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●CASEで変わるクルマ、タイヤメーカーの見方は

「100年に一度の大変革の時代」を迎えているといわれる自動車業界。クルマの電動化や自動化などが進み、ビジネスモデルの転換を迫られる関係会社も増えていきそうな情勢だが、自動車に不可欠なタイヤの業界では、この動きをどう捉えているのだろうか。米グッドイヤーの日本法人である日本グッドイヤーで聞いてきた。

○変化はチャンス、日本グッドイヤー社長の考え

グッドイヤーはブリヂストンおよびミシュランと並ぶタイヤ“ビッグスリー”の一角だが、日本市場での存在感は欧米に比べそこまで大きくない。そのポジションを日本でも「本来あるべき場所に」(日本グッドイヤー代表取締役社長の金原雄次郎氏)引き上げるべく、同社が注力するのがプレミアムセグメント向け商品の拡充だ。2月1日には2種類の新商品を投入するが、それに先立ち、日本グッドイヤーは新しいタイヤの乗り比べ試乗会を実施。その会場で金原社長らに話を聞くことができた。

変革期を迎える自動車業界のトレンドは、ダイムラーが「CASE」という言葉で表現している。「C」はConnected(つながるクルマ)、「A」はAutonomous(自動運転)、「S」はShared&Services(カーシェアリング)、「E」はElectric(電動化)の頭文字だ。これらの要素は、人とクルマの関係性を根本から変える可能性があるし、クルマの姿かたちや機能にも当然、大きな影響を及ぼす。

CASEが自動車業界に100年に一度の変革をもたらしているが、タイヤメーカーはどうなのか。この動きはピンチなのか、チャンスなのか。この問いに対し金原社長は「100年に一度ということは、自動車が世に出て120〜130年なので、最初の変革期と言えるかもしれない。タイヤもご他聞にもれず、この100年でビジネスモデルは全く変わっていないし、ラジアルタイヤが登場したくらいで、それ以上の大きなエポックは今のところない」とした上で、この状況が「ピンチかチャンスかというと、チャンスだ」と明言した。

●カーシェアの一般化でタイヤの売り方も変わる?

○試されるタイヤメーカーの対応力

では、なぜチャンスなのか。金原社長は「自動車業界の動きは電動化や自動運転だと思うが、そこで求められるタイヤの性能は従来のものと変わってくる。それには対応できるメーカーとできないメーカーがあり、グッドイヤーは対応する力を持っている。OEM(自動車メーカー)とはクルマの開発段階でも話をするが、メーカーからは『車両が変わるのでタイヤにこういうものを求めたいが、お宅にそんな技術があるか』といったような問いかけを受けることが現にある。それに対応できれば優位に展開できるし、グッドイヤーとしては十分やっていける手応えを感じている」と自信を示した。

自動車業界の変革期で、タイヤに求められるものはどのように変化するのか。金原社長は一例として、「電動化すればトルクが高まるので、それに耐えられるようなタイヤの性能が求められる。それはどこでも(どのタイヤメーカーでも)できることではない」と語った。

○カーシェアの普及でタイヤのビジネスモデルに変化

求められるタイヤの在り方も変われば、タイヤメーカーのビジネスモデルも変化する。試乗会で話を聞いた日本グッドイヤーのマーケティング担当はCASEの「S」、つまりカーシェアリングの進展がタイヤの売り方に影響を及ぼす可能性に触れた。

カーシェアリングが進めば、クルマは個人が所有するものから業者がまとめて所有・運用するものへと変化するかもしれない。そうなれば当然、タイヤの売り方も変えていく必要が出てくる。一般向けにコマーシャルを展開する従来の手法を、BtoB寄りにシフトさせねばならなくなるわけだ。

また、シェアリングでクルマの稼働率が上がる点も見逃せないポイントだ。個人が所有するクルマは、1日のほとんどを家や職場の駐車場などで止まって過ごすが、シェアリングが一般化すればクルマ1台あたりの稼働率は大幅に向上するだろう。そこに自動運転技術が組み合わされば、クルマは1日のほとんどを走って過ごすようになるかもしれない。その分、タイヤの履き替えサイクルが短くなれば、タイヤメーカーにとってはチャンスとなる。

ただし、シェアリングが一般化すれば、クルマを「所有」しようと考えるユーザーが少なくなり、クルマの総台数は減ることになりそう。クルマの台数減少とタイヤ履き替えサイクルの短期化が、差し引きするとタイヤメーカーにプラスに働くのか、マイナスに働くのかには注目したいところだ。

●グッドイヤーブランドの地位向上に向けて

○重要性を増すプレミアムセグメント向けタイヤ

自動車業界の大変革に備えなければならないタイヤメーカーだが、足元で対応すべき課題はSUVブームやプレミアムカーセグメントの伸張などに伴うタイヤの大口径化だ。日本市場では世界的なブームと足並みをそろえるようにSUVの販売台数が増えており、「スポーツセダンの復権」(金原社長)もあって17インチ以上の大口径タイヤが売れる傾向にある。

日本グッドイヤーは、この課題にフォーカスした新商品「EfficientGrip(E-Grip) Comfort」と「E-Grip Performance SUV」を2月1日に発売する。同社がE-Gripシリーズでターゲットとする車両は、プレミアムセグメントのセダンとSUVだ。

日本の自動車市場は年間500万台規模だが、これが飛躍的に拡大する可能性は、人口減少などの背景を考えると低そうだ。しかし、日本自動車輸入組合(JAIA)の統計を見ると、輸入乗用車の販売台数はリーマンショックの2009年に激減するもその後は回復しており、近年は年間30万台超で安定し、2017年も前年比102.1%と増加している。タイヤメーカーにとって、プレミアムセグメント向け商品の重要性は増しているのだ。

プレミアムセグメントに注力する理由について金原社長は、「グッドイヤーブランドの位置づけを日本で上げていきたい。(グッドイヤーは)欧米ではファーストティアなのだが、日本の状況は必ずしもそうはなっていない。それを本来あるべき場所に持っていきたい」とする。自動車大変革を前に、まずは日本市場でも、ビッグスリーの一角として存在感を高めたいというのが日本グッドイヤーの考えだ。