やりすぎで日常生活に支障を来すネットゲーム依存について、世界保健機関(WHO)が今年6月から病気の世界的統一基準である国際疾病分類(ICD)に初めて盛り込む方針を示した。
 「ICDとは死亡や疾病のデータを国際的に統一して記録、分析するため、すべての病気とケガを網羅的に分類したもので、厚生労働省はこれを準拠にして統計調査を行います。病院ではカルテに記載された病名がICD別にデータ蓄積されます」(医療ライター)

 最新の画像解析により、ネトゲ依存者の脳内では麻薬依存者と同様の神経ネットワークの乱れが見られ、感情をうまくコントロールできなくなる結果、嗜癖(しへき)行動、つまりギャンブルや酒、薬物のようにネットに依存しないと生きられなくなるのだという。これまでPCやスマホで目を酷使すると自律神経のバランスが崩れ、頭痛や肩こり、不眠などのさまざまな不調を引き起こすと言われてきたが、度をすぎるとそれどころではなくなるのだ。
 「最新版のICDにはネット依存症が『Gaming Disorder』(ゲーム症・障害)として盛り込まれます。この最終草案は昨年末にトルコで開かれた依存症に関する会議で確認され、ゲーム症・障害は『持続または反復するゲーム行動』と説明され、(1)ゲームをする衝動が止められない(2)何よりゲームを最優先する(3)問題が起きてもゲームを続ける(4)個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる――これらを具体的症状と規定しています」(同)

 一方、昨年11月、『オンラインゲーム・eスポーツ議員連盟』なる超党派の団体が発足した(会長:河村建夫衆院議員=自民)。小池百合子都知事も「世界レベルでのeスポーツの祭典を東京の地で開催すべき」と、東京五輪におけるデモンストレーションの開催に前のめり。だが、負の側面であるネット依存の実態把握やその対策こそ急ぐべきだろう。