22日に召集される通常国会を前に、民進党系野党は統一会派をつくることに失敗した(写真:kokouu / iStock)

大山鳴動してネズミ1匹も出ず……。民進党と希望の党の統一会派結成を巡る動きは、まさにこの通りの結果となった。1月17日に開かれた民進党の両院議員総会は3時間にわたったが、統一会派結成についての了承は得られず断念。これを受けて希望の党は、午後の両院議員懇談会・総会を全面的に非公開の懇談会に切り替えて、統一会派結成を見送った。

「1月22日の開会を目指した統一会派の結成に向けた協議・検討は、今日でもってひとまず終わりにしたい」

希望の党の玉木雄一郎代表は同日夕方、国会内で民進党との協議の打ち切りを宣言。さらに統一会派結成を前提にした松沢成文参議院議員らの「分党構想」も、とりあえずはなくなった。

そもそもこの統一会派構想はなぜ失敗したのか。そして、なぜ民進党系野党はまとまる力を失っているのだろうか。

3党での統一会派結成を目指したが…

ひとつは民進党の大塚耕平代表のガバナンス能力不足といえるだろう。

民進党は当初、立憲民主党も含めての3党の統一会派結成にこだわった。しかし立憲民主党は希望の党との「政策の差」を理由にこれを拒否。もっともそれは表向きで、実際には2017年10月の衆院選で希望の党に排除された恨みや、せっかく支持率が10%前後を維持しているのに、支持率が極めて低い希望の党や民進党と組むことでむざむざ落としたくないという本音が見えている。

そして今、表面上、立憲民主党は「希望の党抜きの統一会派結成」に前向きだが、これもうまくいく保証はない。

「福山問題が残っている。あの時に福山さんを追い出したりしなければ、立憲民主党と統一会派結成問題は生じなかった」

ある民進党関係者が悔やんだのは、民進党が昨年10月に立憲民主党に参加した福山哲郎参議院議員を院内会派(民進党・無所属の会)から外した件だ。もしこの時に福山氏の望み通りに民進党の院内会派に留めておいたなら、いまは「まるごとは認めない」と主張している立憲民主党との衆議院での統一会派結成は容易だっただろう。

もっともこれを決定したのは小川敏夫民進党参議院議員会長。「同じ会派で首班指名が異なることになる」というのが理由だった。福山氏排除の翌日に代表に就任した大塚代表に直接の責任があるわけではない。

各グループの動きを制することができなかった

むしろ大塚代表が責められるべきは、党内での各グループの動きを制することができなかった点だろう。

立憲民主党にシンパシーを感じている石橋通宏参議院議員、小西洋之参議院議員、杉尾秀哉参議院議員、白眞勲参議院議員、真山勇一参議院議員の5名は16日に連名で常任幹事会に対して「要望書」を提出し、希望の党の安保法制や集団的自衛権についての考え等について執行部に確認することを要求。同日夜に会合を開いて、受け入れられない場合は離党することを確認し、17日には「離党会見」の会場まで準備した。

また衆議院での院内会派である無所属の会も16日夜に「総会」を開き、希望の党との統一会派結成について反対し、それが強行される場合は退席することを決定している。

無所属の会は、代表を務める岡田克也元外相や安住淳元財務相など民主党政権時の中心メンバーも多い。選挙も強く、政治キャリアでは参議院議員である大塚代表よりも“格上”で、執行部としては無視できない存在だ。

その一方で無所属の会は昨年の衆院選で、希望の党から事実上はじかれたという経緯がある。とりわけ希望の党のチャーターメンバーである細野豪志元環境相などに対する反感は強いようだ。

細野氏への反感は以下のような形でも表面化している。たとえば、野田佳彦元首相は昨年11月27日に「股くぐりの真相」と題したブログの文章で、「三権の長経験者は遠慮してもらいたい」と希望の党への公認申請を辞退するように促した細野氏から「あれは上(小池百合子東京都知事)からのやむをえない指示」と弁明されたことを暴露している。

かねてから細野氏と馬が合わないと言われていた岡田氏も、「細野氏が希望の党から出ていけば、岡田氏は希望の党との連携を認めてもいいと考えているのではないか」と言われていた。

岡田氏の態度が180度変わった理由は?

16日に開かれた会見で民進党の増子輝彦幹事長は、「本日の役員会では無所属の会の岡田代表は地元日程のために欠席したが、審議に関与したので、内容には納得している」と述べ、希望の党との統一会派結成に反対しているとは認識されていなかった。その態度が180度変わったのは、同日からインフルエンザのため静養している細野氏が、希望の党残留を表明したからかもしれない。

「けじめをつけるべきだ」。17日午後、衆議院議員会館の中で岡田氏はこう述べた。この言葉は、希望の党と連携するためには、細野氏らが抜ける必要があるとの思いを込めているのだろうか。尋ねると、岡田氏は「それは言えない」と述べて自室に入っている。

思わせぶりな岡田氏とは対照的に、安住氏は本音を隠そうとはしない。両院議員総会の後、安住氏は民進党の議員に向かってこう述べたという。

「これはね。権力闘争なんだ」。16日夜には、立憲民主党の枝野幸男代表が自由党の小沢一郎代表と2時間半にわたって会談した。「これからの協力を話し合った」とされるが、万が一希望の党と民進党の統一会派が実現した場合、立憲民主党は野党第一党からすべり落ちる。その場合、リベラル勢力はどのように対処し、連携していくべきかという内容を話し合ったと思われる。

近親憎悪と打算の狭間で、虎視眈眈と次の展開が練られている。果たしてそれで日本の政治は変わるのか。コップの中の争いに興じるだけの野党の姿を目の当たりにした国民の多くは失望するしかないだろう。