腕時計に当たり前のように入っているブランドのロゴ。ロレックスやフランク・ミュラーなど、高級腕時計のステイタスだから絶対に必要という人がいる一方、デザイン的にいらないと思っている人もいるのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、そんな部分に着眼し、腕時計の価値を高めることに成功したオーダーメイド腕時計メーカー「スラント」の戦略・戦術を分析しています。

オーダーメイドの価値

オーダーメイド腕時計で話題の企業を分析します。

● スラント(オーダーメイド腕時計の製造・販売)

戦略ショートストーリー

腕時計で自己表現したい方をターゲットに「純粋にデザイン、組合せを楽しんでもらいたいという姿勢」に支えられた「自分の好きなデザインにできる」等の強みで差別化しています。

自分の好きなデザインで自由にカスタマイズするという楽しさをムービークリップなどを通して訴求することで、顧客から支持を得ています。

■ 分析のポイント

オーダーメイドの価値

オーダーメイドでつくることの大きな価値のひとつは自分に合った世界に唯一のものを身に着けることができるということでしょう。

スラントが特徴的なのは、オーダーメイドとはいえ、顧客自身がデザインしたものに、企業のロゴが入っていることを顧客はどう思うか、という疑問を持った着眼点です。その企業(ロゴ)が好きで購入される方もいるでしょうが、企業のロゴが入っていることで、その企業のものという印象がぬぐえないのも確かです。

スラントの考えとして、SLANTの腕時計は顧客がデザインしたものと位置付けています。つまり、顧客がデザインした腕時計は、顧客に帰属するということ、顧客のものであるということです。だからこそ、スラントは、自己表現の道具である腕時計にはロゴは不要と判断したわけですね。

腕時計ブランドでは、自社のロゴを入れるのが当たり前だと思いますが、スラントは、その当たり前に疑問を持ったところがすごいと思います。

そして、スラントが提供しているオーダーメイドの価値としてあげられるのが、デザインを楽しめるということです。スラントのウェブサイト(デザインスタジオ)ではインデックス(文字盤数字)の形、針の形、針の色など、細かいところまで選ぶことができます。言い換えると非常に自由度が高いということです。だからこそ、自由にデザインできる、デザインを楽しめるわけですね。

スラントは、設立が2017年5月と非常に若い会社ですが、今後、どのように成長していくのか注目したいです。

◆戦略分析

■戦場・競合

戦場(顧客視点での自社の事業領域):オーダーメイド腕時計デザインスタジオ競合(お客様の選択肢):セイコー、シチズン、Knot(ノット)など状況:国内の腕時計の市場規模は縮小傾向のようです

■強み

1.自分の好きなデザインにできる

デザインするのが楽しい、簡単にデザインできる細かい部分までこだわれる腕時計で自己表現できる

2.顧客に寄り添ったサービス

オーダーメイド品にも関わらず、顧客都合での返品が可能電話窓口の対応時間が9時〜21時(年中無休)

 ★上記の強みを支えるコア・コンピタンス

「純粋にデザイン、組み合わせを楽しんでもらいたいという姿勢」

商品に「SLANT」というロゴはつけていない簡単に自分だけのデザインがオーダーできる仕組み

上記のような、企業姿勢が強みを支えています。

■顧客ターゲット

自分だけのオリジナル腕時計が欲しい方、デザインを楽しみたい方腕時計で自己表現したい方

◆戦術分析

■売り物

「オーダーメイド腕時計」

ウェブサイト上で自分の好きなデザインを自由にカスタマイズして注文できます文字盤の色、インデックス(文字盤数字)の形、針の形、針の色、ベルトの色、尾錠(ベルトを留める金具)の色など、細かいところまでこだわることができます

→100,000通り以上の組み合わせが実現可能純粋にデザインや組み合わせを楽しんでもらうために、ロゴはつけていません女性の方や手首が細い男性の方に向けに、腕時計ベルトへの「追加の穴あけサービス」を実施しています

■売り値

標準価格:4万8,000円

■売り方

「デザインすることの楽しさを訴求」

1分でわかるオーダーメイド腕時計SLANTムービークリップフォトギャラリー投稿で2,000ポイントプレゼントキャンペーン

■売り場

自社ウェブサイトのみで注文受付(Original watch Design Studio)

商品注文以外を受け付ける電話窓口の開設時間は9:00〜21:00(年中無休)

→一般的な企業の電話窓口より長い時間を対応しています

※売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。

image by: 株式会社スラント - Home | Facebook

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