(編集・制作 (株)法研

女性特有の臓器や構造による排尿トラブルなどに対処。
泌尿器科のお医者さんを必要とする女性がますます増加。女性が安心して泌尿器科にかかれるしくみを!

恥ずかしくて受診しづらい泌尿器科 女性医師の割合は?

排尿トラブルなどの泌尿器にかかわるトラブルや病気は年とともに増えてきますが、女性の場合、尿道の構造や、妊娠・出産などが原因で起こる排尿トラブルなどが若いうちからみられます。

この泌尿器のトラブルを診てくれるのは泌尿器科ですが、泌尿器科を専門とする医師は、全国の医師数全体の2.3%しかいません(*)。また、泌尿器科の領域である腎臓・尿管は男女共通ですが、尿を排出する臓器(膀胱〜尿道)やその周辺の生殖器などは、構造が男女で大きく異なるため、性差に基づいた医療が必要です。

また、これらの領域のトラブルは恥ずかしさが先に立って受診しづらいもの。「男性の先生ではちょっと……」という女性も当然いることでしょう。このような課題を解消するには、女性特有の泌尿器科のトラブルや病気のことがわかる、女性の医師を増やすことが必要です。医師として女性泌尿器科を専門とするのに男女差はありませんが、女性泌尿器科医のほうが患者さんと気持ちを共有しやすい面もあります。

しかし現実には、泌尿器科を専門とする女性医師は、全国の医師数全体の0.5%に過ぎません(*)。また、2007年度中に(社)日本泌尿器科学会に入会していた7584人中、女性は304人(約4%)にとどまり、他の診療科と比べても最低レベル。これを都道府県別にみると、女性泌尿器科医ゼロという県もあり、半分以上の県が5人以下でした。

このような現状を何とかしようという動きも出てきています。2006年1月、(社)日本泌尿器科学会のなかに「女性泌尿器科医の会」が誕生したのです。同会は女性泌尿器科医の増員・育成を通して、女性泌尿器科疾患の予防・治療が円滑に行える社会を目指し、学会内外で活動しています。

(*)厚生労働省/2006年『医師・歯科医師・薬剤師調査』より

排尿トラブルの主な原因とは?

泌尿器科を受診する女性の多くは、排尿トラブル、すなわち「トイレが近い」「急にトイレに行きたくなりがまんできない」「尿がもれる」「尿が出にくい」「排尿後も尿が残っている感じがする」といった症状がきっかけになっています。

その原因の一つに、「骨盤底筋群のゆるみ」があります。骨盤底筋群はおなか側の恥骨とお尻側の尾骨との間にある複数の筋肉や靭帯で、ハンモック状にその上部の子宮、膀胱、直腸といった臓器を受け止め、支えています。

この骨盤底筋群は妊娠や出産、肥満や年をとることで損なわれ、ゆるみによって尿道を支えきれなくなると、咳やくしゃみなどおなかに力が入ったときに尿がもれてしまう腹圧性尿失禁を招きます。また、子宮、膀胱、直腸が腟の中に下がったり、さらには腟から体の外に出てきてしまうことがあります。それぞれ子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤と呼ばれ、総称して骨盤臓器脱(性器脱)といいます。いずれも膀胱や尿道に影響を及ぼすために排尿トラブルを伴うことになります。

骨盤底筋群のケアが有効な場合も

女性に多い泌尿器科の病気はこのほか、頻尿や切迫性尿失禁をともなう過活動膀胱、細菌性尿路感染による膀胱炎、心因性頻尿、そして原因不明の間質性膀胱炎などです。
更年期前後から増えてくる病気が多いものの、若い人にも多い、また若いころから予防やケアが必要な病気を含んでいることも女性の泌尿器の病気の特徴といえるでしょう。

なかでも最も訴えの多いのは前述の腹圧性尿失禁です。それを予防するための骨盤底筋群のケアはとても重要です。次いで多いのが切迫性尿失禁。トイレに行きたいと思ったら、がまんできずにもれてしまうのが主な症状で、こちらに対しても骨盤底筋訓練は有効といわれています。

膀胱炎は多くが細菌感染によるもの。細菌が尿道に侵入した場合、尿道が約4cmしかない女性はすぐに膀胱にまで達してしまうのです。同じ膀胱炎でも、間質性膀胱炎では尿中に菌を認めません。尿がたまってくると下腹部・尿道・腟のあたりに強い痛みを伴い、排尿すると楽になるため何度もトイレ通いをする結果、頻尿となります。患者さんにとって大きなストレスとなりますが、まだ原因がよく分かっていません。

以上のようなトラブルをかかえていても、どこを受診したらよいのかわからない人も多いでしょう。最近は「女性泌尿器科外来」を開設する医療機関が増えてきました。インターネットやガイドブック(『女性泌尿器科外来へ行こう』法研 など)で最寄りの女性泌尿器科を探してみましょう。

※この記事は2009年8月に配信された記事です