障害者の“働き方改革”が進んでいる。2018年4月の制度改正によって、障害者の採用が拡大する見通しだ。障害者も働きやすい環境作りにいち早く取り組んできたという、KDDIグループの特例子会社、KDDIチャレンジドをレポートする。

少人数チームで目の届く体制を

 大企業には、一定の割合で障害者を雇うように義務づけられている。KDDIチャレンジドは、この雇用義務に対応するため発足した会社だ。

 同社では現在、さまざまな障害を持つ人が働いている。一般的な事務作業から、社内便の仕分け、社員向けカフェやマッサージ・針灸サービスなどその業務もさまざま。リサイクル品の携帯電話の分解、社員向けの携帯修理受付窓口など、携帯電話キャリアらしい業務もある。

 業務はそれぞれの障害の特性に応じて割り当てられている。例えば、発達障害や知的障害など、コミュニケーションに困難を抱える人達の中には、単純な作業を辛抱強く続けられるという、健常者には無い資質を持つ人もいる。リサイクル端末の分解・分別チームでは、そういった特性を持つ社員が活躍している。

リサイクル品の携帯電話を一台ずつ分解して仕分け業務。ショップで回収したドコモ・ソフトバンクの端末を分解することもあるという

 同社が特徴的なのは、精神障害者も多く働いていること。約120名の障害がある社員のうち半数が精神・発達障害者だ。一方で、職場定着が難しいとされてきた精神障害者だが、同社での職場定着率は8割程度と、特例子会社の平均よりも2割程度高い水準を維持しているという。

KDDIチャレンジド 事業1部長 池内公和氏

 その成功の要因をKDDIチャレンジドの池内公和氏は「業務環境を少人数のチーム体制にしたことが上手く機能しているのではないか」と分析する。

 同社では現在、14チーム体制でさまざまな業務を実施。1チームは原則5〜6名で、マネージャーがチームごとに1人つく体制だ。また、各スタッフには1カ月に1度、面談を実施。目に届く体制を作ったことで、社員にひとりひとりに障害の特性を理解したサポートが可能になったという。

グループ社員への理解を深める取組みも

 KDDIチャレンジドは、障害のある人の働く場を作るだけでなく、グループ社員と接し、障害に対する理解を深めてもらう役割も担っている。

 例えばKDDI本社の郵便物の仕分けは知的障害を持つスタッフが中心に担当。このスタッフが各フロアを回り、郵便物を届けている。

 グループ従業員向けの福利厚生でも、障害者スタッフが活躍している。東京・飯田橋の本社や新宿、大阪の同社ビルでは「カフェ・チャレンジド」を展開。知的障害のあるスタッフが中心となって社員の憩いの場を作っている。

支払いはau WALLETと各種電子マネーのみに対応。現金を数えるのが難しい障害がある人も働きやすいようにするためだという

 KDDI本社にはリフレッシュルームを備え、針灸やマッサージの国家資格を取得したスタッフによるサービスが受けられる。このサービスもKDDIチャレンジドの障害者のある社員が提供している。

5室ある部屋すべての備品が同じ配置。視覚障害のあるスタッフが迷わないようにするためという

 また、同社はKDDIグループの新入社員研修に協力。前述の携帯電話の分解を新入社員に体験してもらうことで、障害者に対する理解を深める取組みも行っている。

継続して採用拡大、業務開拓も進める

 現在、大企業では全従業員の2%以上の障害者を雇用することが義務づけられている。この法定雇用率は4月に2.2%へ引き上げられ、以降も段階的に引き上げられていく見通しだ。

 KDDIチャレンジドでは、この法定雇用率拡大に対応するため、継続して新卒採用・中途採用を行っている。障害のある人が働ける環境を整えるため、グループ企業とともに業務を開拓している。

 待遇は障害の内容や能力によっても異なるが、精神障害者では、大卒の新卒採用とに近い賃金水準になることもあるという。採用は、当初は契約社員として、能力に応じて翌年度から正社員雇用に切り替える形だという。能力評価も取り入れ、実績に応じてチームリーダーなどへのキャリアアップができるとしている。