名古屋で昭和の面影を残す横丁や路地といえば、中区の大おおす須観音周辺や西区の円えんどうじ頓寺商店街、名古屋駅西の駅西銀座商店街など。店内に一歩足を踏み入れただけで昭和へとタイムスリップできる、名古屋の名店をご紹介します!

時が止まったままの店で時代に思いを馳せる

 名古屋で昭和の面影を残す横丁や路地といえば、中区の大おおす須観音周辺や西区の円えんどうじ頓寺商店街、名古屋駅西の駅西銀座商店街などが挙げられる。しかし、どのエリアも再開発が進み、年を追うごとに歴史のある建物が少なくなっている。

 その反面、近代的なビルが建ち並ぶ都心からすぐ近くに、まるで時間が止まったかのようにひっそりと佇む店がある。高たかおか岳の『とん八』や東大手の『山田屋』がまさにそれだ。

 店内に一歩足を踏み入れただけで昭和へとタイムスリップ。メニューも創業当時からほとんど変わっていない。『とん八』は味噌おでんと関かんとうに東煮、串かつ。

真っ黒な見た目からは想像できない、まろやかな味わいと深いコクのある味噌ダレ

手前から、味噌おでん(玉子、大根、牛すじ) 1本150円
串かつ 1本150円

「とん八」は昭和23年、名古屋市役所の近くに大衆食堂として開店。46年前に現在の場所へ移転し、味噌おでんの専門店に。真っ黒で濃厚そうな見た目だが、そのまろやかな味わいとのギャップに誰もが驚く。

『山田屋』はきしめんとうどん、そば、丼物。

懐かしさいっぱいの空間で味わい深い麺と丼を堪能

昭和5年創業の麺類食堂。「きしめん」(奥、小盛330円)は、のど越しを重視して麺の厚みを薄めに仕上げた自家製麺を使用。「かつカレー丼」(手前、820円)は、宗太鰹のダシが香る麺類食堂ならではの一品だ。麺類とともに味わいたい。

今、名古屋では従来の名古屋名物をアレンジした「新なごやめし」が注目を集めているが、逆に昔から名古屋の人々に親しまれてきた味のほうが新鮮に感じる。ただ、残念なのは夜の閉店時間が早いこと。その理由は単純だ。「翌日に出す料理の仕込みがあるから、どうしてもこの時間になってしまうんですよ」と、『とん八』の店主・彦坂泰朗さん。客の都合を店に求めない、というのが老舗の味を楽しむための流儀だろう。

 また、名古屋における昭和レトロで絶対に外せないのが、喫茶店。昭和30年代は喫茶店の黄金期といわれ、朝の時間帯にトーストや茹で卵などが飲み物に付くモーニングサービスが生まれたのもこの時期だ。

 市内には『洋菓子・喫茶 ボンボン 桜山店』をはじめ、昭和20年代から30年代にかけて開店した喫茶店が今もなお営業している。

昔ながらの甘いケーキと深煎りコーヒーでまったり

昭和35年に開店。東区泉にある本店から毎日運ばれる約20種類の洋菓子は、甘みがしっかりしているものの、後味はさっぱりしているのが特徴。なかでも生地にラム酒をたっぷりと染み込ませた「サバラン」(250円)が人気だ。

座り心地のよい年代もののソファに腰掛けて、分厚いカップに注がれたコーヒーや熱々の鉄板でいただくスパゲッティなどを楽しんでみてはいかがだろうか?