東京ビックサイトで1月17日から開催されている「第4回 ウェアラブルEXPO」において、日本ウェアラブルデバイスユーザー会では、かねてより研究を重ねている『VRにおけるフォントの可読性』を体感できるデモンストレーションを展示している。

実空間と投射された映像が重なって見えるVRコンテンツでは、文字の可読性が低くなる傾向があり、特に、文字のみを透過状態で表示する際には、細い文字、小さな文字などが読めなくなってしまうことが多い。日本ウェアラブルデバイスユーザー会では、VRでも高い可読性を保つフォントについて研究。この度、株式会社モリサワの協力を得て、数種類のフォントによる可読性の違いを体験できるデモンストレーションコンテンツを発表した。

デモに使用されたのは、
・モリサワのゴシック体「UD新ゴNT」および「UD新丸ゴNT」
・Windows標準のゴシック体「メイリオ」
・モリサワの明朝体「黎ミン」
の3種。

コンテンツは、室内に3つのソファーが配置された仮想空間の中で、それぞれのソファに関する情報を上記3タイプのフォントで表示して見せるというものだ。壁やフローリングの色が変更できるようになっていて、背景の違いが可読性にどのように変化をもたらすかも確認できる。

HMDを装着して実際に体験してみると、「UD新ゴNT」と「UD新丸ゴNT」を混在させたサンプルの可読性が非常に高く、同じゴシック体である「メイリオ」との差は歴然であった。「黎ミン」については、「UD新ゴNT」には劣るものの明朝体としてはかなりの可読性を維持、ゴシック体である「メイリオ」とほぼ同程度と思われる。


デモに使用されたフォント「UD新ゴ」「メイリオ」「黎ミン」
横線が細い明朝体はVRに向いているとは言いがたいが、今後VRが発展していく中では、デザイン的な観点から言って“明朝体の需要”は無視できるものではないだろう。モリサワ両フォントの特徴としては、どちらもふところが広めにとられており、画数の多い文字でもつぶれにくいという点である。

そして、明朝体であるにもかかわらず、まずまずの可読性を保つ「黎ミン」。実は、“ふところの広さ”以外にも読みやすさの理由がある。一般的な明朝体は、ウェイトに合わせて縦線が太くなっていくが、横線の太さは固定されているものだ。一方、「黎ミン」はウェイトに合わせて横線の太さも変化する「グラデーションファミリー」と呼ばれるフォントなのである。そのため、VRのような難しい環境化でも線が掠れることがなく、ゴシック体に近い可読性を保つことができる。


グラデーションファミリーの「黎ミン」と、モリサワのスタンダードな明朝体「リュウミン」

この、モリサワの「黎ミン」は、2013年に「(フォントファミリーとして)最も多くのグリフを有するフォント」としてギネス認定されており、字数の多さにも定評がある。近年の例だと、地デジ化に伴う高画質文字放送への対応が記憶に新しいが、VR・ARの浸透に合わせてフォントにも進化が必要になってくるのかもしれない。


株式会社モリサワの大阪本社に飾られているギネス証書

日本ウェアラブルデバイスユーザー会
URL:http://w-ug.jp/
2018/01/19