ハメス流出の「5つの痛手」をスペイン紙特集 苦境レアルに「今こそ必要なタレント」

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レアルとハメスで分かれる明暗、バイエルンで本来の輝きを取り戻す

 ロシア・ワールドカップのグループリーグ初戦で日本代表と激突するコロンビア代表のMFハメス・ロドリゲスは、昨季レアル・マドリードで出場機会を失い、今季バイエルン・ミュンヘンに期限付き移籍で加入。

 シーズン途中で就任したユップ・ハインケス監督の下で、本来の輝きを放っている。一方、“背番号10”を放出したレアルが今季失速していることを受けて、スペインメディアは「レアルは後悔」と分析。ハメス流出の「5つの痛手」について特集している。

「ジダンが今切望するハメス・ロドリゲスがもたらしていた5つの事象」と特集したのは、スペイン紙「マルカ」だ。“白い巨人”と昨年まで背番号10を託されていたレフティーは今季、明暗が分かれているという。

「レアル・マドリードは近年で最悪の危機的状況を迎えるなか、ハメス・ロドリゲスはバイエルン・ミュンヘンのユップ・ハインケスの下でキャリア最高の瞬間を楽しんでいる。ジネディーヌ・ジダンはこの期限付き移籍でギャンブルに出たが、マドリードは彼の放出を許したことを後悔することになるだろう」

 首位バルセロナの独走を許しているレアルの現状について、記事ではこう記されており、失速するレアルでハメスさえいれば解決していたであろう、5つの事象を分析している。

「彼は選択肢だった」とFKの能力も評価

 一つ目は「ゴールとアシスト」だ。ハメスは昨季も不振と伝えられていたが、結果は出し続けていた。2014-15シーズンは17得点18アシスト、2年目は8得点10アシスト、そして昨季は11得点13アシスト。今季のリーグ戦でトップスコアラーがFWクリスティアーノ・ロナウド、FWギャレス・ベイル、MFイスコ、MFマルコ・アセンシオの4ゴールという決定力不足に喘ぐレアルにとって、ハメスは今こそ必要なタレントだった。

 二番目に挙がったのは「彼の左足」。レフティーは今季から所属するバイエルンで力強いFKからゴールを演出しているが、「マドリードでも同じだった。彼に対抗できる選手は数少なく、チームメイトも知っていた。遠距離からのゴールが必要な時、彼は選択肢となっていたのだ」と、記事ではFKの能力を高く評価している。

 3つ目は「陽気な性格」だという。ロッカールームを明るく照らす陽気なコロンビア人は、「本当にドレッシングルームで人気者だった」と性格面も評価されている。ダンス、ジョーク、笑顔、喜びというハメスがもたらしていた明るさを、現在のチームは失っているという。

 そして4つ目は「インパクト」。昨季はスーパーサブでの出番が多かったが、チェルシーに移籍したスペイン代表FWアルバロ・モラタとともに、終盤に投入されてチームを救う活躍を見せてきた。今季のレアルには、ベンチに違いを作るタレントがいないという。

“失った魚”の大きさを痛感か…

 最後は「相手の最終ラインと中盤の間でのプレー」だという。プレーメーカーの役割はイスコ、アセンシオというスペイン代表コンビに委ねられたが、「彼らのパフォーマンスはしばらく下降線。レアルは相手のラインの間で動くハメスを必要としている。ドイツのファンは間違いなく喜びを見出している」と、戦術的にもハメスの存在が必要だと指摘されている。

 ジダン監督はUEFAチャンピオンズリーグ決勝やFIFAクラブワールドカップなど大舞台でハメスを出番なしにするなど、信頼を置かなかった。「私はハメスと問題を持ったことなどない」と指揮官は語ったが、失った魚の大きさを“白い巨人”も痛感しつつあるようだ。

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images