先月11日、リニア中央新幹線の関連工事で事前の受注調整が行われていた疑いで、東京地検特捜部が大手ゼネコンである大林組(東京)を調べているとの第1報から、今回のリニア談合事件に関わる報道がスタートした。大林組が、「名城非常口」(名古屋市)新設工事を受注するため、他社が同工事への入札に参加することを牽制して、別工事を受注できるようにしたという。

 名城非常口の新設は直径約40メートル、深さ約90メートルの穴に、土留めの壁を設けて、コンクリートを打設するという流れで工事が行われる。地下水制御の技術が必要になるものの、リニア中央新幹線の総工費約5兆5,000億円に対して、大林組中心のJVの受注額は約90億円と極めて小規模で、受注側にうまみのある工事とは言えないようだ。

 その後大林組は、06年に導入された独占禁止法違反の課徴金減免(リーニエンシー)制度に基づき、課徴金の減免と刑事告発を免れるため、受注調整を公正取引委員会に自主申告した“模様”との「観測記事」が出されたが、現在までのところその事実を裏付ける報道は為されていない。

 4社がグルになって談合し、その後の捜査の進展に観念して1社が「自首」した場合には、残りの3社は我勝ちに後を追うのが普通だ。時間の問題で真相が暴露されるのを黙って見ているよりは、ケガの程度を少なくしたいと思うのは人情だ。リーニエンシー制度では2番目の「自首」で課徴金50%、3〜5番目は30%が減額されることになっているので、2番手争いが起きても不思議ではなかった。

 ところが16日になって、大林組を除く鹿島、大成建設、清水建設の大手ゼネコン3社が不正な受注調整に関与していないとして、リーニエンシー制度の自主申告をしない方針を固め、申告期限の22日までに最終決定すると報道された。東京地検特捜部と、全面的に争う方向に向かっているようだが、果たして真相は奈辺にあるのか?

 現在のポイントは「大林組が本当に“自首”したのか?」と、残りの3社が「自首しないと決めたのか?」に尽きる。事態の進展によってはリニア中央新幹線工事の進捗にも大きな影響が出て来る。東京地検特捜部の狙いは“談合”ではなく、もっと先だとの見方もある。事態の進展が注目される。