都立日比谷高校(「Wikipedia」より)

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 大学入試センター試験も終わり、いよいよ個別大学の入試が本格化する。2月に入ると、難易度の高い大学の一般入試、2次試験が西日本から東上、受験生にとって息の抜けない時間が続くことになる。そして桜の綻ぶ頃には、その成否は決まり、悲喜こもごもの風景が繰り広げられることになる。当然のことながら、現時点で各々に与えられる運命を予見するのは不可能だ。

 ただ大学受験に関して、関係者の間で予定調和と見なされていることがある。それは受験生の出身高校の進学実績、難関大学への進学力のトレンドだ。
 
 まず進学校の最頂部の顔ぶれが大きく変わることは、想定しづらい。たとえば今年も東大合格者数のランキングで開成が首位の座を堅持するのは、ほぼ確実であろう。いわゆる御三家である灘、麻布、国立校の代表格である筑波大附属駒場や、女子校のナンバー1、桜蔭が例年通りに10傑に名を連ねる確率も高い。

 もちろん試験は水物であり、全国トップクラスの進学校であっても年によって実績(合格者数)に揺れは生じる。しかし、結果的に増減は一定のゾーン内にとどまるものだ。もともと資質の高い生徒を数多く集めており、浪人組が翌年に巻き返す、振り子現象が繰り返されるからだろう。このあたりは多少なりとも進学校の動向に関心のある方ならば、うなづくところではないか。

●私立進学校の退潮

 もうひとつ関係者の間で今年、その可能性が濃厚と考えられているのは、公立進学校が堅調な実績をあげ、一方で多くの私立進学校の退潮が続くことである。

「今年も東大合格者のランキングで、公立の名門校が上位に食い込むだろう」(学習塾関係者)

 確かにこの数年、東京、神奈川、京都といった私立校が進学において圧倒的な力を持っていたエリアでの、公立校の復活は目覚ましい。その象徴的な存在である都立日比谷は2016年、過去30年でも最高の東大合格者53人(前年は45人)を出した。

 日比谷ばかりではなく、ライバルである西、国立、神奈川の横浜翠嵐、湘南も合格者数上位の常連校化しており、また一時は低迷していた戸山、青山など旧ナンバースクールも明らかに進学実績を底上げしている。これに対して私立勢は先述したトップ校はともかく、二極化している。この30年間の東大合格者数の推移を見ても、近年はピーク時に比べて半減や、それ以下になってしまったところも珍しくはない。

 凋落しつつある私立校にとって、さらに追い打ちをかけるような懸念材料もある。それは公立の中高一貫校の台頭だ。

「小石川、両国のように、中高一貫校に転換した公立校は名門校の流れを汲むところが多く、開学時から保護者の関心は高かった。卒業生が優れた進学実績を示し始めた最近は、さらに人気化している」(前出の学習塾関係者)

 毎春に結果の出る難関大学の高校別の合格者数は、進学校にとっては年間の通信簿に値するらしい。特に公立校の猛追に苦しむ私立進学校の関係者は、受験生と同様、心許ない時は続くのであろう。
(文=島野清志/評論家)

【主要私立進学校の過去3年の東大合格者数と過去最高数】
 桜蔭76人、59人、63人(過去最高1996年93人)、駒場東邦82人、57人、51人(同2015年82人)、栄光学園45人、57人、62人(同1988年88人)、聖光学院74人、71人、69人(同2015年74人)、東大寺学園 32人、37人、26人(同1988年63人)、海城56人、30人、49人(同1995年68人)、渋谷教育学園幕張56人、76人、78人(同2017年78人)、ラ・サール25人、44人、40人(同1985年117人)、久留米大附設37人、37人、27人(同1988年54人)、桐朋13人、20人、8人(同1986年64人)、浅野40人、30人、32人(同2007年42人)、武蔵22人、26人、32人(同1979年及び1984年86人)、巣鴨21人、13人、12人(同1992年78人)、洛南24人、21人、14人(同1997年68人)、甲陽学院28人、29人、39人(同1987年57人)
※1980年以降50人以上の合格者を出した私立校(開成、灘、麻布は除外)が対象。人数は2015年、16年、17年の順。各校ホームページ及び「サンデー毎日」(毎日新聞出版)より引用。ただし武蔵の過去3年の数値は進学者数。