村田諒太【写真:Getty Images】

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プロ転向後20戦20KO勝ちのジョシュア、統一戦を控えるウシクは“勝ち組”

 プロボクシングの世界では、アマチュア時代の戦歴もキャリアに大きな影響を与える。中でも「五輪金メダリスト」は箔がつき、1992年バルセロナ五輪ライト級で金メダルを獲得したオスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)は“ゴールデンボーイ”の異名を取り、史上初の6階級制覇を果たすなどスーパースターとして活躍。現在はプロモーターとして成功している。海外メディアは、2012年ロンドン五輪の金メダル獲得者の“今”に注目。数多くのチャンピオンを輩出しているメダリストのなかで、WBA世界ミドル級王者の村田諒太(帝拳)も「勝ち組」となっている。

 カナダテレビ局「TVAスポーツ」は「ロンドンの金メダリストたちの現在地は?」と見出しを打って特集。「ボクシングの世界ではアマチュアでの戦績がプロキャリアの前兆となることが多い」と触れた上で、“現在”にスポットライトを当てている。

 ロンドン五輪のスーパーヘビー級を制したアンソニー・ジョシュア(英国)は、プロ転向後20戦20KO勝ち。身長198センチの恵まれた体格を生かし、WBA・IBF世界ヘビー級スーパー王者として君臨する。寸評では「伝説のウラジミール・クリチコ戦の輝ける勝利で彼は栄誉を授かった」と言及。2017年4月、聖地ウェンブリー・スタジアムで9万人の観衆が集まった元WBA、IBF、WBO世界ヘビー級スーパー王者ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)と戦い、11回TKO勝ちを収めた一戦が評価されている。

 ヘビー級金メダリストのオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)は、プロとして13戦全勝で現WBO世界クルーザー級王者。1月27日にWBC世界クルーザー級王者マイリス・ブリエディス(ラトビア)と統一戦を控えている“勝ち組”の1人だ。

エンダム撃破で「彼の国民を安堵させた」 一方で「我々ではない」と“辛口評”も…

 ライトヘビー級金メダリストのエゴー・メコンチェフ(ロシア)は、プロ転向後の戦績こそ10戦10勝だが、WBA世界ランクは15位。WBO世界ライトヘビー級王者にセルゲイ・コバレフ、IBF世界ライトヘビー級王者にはアルツール・ベテルビエフとロシア勢が君臨する中なかで遅れを取っており、寸評では「苦しい時間を生きている左利き」と苦境を伝えている。

 そして、記事ではミドル級金メダリストの村田についても触れている。竹原慎二以来、日本人史上2人目のWBAミドル級世界王者として君臨する32歳は、昨年10月にアッサン・エンダム(フランス)との“リベンジマッチ”に望み、7回終了後にTKO勝ちで因縁の相手を撃破。しかし、寸評では「アッサン・エンダム戦の7ラウンドでの勝利は彼の国民を安堵させた。だが、我々ではない」と辛口を効かせている。

 日本で絶大な人気を誇る村田は金メダル勢の中で“勝ち組”となったが、エンダム戦の勝利はカナダのボクシングファンを感心させるものではなかったとしている。

現王者に君臨する4人の中の1人として堂々の勝ち組に

 そのほか、ライト級金メダリストで現WBO世界フェザー級王者のワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)は、「ウクライナの機関車は世界最高のボクサーだと多くの人間に認められている」と絶賛され、ウェルター級金メダリストのセリク・サピエフ(カザフスタン)は「ボクシング界最高のボクサーと評価されながらも、興味深いことに、彼はプロの世界に飛び出さなかった。国民的英雄」と紹介されている。

 現在、プロボクシング界で王者に君臨しているのはジョシュア、ウシク、村田、ロマチェンコの4人。猛者揃いのロンドン五輪金メダル勢で、「MURATA」も堂々の勝ち組と言えるだろう。(THE ANSWER編集部)