1月16日に第158回の芥川賞・直木賞の受賞作が発表された。電子書籍各社でも特集コーナーが用意され、あらためて受賞作や候補作が紹介されている。

 芥川賞に選ばれたのは、インドのチェンナイを舞台に百年に一度という洪水に遭遇した日本人女性が主人公の「百年泥」(石井遊佳氏)と、74歳の主人公が自らの人生を振り返る「おらおらでひとりいぐも」(若竹千佐子氏)の2作品。一方、直木賞は、明治時代に活躍した宮沢賢治とその父を題材にした「銀河鉄道の父」(門井慶喜氏)が受賞した。

「百年泥」あらすじ(新潮社Webサイトより)

私はチェンナイ生活三か月半にして、百年に一度の洪水に遭遇した。橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る! かつて綴られなかった手紙、眺められなかった風景、聴かれなかった歌。話されなかったことば、濡れなかった雨、ふれられなかった唇が、百年泥だ。流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……。

「おらおらでひとりいぐも」あらすじ(河出書房新社Webサイトより)

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。おらの今は、こわいものなし。結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――

「銀河鉄道の父」あらすじ(講談社Webサイトより)

明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。

 Bookliveや楽天ブックス、Amazon.co.jpといったサイトでは、受賞作や候補作の電子書籍をまとめた特集コーナーを設置。各社のサイトでは今回の選考対象だけではなく、過去の受賞作もあわせて紹介している。