新たなスタートとなる18年、石川はどんな一歩を踏み出すのだろう(撮影:村上航)

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石川遼の新シーズンがシンガポールでスタートする。選手会長にも就任。プロ生活の第2章ともいえる新たなステップ。石川はどんな一歩を踏み出すのだろう。

【連続写真】石川遼のニュースイングを前方&後方から!
米国男子ツアーに2013年から参戦し、5シーズン戦い抜いた石川。ケガ、不振もあって2017-18シーズンの出場権を逃した。17年終盤は国内ツアーに復帰したが、5戦連続の予選落ちと苦しい結果が待っていた。光が見えたのは、国内復帰6戦目の「ダンロップフェニックストーナメント」。予選突破を果たすと、これで勢いをつけて翌週の「カシオワールドオープン」では2位タイフィニッシュ。急速な復活劇を見せて多くのファンを興奮させたが、このときの石川に力を与えたのは、日本ゴルフ界のレジェンド・中嶋常幸の言葉だったのかもしれない。
闇をさまよっていたともいえる5試合連続予選落ち。自己ワーストとなるこの連続予選落ち記録は、国内復帰を機に取り組み始めたスイング改善にあった。改善を要するスイングになった原因は、大きく二つあった。一つは、13年の米ツアー参戦後、海外プレーヤーたちの飛距離に置いていかれまいと、知らず知らずのうちにスイングが変化していたこと。もう一つスイングに悪影響を与えたのは、12年から苦しめられていた腰痛だった。15-16シーズンで腰痛が悪化し、16年には公傷制度を利用してツアー離脱を余儀なくされた。この結果できてしまった“悪い”スイングを修正するため、国内復帰を機に改善に取り組むことを決意。全ては「勝てる状態で、また米国に戻る」ため。その強い意志があればこその決心だったが、半面、なかなか結果がついてこない状態にもどかしさを感じていたことだろう。
何かきっかけをつかめれば…、そんな思いもあったかもしれない。11月のダンロップ-で、「緊張した状態でやりたかった」との理由から、石川たっての希望で中嶋常幸らと練習ラウンドを回った。ラウンドを終えた石川は、「収穫がありました。木曜の試合でどうなるか楽しみです」と手ごたえをつかんだ様子。予選ラウンドでも中嶋と回り、見事予選突破。27位タイで大会を終えて復活を予感させた。中嶋との時間で、いったい何があったのか。
そのときのことを中嶋に聞いてみた。「技術的なアドバイスは一切していない」。中嶋が示したかったのは、「ナイスショットだけに注目させたい」ということだった。「オレはあのとき遼に、決して悪いショットについて何も言わなかった。そんなことを言っても何の意味もないし、役にも立たない。ただ、ナイスショットのときだけ『今の感じでいいな』と注目させた」と明かした。「オーバーかもしれないけど、自分が信頼できる人間から言われたことと、信頼できない人から言われたことっていうのは、同じことを言われたとしても違う結果が出てくる。だから、大事な人から『大丈夫だよ、今のままで』と言われたら、歩んでいる人は自信を持っていけると思う」。石川にとって中嶋が“信頼できる人”であることは疑いの余地もない。中嶋からの言葉が大きな支えとなった。もがき、思いつめていた何かが、レジェンドとの時間で解き放たれたのかもしれない。「俺のおかげでよくなったとは、これっぽっちも思いたくない」と中嶋は話すが、石川の復活劇に一筋の光を与えたのではないか。
米国下部ツアーからの再起を図る選択もあったが、石川が18年の舞台として選んだのは国内ツアーだ。その国内ツアーもいよいよ幕を開ける。初戦の地、シンガポールに降り立った石川にスイング改善の進捗を聞いてみると、「カシオのときは40%でしたが、今は50%ぐらい。試合をする中で精度を上げていきたい」と、着実に前進している様子がうかがえた。
「今年はプロデビューから11年目になりますが、僕にとっては新たなスタートでもある。これから先5年、10年の中で、メジャー制覇をすることが最大の目標です。それはずっと変わりません」。日本中を沸かせた少年も今や26歳。揺るぎない自信と誇りを取り戻すための第2幕。「2009年は4勝。今年は5勝したい」。再び、米国の地で。思い描く壮大なゴールに向けて、石川が新たな道を歩み始める。

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