日本人は本当に内向きといえるのでしょうか(写真:freeangle / PIXTA)

2018年もスタートして1カ月近く経とうとしています。東京でのオリンピック・パラリンピックを目前に控え、国をあげてグローバル化を推進している中ですが、日本人は内向きであると長年言われ続けてきました。果たして本当にそうなのでしょうか。

日本から海外に出る留学生は減っているのか増えているのか、今回は海外留学者数・海外留学先の最新の数字から見ていきたいと思います。

留学生数は大幅に伸びている

独立行政法人 日本学生支援機構(JASSO)によると、2016年度の日本人海外留学生は9万6641人(前年8万4456人)。この人数は日本国内の高等教育機関に在籍する学生などで大学間での協定などに基づき教育または研究目的で海外留学した学生、及び在籍学校が把握している人数の合計です。また、短期の交換留学なども含んでいます。

日本から海外への留学者数の推移を見てみると、減っているどころか、実はここ数年で大幅に伸びているのです。少子化の影響で18歳人口が減っていることから考えると、少なくとも現在の大学生の状況では、内向きという表現は当てはまらないようです。


次に留学先として選ばれている国はどこなのかを見ていきたいと思います。不動の1位は、アメリカの2万0159人(前年1万8676人)です。全体の約20%を占めており、アメリカ人気は今後も続くと思われます。2位から5位までを見ますと、2位オーストラリア、3位カナダ、4位韓国、5位イギリスと続きます。オーストラリアやカナダは治安が良く教育水準も高いイメージがあり、学生だけでなく親からも近年人気があるようです。

イギリスが昨年から順位を落としている理由として、やはりヨーロッパで発生していたテロの影響は拭えないでしょう。

さらに地域別に見ていきますと、最近のトレンドがよく分かります。ベスト3は、1位アジア3万3896人(前年2万6778人)、2位北米2万9035人(同2万6866人)、3位ヨーロッパ1万9100人(同1万7972人)という順番です。


アジアは、国別に見ても韓国(4位)中国(6位)、タイ(7位)、台湾(8位)、フィリピン(9位)とベスト10にも5カ国がランクインしており、マレーシアやシンガポールも人気が高いことから、今後さらにASEANを中心に伸びると予想されます。

内向きと言われる理由

海外留学生数の推移を見る場合、一般的にこのJASSOの調査データ以外に、OECD(経済協力開発機構)「Education at a Glance」およびユネスコの統計があります。2009年にJASSOの調査が開始するまでは、OECDおよびユネスコの統計を基に留学生の推移をみていた経緯があり、2004年の8万2945人のピークを境に2011年まで減少傾向でした。


内向きの根拠とされる日本人留学生の減少はこれを元データとしていることが多かったのです。ただ、2013年度より集計方法が変わり、外国人学生(受け入れ先の国籍を持たない)から現地の高等教育機関に在籍する外国人留学生(勉学を目的として移り住んだ学生)が対象になったため、過去のデータとの比較が難しくなっている現状があります。

一方、JASSOは『協定等に基づく日本人学生留学状況調査結果』の中で、対象を「短期の交換留学等も含む」としています。実は、冒頭のグラフ(留学生数の推移)をみると一目瞭然なのですが、留学生数の62.2%(9万6641人のうち6万0145人)は1カ月未満の短期留学に参加しているのです。

夏休みや春休みを利用して短期留学に参加する学生は大幅に増加していて、半年〜1年間といった長期留学は微増というのがここ数年の流れとなっているようです。

今までは主に、大学が把握している留学生数を見ていきましたが、中学・高校生や社会人を含めるとどうなるのでしょうか。

一般社団法人 海外留学協議会(JAOS)が留学事業者40社を対象に行った調査によると、2016年は7万9123人が留学事業者(エージェント)経由で留学に参加しています。この調査では、いわゆる語学留学やワーキングホリデーも含め、大学を介さずに個人で留学に参加した大学生や、中学・高校生や社会人などの数字を反映しています。そのため、先ほどのJASSOの数字と合算すると、実に年間17万人以上が海外に留学していることになります。

さらにJAOSによれば、文部科学省の統計やJAOS非加盟である他の留学事業者の手配数、自己手続き数なども集計することで、日本人の留学生数は実質20万人前後に達していると考えられるとのことです。


留学エージェント経由のJAOSの調査から読み取れることとして、留学目的としては、語学研修が全体の約7割を占めています。ここ最近のトレンドとしては、中学・高校留学も全体数の約2割を占めていて、2020年の大学入試改革や英語教育の見直しの動きの中で留学の若年化も進んでいることがあげられるでしょう。

国別には、ほぼJASSOの調査と似た傾向が挙げられますが、5位にフィリピンが入ってきています。最近のセブ島を中心としたフィリピン留学ブームがまだまだ続いていることがうかがえます。

これからの留学像

これまで留学生数の推移を見てきましたが、内向きというより、海外に対する関心は高いようです。ただ、海外の名門大学への正規留学やMBA留学という定義で考えますと、以前に比べて減少傾向にあるのも事実です。

日本の教育機関でもアクティブ・ラーニングなどの実践的な教育が進み、就職活動に向けた国内外のインターンシップへの参加など、様々な要因により、より留学も多様化が進んできています。ふだん大学生と接する中でも、海外には行きたいけど、「就活があるから」「休学中も大学の費用がかかるから」など、長期間は行けない事情があるようです。

これからは「グローバル化」「内向き・外向き」という議論だけでなく、より効率的な留学のスタイルが求められてくるでしょう。