コメダ珈琲店(「wikipedia」より」)

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 コメダ珈琲店が絶好調だ。同店を展開するコメダホールディングス(HD)が1月10日に発表した2017年3〜11月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高が前年比8.2%増の190億円、本業の儲けを示す営業利益は2.3%増の53億円だった。売上高営業利益率は驚異の27.9%にもなっている。

 コメダ珈琲店は、愛知・名古屋など中京エリアを中心に店舗網を拡大し、今や全国に770店(17年11月末時点)を展開するにまで成長した。出店意欲は旺盛で、17年3〜11月期だけで32店も純増している。

 株価も好調だ。コメダHDの株価は長らく1800〜1900円台で推移していたが、好調な業績を背景に昨年11月末から上昇が続き、12月中頃に2000円を突破した。今回の決算発表翌日の1月11日の終値は、前日より3%高い2156円にまで上昇している。

 コメダHDは16年6月29日に東京証券取引所第1部に上場したが、その後の株価は1600円を切ることもあるなど低迷が続いていた。そのため、今の高い株価は投資家にとって喜びもひとしおだろう。

 コメダHDの業績が好調の背景には、同社の巧妙な出店戦略にある。スターバックスコーヒーやドトールコーヒーショップが幅を利かせ、さらにブルーボトルコーヒーを代表とするサードウェーブコーヒーが台頭するなど、喫茶店業界における競争は激しさを増しているが、コメダ珈琲店はそういった競争を上手く回避しているのだ。

 他の大手コーヒーチェーンは駅前や繁華街の一等地に出店する戦略を基本としているが、コメダ珈琲店は必ずしもそうではない。近頃はそういった場所に出店するケースもあるが、基本的には、郊外の住宅街に駐車場付きの店舗を構え近隣住民のリピート来店を獲得する戦略を採用している。そのため、大手コーヒーチェーンとの競合は生じにくくなっているのだ。

●過当競争で疲弊するスタバとドトール

 一方、スタバやドトールなどは競合と激しい競争を繰り広げているため、各々の競争力が相対的に弱まっている感がある。どの大手もそれなりの支配力を有しているが、一強と呼べるほど市場を占有しているチェーンはなく、群雄が割拠し、消耗戦に陥っている側面がある。そのため、スタバやドトールに、かつてのような勢いや存在感は見られないのではないか。

 スタバの競争力の衰えが一番象徴的だ。日本生産性本部がサービス産業を対象に顧客満足度調査を毎年実施しているが、そのなかの「カフェ・喫茶部門」においてスタバの「顧客満足度」の順位が低下していることが典型例だろう。

 同調査の顧客満足度でスタバは14年度に1位だったが、15年度は3位に転落し、16年度は4位に後退した。そして17年度はランキングが発表される上位4位から外れてしまったのだ。スタバには根強いファンが少なくなく、店舗数はまだまだ伸びているが、顧客満足度の順位の低下に鑑みると競争力の低下は明らかだろう。

 ドトールの競争力にも陰りが見えている。確かに、前述の顧客満足度調査の17年度調査において1位の栄冠を勝ち取るなど、それなりの存在感は示している。スタバ同様、根強いファンも少なくない。ただ、かつてほどの勢いと存在感は見られない。

 ドトールの店舗数は停滞している。17年11月末時点の店舗数は1124店だが、長らく概ね1100店台で推移している状況で、店舗数が伸びていないのだ。店舗数は頭打ち状態にあるといえるだろう。このことから、ドトールもスタバ同様、競争力の低下が明らかだ。

 スタバやドトールが主戦場としている駅前や繁華街は競争が激しい。同業種はもちろん、マクドナルドなどのファストフード店やファミリーレストランなどとも大きく競合する。一方、コメダ珈琲店が主戦場とする郊外の住宅街は、駅前や繁華街と比べるとそういった競合が少ない。しかも、競争が激しい首都圏や関西圏ではなく、それよりは競争が少ない中京地区を地盤としてきたのも奏功した。

●驚異的な高利益率

 こうした出店戦略がうまくいっているためコメダ珈琲店は大きく成長できているのだが、もうひとつの成長の原動力として、「メニュー」を挙げることができる。巷間でよくいわれているのが、「シロノワール」や「モーニング」だ。

 シロノワールは温かいデニッシュパンの上にソフトクリームが載っているスイーツで、「コメダといえばシロノワール」と言われるぐらいの知名度と人気を誇る。パンの温度でアイスクリームが溶けるようになっていて、パンと溶けかけたアイスを一緒に食べると絶品だ。

 モーニングも人気がある。午前11時までであれば、ドリンクメニューに無料でトーストと料理1品(ゆで玉子など)を付けることができるサービスとなっている。手軽に朝食をとることができるとあって人気を博している。

 このシロノワールとモーニングがコメダ珈琲店では有名だが、それ以外の食事メニューも充実し人気を博している。例えば、サンドイッチは種類が豊富で人気がある。「ハムサンド」「エッグサンド」「カツサンド」といった定番のサンドイッチを取り揃えている。さらにハンバーガーなども充実している。「ドミグラスバーガー」や「フィッシュフライバーガー」といった数種類のハンバーガーがあり、ピザやホットドッグもある。

 こうしてみると、コメダ珈琲店では「パン」を使ったメニューが多いことに気づく。コメダHDは利益率が高いことで有名だが、その理由のひとつがパンを使ったメニューの多さにある。パンは愛知県などにある自社工場で製造して店舗に直接供給しているので、流通コストや中間マージンを抑えることができるのだ。そのため、17年2月期の売上高営業利益率は28.6%にもなる。

 コメダ珈琲店の快進撃は当面続きそうだ。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。