「今年から公式のインスタグラムを始めたんですよ! あと、年末年始は地元の鹿児島に帰って家族でゴルフに行ったり、友だちや『めだかクラブ』のメンバーと会ったりして、すごく楽しい時間を過ごせましたよ」

 年明け、そう言って笑顔を見せる香妻琴乃(25歳)の姿を見て安心した。昨季の成績を引きずることなく、すでに先を見て、気持ちを切り替えているようだった。


レギュラーツアー復活へ、巻き返しを誓う香妻琴乃

 2016年シーズンに賞金シードを逃した香妻は昨シーズン、ファイナルQT(※)44位という資格でツアーに参戦。それでも33試合に出場し、トップ10入りも2回あった。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。

 しかし、予選落ちが15回。調子の波が激しく、賞金ランキング63位にとどまって、またもシード権を獲得することができなかった。

 さらに昨年は、サードQTさえ突破できず、今季ツアーの出場権を完全に失ってしまった。結局、今季のQTランキングは104位。レギュラーツアーに出場できるのは主催者推薦(最大8試合)など数試合のみで、下部のステップ・アップ・ツアーが主戦場となる。

 そんな状況にあっても、香妻が前向きなのは、今季からリランキング制度が導入されて(年2回実施)、シーズン途中でもレギュラーツアー復帰の可能性が広がったからに他ならない。

 同制度は、選手間の競争力を高め、ツアー強化を図ることが目的で、定められた期間の賞金ランキングによって出場資格が変更されるもの。1回目はレギュラーツアーの前半戦(アース・モンダミンカップ/6月21日〜24日)終了後に実施される。昨季の賞金ランキング50位以内などのシード選手が出場権を失うことはないが、昨季の賞金ランキング51位〜55位までの選手や、QTランキング上位選手などは、その時点での賞金ランキングで下位に落ちていれば、後半戦の出場権を失うことになる(※9月末に実施される2回目のリランキングで出場権の再獲得もある)。

 逆に言えば、レギュラーツアーに出場資格のない選手でも、前半戦のツアーにおいて、主催者推薦などで出場した試合で結果を出せば、後半戦からのツアー出場権を得られるということ。無論、香妻も主催者推薦枠をフルに使って、そのチャンスを狙っているのだ。

「私のような立場にあっても、ワンチャンスで後半戦に出られる可能性が膨らむのは、すごくありがたいです。8試合の推薦で、どうにかして後半戦の出場資格を得たいと思っています」

 香妻が続ける。

「例えば(前半戦で)賞金500万円獲得できれば、(後半戦の)出場権を得られるとして、レギュラーツアーで2回、ベスト10に入ればいいですよね? 去年は(賞金の高い)アース・モンダミンカップで7位に入ることができたので、それを考えれば、私にもチャンスがあります。

 もちろん、そういうことは誰もが考えていると思います。でも、私はそれを狙っていくしかありません」

 昨季は賞金シードを獲得できず、QTでも結果を残すことができなかったが、香妻に落ち込んでいる様子は微塵も見られなかった。こちらが拍子抜けするほどさっぱりしていて、次のステップへ進んでいこう、というポジティブな姿勢がうかがえた。

 そして、下部のステップ・アップ・ツアー参戦にも「全力を尽くす」と意欲的だった。

「下部ツアーと言っても、出られる試合があるというのは願ってもないこと。そこで、ベストを尽くしていきたいです。まずは、その舞台で優勝を勝ち取ることを目標にしてがんばっていきます。

 レギュラーツアーに比べればレベルは劣るかもしれませんが、決して簡単に勝てるわけではありませんし、ステップ・アップ・ツアーでも優勝すれば、それはとても価値があるものだと思います。

 私はまだレギュラーツアーで優勝したことがありませんが、勝つことって本当に難しいんですよ。だからこそ、もっと勝ちにこだわっていきたい。ステップ・アップ・ツアーで勝って(勝利の味を改めて体感して)、自らの流れを変えていきたいという思いもあります。

 それと、ステップ・アップ・ツアーの通算最多優勝記録は5回(大久保夢未)と聞いています。私は過去に2勝していて、あと4勝すればその記録を超えることができます。できれば、その記録も狙っていきたいです」

 まさしく、やる気は十分。あとは、シーズン開幕に合わせて体とスイングを作っていくことが重要になる。

 振り返れば、昨季の香妻はひとつのミスを引きずりすぎてしまい、思うようなゴルフができなかった。終盤戦を迎えた頃、彼女はこう言っていた。

「ミスをすると『なんでだろう、なんでだろう……』って考えてしまうことが多くて……。もっと気楽に、というわけではないのですが、気持ちに余裕がほしいですね。

 別に調子は悪くないのですが、1球ミスが出ただけで考えすぎてしまい、それを修正しようとしすぎることもありました。もう少し自分のスイングがわかってくれば、気持ちも落ち着くのかな、と思います」

 試合中のミスを修正するのは、かなり難しい作業となる。次のプレーへとどんどん進んでいくなかで、ミスをした原因をゆっくり考えたり、修正したりする時間などほとんどないからだ。

 結果、ミスや失敗を引きずってしまうと、次のプレーにも影響が出て、出口が見えなくなってしまうこともある。昨シーズンの香妻はその繰り返しで、一度深い”闇”に落ちると、そこから抜け出せなくなっていた。

 メンタル面が揺らぐと、それが成績に直結する――ゴルフというスポーツの難しさは、そんなところにもある。

「若手美人プロ」と、もてはやされてきた香妻も、4月には26歳となる。10代のプレーヤーも続々と台頭している日本ツアーにあっては、もはやベテランの域に差しかかる。もう泣き言は通用しない年齢となるが、それは彼女自身、よくわかっている。

 このオフも、さまざまなイベントに引っ張りだこで、多くのファンの前では満面の笑みを見せていた。だが、心の中では新シーズンでの雪辱に燃えているはずである。

「優勝しか狙っていません」

 これまでも、香妻は何度となくそう語ってきた。その気持ちは今も変わりはない。

 レギュラーツアーに出られなくても、ゴルフをやめるわけではない。今もチャレンジ精神は失ってはいない。今年こそ”優勝”という二文字をつかみ取ることができるのか、香妻の逆襲に期待したい。

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