仏パリにある水泳の複合施設ピシンモリトールで記者会見に臨むマイケル・フェルプス氏(2017年2月16日撮影、資料写真)。(c)AFP=時事/AFPBB News

写真拡大

【AFP=時事】合計28個のメダルを獲得した史上最高の五輪選手で、2016年のリオデジャネイロ五輪を最後に現役を引退した米国の元競泳選手マイケル・フェルプス(Michael Phelps)氏が、素晴らしい成績を収めた2012年ロンドン五輪終了後に深刻な不安障害やうつ病を患い、自殺まで考えていたことを明らかにした。

 五輪で合計23個の金メダルを獲得した現在32歳のフェルプス氏は、米シカゴで16日に開かれたメンタルヘルス(精神衛生)の会議に参加し、極度のうつ病に悩まされたことを赤裸々に語ると、ほかの人々を励ましながら自分のように支援を受けることを訴えた。

「五輪が終わるたびに、深刻なうつ病に陥った」と話したフェルプス氏は、金メダル4個と銀メダル2個を獲得したロンドン五輪の終了後、精神がどん底まで落ち込み、4日間部屋に閉じこもって食事も睡眠もとれずに「これ以上、水泳をやりたくなかった。生きていたくもなかった」と考えていたことを明かしている。

 うつ病が最悪の状態になると「本気で自殺することを考えてしまう」と訴えたフェルプス氏は、2年ほど前から自身の苦しい体験を公表しており、今回の会議でもこの17年間の人生がうつ病と不安障害に悩まされ続ける日々だったことを告白した。

「僕らは体が大きくて、たくましくて、身体的に強い人間だと思われがちだけれど、これ(心の病気)は弱点ではない。みんな助けを探し求めているんだ」

 米ボルティモア出身のフェルプス氏は、2004年のアテネ五輪で自身初の金メダルに輝くと、同年に最初の「うつ病期間」を経験し、年齢を重ねるにつれて薬やアルコールに依存するようになったという。2008年北京五輪では五輪の1大会として史上最多となる計8個の金メダルを獲得したものの、その後は大麻を吸引していた写真が撮られたほか、飲酒運転でも2度逮捕された。

「あれはただのセルフケア(自己治療)だった。とにかく毎日、何らかの処置を施すことで逃げようとしていたんだ」

 プールの外で悪夢と闘っていた五輪の国民的英雄はフェルプス氏だけではない。世界記録を22回更新したオーストラリアのイアン・ソープ(Ian Thorpe)氏も、2012年に執筆した自叙伝の中で自殺することを考えていただけでなく、その方法と場所まで計画したことを明らかにしている。ソープ氏もアルコールという「セルフケア」で自身の危険な精神状態に対処し、頭に浮かぶ恐ろしい考えを沈めようとしていたという。

 先日のCNNとのインタビューで、フェルプス氏は精神疾患にまつわる負のイメージを消し去りたいとして、「(心の病気には)負のらく印がつきまとっていて、それは今でもわれわれが毎日取り組んでいる課題だ。周囲ではようやく現実問題として理解されている。人々が話題にするようになり、その方法だけが変化をもたらすと考えている」と語った。
【翻訳編集】AFPBB News