ファミリーマートは24時間フィットネス事業に参入する。1号店は東京都大田区で2月14日に開業を予定している(ファミリーマート提供)

新たな取り組みは吉と出るか――。

ファミリーマートはフィットネス事業に新規参入する。「Fit&Go」のブランドで2018年2月14日、東京都大田区にフィットネスジムを出店する。ダンスやエアロビクスなどのレッスンを行うスタジオやプールなどを持たないマシン特化型ジムで、24時間運営する。

フィットネスクラブ市場は右肩上がり


ファミリーマートの澤田貴司社長は「(消費者の)健康ニーズはすごくある」と強調する(撮影:尾形文繁)

ジム1号店はファミマ店舗の2階に設置するが、駐車場を持つ郊外型店舗などでは敷地内に別途ジムを設けることも検討する。

「既存店の一番の課題は集客。コンビニ市場は飽和している」。ファミマの澤田貴司社長はそう危機感をあらわにする。現在、セブン-イレブン・ジャパンの約2万店を筆頭に、国内コンビニ店舗は約6万店に達する。一方でコンビニ各社の既存店客数は足元で減少傾向にある。

その中で目をつけたのが、健康ニーズの取り込みだ。日本生産性本部が発行する「レジャー白書2017」によれば、フィットネスクラブの市場規模は2000年に3650億円だったが、2016年は4480億円まで拡大し過去最高を記録。フィットネスクラブ数も、パーソナルジムや小型のスポーツクラブなどを中心に増加傾向にある。

こうした市場動向を背景に、コンビニ店舗の2階や駐車場といったスペースにフィットネスジムを併設することで、来店機会や加盟店収入の増加につなげるのがファミマ側の狙いだ。

ジム1号店の会費は月額7900円(税抜き)。日中(10〜22時を予定)は1人以上のスタッフが常駐するが、深夜・早朝は無人となる。ICバンドをかざして入場すれば24時間365日利用できる。24時間型のジムにしたのは、ターゲットが20代から40代の男女でコンビニの中心客層と一致していると判断したからだ。


ファミマが運営する「Fit&Go」の施設内イメージ(ファミリーマート提供)

1号店の広さは60坪ほどを想定。一般的なジムにある筋トレマシンやバーベル、スミスマシンといったフリーウエート機器、ランニングマシン・エアロバイクなどのカーディオ機器類を設置する。このほか、チューブやストレッチポール、ランブルローラーといった用具も置き、流行のファンクショナルトレーニング(動きの質を上げるための機能的トレーニング)や筋膜リリース・ストレッチにも対応する。

女性客を囲い込む工夫

スタッフ不在の時間でも機器の使い方やトレーニング方法がわかるように、会員向けに専用のアプリを配信する。監修は有名アスリートのパーソナルトレーニングを請け負う「ドームアスリートハウス」の友岡和彦氏が務める。希望すればアプリを通してパーソナルトレーナーによる指導も予約できる。

新業態となるフィットネスジム開発を手掛けるのはファミマの新規事業開発本部 スポーツ・メディカル事業部付部長の茂朋子氏。フィットネス業界に長年携わってきた経験を買われ2017年前半に入社した。24時間型ジム大手の利用者はおよそ7割が男性といわれるが「女性も利用しやすいよう、空間など感覚的な部分にも非常にこだわった」と話す。

たとえば、店舗の入り口ではアロマをたく。ストレッチ用マットは使用後に消臭・抗菌用スプレーを使ってふくのがマナーとされるが、それらのスプレーを入り口のアロマと同じ香りにすることで、空間全体で一体感のある香りが漂うように工夫した。

シャンプーなどのアメニティはあえてジムに用意せず、階下のファミマで販売する。通常のファミマには置いていない上質なシャンプー類も用意する。さらに専用のゴンドラを設置し、トレーニングの前後に摂取するプロテインやアミノ酸といったサプリメントなどを販売し、ファミマ店舗の売り上げ増につなげる。


24時間型ジムの中でも「エニタイムフィットネス」は店舗数の拡大が目立つ(記者撮影)

Fit&Goと同様の24時間型ジムの中で最も店舗数が多いのが「エニタイムフィットネス」だ。2017年12月末時点の店舗数は292。2021年3月までに500店舗という目標に向け、順調に店舗を増やしている。

ほかにも、「ジョイフィット24」や、ティップネスが運営する「ファストジム24」などが店舗を増やしており、24時間型ジムの市場は競争が激化している。

専門誌『フィットネスビジネス』の古屋武範編集長は「日本に24時間型ジムは700カ所弱ある。今は好物件を取り合うような出店競争状態にあるが、しばらくすると飽和してくるだろう」と指摘する。

5年後に300店体制を目指す

24時間型ジムとして後発となるファミマだが、5年後をメドに300店舗のフィットネス併設店の展開を目指している。茂氏は「すでに全国のファミマがたくさんあるので、ゼロからのスタートではない。日本のフィットネス参加人口は欧米に比べると非常に少ないので、底上げする余地がある」と自信を見せる。

ただ、ジムの開設にはマシンなどをそろえなければならないため、1店当たり数千万円の初期投資が必要となる。この費用については、本部と加盟店でどのような負担割合にするかは現時点で決まっていない。同じくファミマが参入を表明しているコインランドリー事業に比べると、軌道に乗らなかった場合のリスクは小さくない。

加盟店にとって魅力的に映るビジネスモデルを示すことができるか。1号店の成否が、ファミマのフィットネスジムの拡大を左右しそうだ。