2017年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業は25社になり、前年の18社から7社増えた。「人手不足」が深刻さを増すなかで、希望・早期退職者を募った上場企業数が5年ぶりに前年を上回った。


  • 本調査は、2017年に希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出した。
    希望・早期退職者の募集予定を発表したが、まだ実施に至っていない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。資料は原則として『会社情報に関する適時開示資料』(2018年1月18日公表分まで)に基づく。

希望・早期退職者募集の実施企業、5年ぶりに前年を上回る

 2017年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は25社になり、前年(18社)を7社上回った。希望・早期退職者募集を実施した上場企業数は、リーマン・ショック直後の2009年は191社にのぼったが、円安進行で輸出産業を中心に大手企業の業績が好転した2013年から減少をたどり、前年(2016年)は調査を開始以来、最少の18社にとどまっていた。

業種別の最多は、電気機器の8社

 2017年の募集人数の最多は、ニコン(グループ会社を含む)の1,000人。次いで、スズケン(グループ会社を含む)の350人、みらかホールディングス(グループ会社を含む)の350人、ジャパンディスプレイの240人、スリーエフの180人と続く。
 募集および応募人数が100人以上は8社(前年8社)だった。また業種別では、日立国際電気、ジャパンディスプレイ、ウシオ電機など電気機器が8社で最も多かった。次に小売が3社と続く。


 2017年に希望・早期退職者募集を実施した上場企業数は前年を上回った。これは業績不振から人員削減に踏み切った企業に加えて、業績が好調な時に将来のビジネス展開を見据えて既存事業の構造改革を進めるといった、「攻め」の希望・早期退職募集を実施しているケースも増えていることによる。さらに、有効求人倍率が高水準に推移し、転職が比較的容易になった雇用環境の緩和も組織スリム化の追い風になっていることも見逃せない。
 こうしたなか、昨年秋にメガバンク3行が店舗の統廃合や人員スリム化方針を公表した。マイナス金利政策による利ザヤ縮小や、金融とIT(情報技術)を融合した金融サービス「フィンテック」の広がりで、今後の事業環境の厳しさを勘案し、先手を打つ必要があると判断して大規模な構造改革に着手する。みずほフィナンシャルグループは、2026年度末までに約1万9,000人を削減する。また、三菱UFJフィナンシャル・グループは、2023年度末までに6,000人を削減する予定。いずれも新規採用抑制や退職者増加による自然減、取引先への転籍を増やすなどを中心としている。また、三井住友フィナンシャルグループも3年間で4,000人分の業務量削減を打ち出した。
 これらは今のところ、希望退職者の募集を予定していない。しかし、今後も業績にかかわらず、企業競争力を高めるための人員の適正化や、新たな事業参入に向けた既存事業の見直しなど、次の事業展開を視野に、人員削減に踏み切る企業が続く可能性もある。