古い時代のギリシャでは音楽は「こころ」を媒介として肉体に影響を与えるものとして音楽療法の意義が意識されていたり、ルネッサンス期にはその時代の医師によって病気の予防として音楽が処方されていたという記録があります。中国においても「薬」の字の由来が「音楽」からきているとする説があるほど古い時代から音楽についての療法的な側面は大きかったようです。それが現代になり音楽の健康効果について科学な根拠が明らかななりつつあります。

音楽が健康に効果的とされる科学的な報告

◎音楽は間接的か直接的かを問わず免疫力を上げるはたらきがあることが報告されています。イギリスとドイツの共同研究で300人の被験者に50分間音楽を聞かせたところ、ウィルスなどが侵入しようとすると、血液中の細胞によって作られるたんぱく質の一種の「免疫グロブリン」が増加したという報告があります。

◎米科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」に掲載されたカナダ・マギル大学の研究チームの論文によると被験者8人に好きな音楽を聴いてもらったところ、快感や多幸感を感じさせる脳内ホルモンのドーパミン分泌の活性化が確認されたようです。

◎複数の研究で音楽を聴くことによってコルチゾールの減少がみられた報告されています。ストレスを受けるとコルチゾールが増大することが分かっています。コルチゾールは免疫力を抑制してしまい、糖尿病や感染症を誘発すると言われています。また自律神経のバランスを整えるセロトニンを抑制してしまいます。

◎音楽を聴くことで脳の血流状態を測る装置による測定で、意欲を高める前頭葉が活性化することが分かってきたようです。

どのように音楽を聴けば効果的なのか

基本的には好きな音楽を好きな時に聴くのがベストです。上で取り上げたカナダ・マギル大学の研究チームの論文には特に好きではない音楽の場合はドーパミンの活性化は見られなかったようです。ただし同じ音楽を聴き続けるとその効果は徐々に薄れていくことも分かってきました。そして脳内の聴覚を司る部分、運動を司る部分、全身の動きの調和を司る部分などが同時に活性化することも脳のスキャンで分かってきたようです。そのため、その時々のコンディションによって気分を高めたい時にはアップテンポの曲、リラックスしたいときにはスローなテンポの曲などを選ぶことで脳全体をうまくコントロールするのがいいでしょう。

古い時代から音楽による浄化作用は感覚的には知られていたようで、それが現代の科学によって裏付けられられつつあります。音楽を聴くという日常の何気ない行為にも健康パワーが隠れています。どんなタイミングでどんな音楽を楽しむか、いろいろなジャンルの音楽とシチュエーションを組み合わせてみることで相乗効果もあるはずです。今年はワンランク上の音楽の楽しみ方をみつけてみてくださいね。


writer:Masami