1位は大林組の35人。同社は相談役は置かず、すべて顧問だ。導入目的は現経営陣へのアドバイスと対外活動。「これまでの経験で培われた知識や人脈を活用できること」をメリットとしてあげる。待遇は報酬のみで「現経営陣が求めたときのみ、助言・助力を行い会社の意思決定には関与していない」とガバナンス上の問題はないという。

2位は日本工営の33人。同社も全員が顧問で対外活動を担当している。3位はパソナグループの30人(全員顧問)。目的は現経営陣へのアドバイスで、それぞれの知見を生かした助言、指導、人脈紹介等を行っている。

4位は新東工業の28人。内訳は相談役3人、顧問25人。相談役は国内外に構築した人脈・ネットワークの伝承、顧問は後進の指導・育成を行うことを目的としている。


同じく4位はIHIで28人。相談役1人、顧問27人だった。現経営陣へのアドバイスと対外活動が目的。相談役は主に対外活動、顧問は会社業務の重要事項について諮問に応じる、と役割分担されている。

6位はロームの24人。全員が顧問で「業務効率化のため」に置いているという。該当者は他社および自社出身の各分野の専門家で、社内の担当者の育成・指導を行う。業務のよりよいやり方や視野を広げるための経験ベースでのアドバイスが中心で待遇も報酬のみだ。

7位は神戸製鋼所の23人(相談役1人、顧問22人)。目的は現経営陣へのアドバイスと対外活動。「事業分野が多岐にわたる自社において、幅広い分野における専門家や経験者からのアドバイスが必要で、その点でメリットを享受している」と回答している。

以下、8位日本電産22人(顧問のみ。相談役は開示なし)、9位三菱マテリアル19人(顧問のみ)、10位鹿島18人(相談役1人、顧問17人)など4社が続く。

上位企業には、最近、不祥事が発生した企業もいくつか見られる。純粋なアドバイスやノウハウの継承など、うまく活用している企業がある一方で、よく言われる「老害」といった弊害も一部にはあるのかもしれない。

メリットを感じている企業も多い

ただ、回答内容を幅広く見ていくと、メリットを感じている企業も多いようだ。もし、そうであるならば、今後は積極的に情報を開示し、説明していくことが求められる。きちんと開示することで、うまくいっている会社は優れた事例として他社の参考になる。また、ガバナンス上問題がある場合も歯止めになる可能性が高い。

開示の際はお世辞にも見やすいとは言えないコーポレート・ガバナンス報告書だけでなく、CSR・サステナビリティ報告書などで、わかりやすい形で示すことも必要だ。

我々のCSR調査でも今後も継続的に相談役・顧問についての情報を集めていきたいと考えている。ぜひ、各社のご協力をお願いしたい。さて、今回ご紹介した情報は取締役数も含めてすべて『CSR企業総覧(ESG編)』に掲載している。調査研究などの際はご利用いただきたい。