GS敗退の日本人選手"自分はこんなもんじゃない"。悔しさが彼らを成長させる

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相手はツアー屈指のビッグサーバー。そのサービスゲームをいかにブレークするか。杉田祐一(日本/三菱電機)は試合時間4時間33分のほとんどを、試行錯誤とチャレンジに費やしたはずだ。

行き当たりばったりでブレークできる相手ではない。相手のサーブの狙いを、その時々のスコアや心理状態、過去の傾向と照らし合わせ、駆け引きしながら読まなくてはならない。そうやって、なんとかブレークのチャンスを作っても、サーブ1本でやすやすとしのがれてしまう。しかも、相手が手堅くサービスをキープしていくだけに、自分のサービスゲームを落とすことは許されない。杉田はそのフラストレーションや重圧と戦い、最後に力尽きた。

「早めにブレークできるセットがたくさんあったが、取り切れなかったのが敗因」と振り返った。神経戦を強いられた杉田は、セットがもつれればもつれるほど、消耗していった。一方、サーブが武器で短期決戦に強いイボ・カルロビッチ(クロアチア)は、タイブレークに持ち込めば自分のもの。だから、相手のサービスゲームではギャンブルプレーに出ることもできる。余裕がある分、サーブの調子は尻上がりによくなった。試合が進むにつれて、両者の精神的な消耗度の差があらわになり、10-12の結果となった。

杉田は記者会見でこう切り出した。「正直なところ、朝、風が吹いていなかったので、間違いなく(相手の)サーブはコンスタントに来ると考えたが、想像以上に精度が落ちなかった」。試合を終えてほどなく行う会見で、選手は理性より感覚優先で、試合の中での実感を言葉にすることが多い。だから杉田も、昨日までのように少しでも風が吹いていたら、という胸の内を素直に言葉にしたのだろう。そこから、彼の尋常でない悔しがり方を読み取ることもできる。

昨年大躍進した杉田は、「勝負のシーズン」と18年に臨んでいる。初戦で第8シードを破っていただけに、チャンス到来の思いもあっただろう。2回戦敗退は物足りなく、その悔しさから、どうして、よりによってこの相手と当たり、ビッグサーバー有利の環境で試合をしなければいけなかったのか、と憤ったに違いない。

だが、杉田は「こういう相手に勝たないと、ランキングの維持すらできない」と客観的な視点も忘れなかった。その意気や良し、である。

杉田と同じ2回戦で敗れた西岡良仁(日本/ミキハウス)は「正直、悔しいです。食らいついていけなかったのはショック」と話した。1回戦敗退のダニエル太郎(日本/エイブル)は、「今のままではトップ100を保つだけでも難しい」と危機感を覚え、「自分からアタックできるように」スタイル改造に着手していることを明かした。皆、現状に飽き足らず、ベクトルを上に向けている。

一定の手応えを得て、それでも"自分はこんなもんじゃない"と思えたなら、それ自体が大きな収穫となる。杉田にも、西岡やダニエルにも、その思いは強かっただろう。早いラウンドで敗れたとはいえ、筆者の目には、頼もしい選手たちと映った。

(秋山英宏)

※写真は「全豪オープン」2回戦で敗れた杉田祐一
(Photo by Jason Heidrich/Icon Sportswire via Getty Images)