1920年に描かれたネアンデルタール人の想像図

写真拡大

「ネアンデルタールは弔意が無いから靖国神社への参拝拒否」「児童ポルノは間違いなくネアンデルタール」――こんな「ぶっ飛んだ」ツイートを連発するアカウントが、今ネットの一部で注目を集めている。

その名は、「橋本琴絵」。なんと、希望の党から2017年10月の衆院選に出馬(落選)した現役政治家だ。いったいなぜこんなツイートを? J-CASTニュース編集部が取材を試みると......。

「ネアンデルタールは人間ではありません」

「希望の党 幹事 広島県第五区 広島大附属福山・九州大学卒 ツイッターではプライベートなことを呟きます(※ハートマーク)」

プロフィールには、こんな一文が。

件のアカウントは衆院選直前、2017年9月に開設されていたが、その後のツイートはほとんど確認できず、積極的につぶやき始めたのは18年1月4日から。当初は国内外のニュースなどへのコメントが中心だったが、14日ごろから「彼ぴ」「だぁりん」といった言葉づかいや、絵文字も交えた独特の口調で、「ネアンデルタール人」についての持論を展開し始めた。

約4万年に消滅したとされるネアンデルタール人は、現在の人類の先祖たちとは別系統とされ、子孫を残すことなく絶滅したとする説が有力だった。しかし近年は「新人との間でわずかな混血をした証拠がある」(広辞苑第七版)とされ、私たちにも、そのDNAが受け継がれているともいわれる。

橋本氏のネアンデルタール人についての「主張」を、いくつかツイッターから紹介すると――。

「ネアンデルタールは絶滅したって思ってる人多いかもしれないけど、ネアンデルタールはいまも体の中にいるよ。その血がネアンデルタールとおんなじことして人類社会に危害を加えているよ」
「『ネアンデルタールは人間ではありません。極悪非道の種族です』
・家族の概念無し
・弔意がない(ネアンデルタールは弔意が無いから靖国神社への参拝拒否)」
「児童ポルノは間違いなくネアンデルタール。許せないよね」(以上、一部略)

ネアンデルタール「差別」との議論も起こるが

上記のように靖国神社参拝から児童ポルノ、またほかのツイートも含めれば児童虐待や愛国心にいたるさまざまな問題を、「ネアンデルタール人」にからめるというツイートの数々は、ネットの耳目を集め、人種差別ではないか、という批判や、ネアンデルタール人に対する理解が不正確ではないか、という指摘などが相次ぎ、炎上気味に。しかし当人は意に介さない様子で、

「ねえ、いま日本では(例えば)在日韓国・朝鮮人の方々へ対する憎悪と、逆に反日で日本人に対する憎悪があるでしょう?けどね、韓国・朝鮮人も日本人も、ネアンデルタールの血は混じってる。汚い獣の血が混じっているの。だから、獣が自分の中にいることをみんな認めて。そすれば、平和と愛が訪れるよ」(16日)

など、ネアンデルタール論を展開し続けている。

橋本琴絵氏は1988年生まれ、17年の衆院選に広島5区から希望の党公認で立候補、生後3カ月の息子を抱いて選挙戦に臨んだものの、前職の自民・寺田稔衆院議員にトリプルスコアの敗戦を喫した。現在も希望の党に所属し、「幹事」の職にあるという。

ツイッターには本人のフェイスブックのほか、毎日新聞の衆院選特集ページにもリンクが貼られており、第三者による「なりすまし」ではないようだが......。

「ダイバーシティ社会の在り方」訴えたい?

J-CASTニュース編集部が取材を申し込むと、橋本事務所から回答が寄せられた。

まず、件のアカウントは「橋本琴絵事務所広報スタッフ」が主に運営しているものだという。また、軽い口調も交えたその投稿については、希望の党の支持率が低迷する中で、「ありきたりの表現方法では国民の皆さまへ政策を訴えることはままならない」との認識から、

「スタッフ一同で多角的な検討した結果、橋本琴絵が20代の女性という属性を考え、『(私どもの考える)政治的関心のない20代女性と同じような表現方法で訴えれば政策や主張を効率的に訴えることが出来るのではないか』と考え、同年代の女性たちのツイート表現を総合的に勘案し、『国民目線での主張、政治家特有の上から目線ではなく、国民の皆さまと対等な視点、むしろ国民の皆さまを見上げる視点で政策を訴えたい』との結論から、このような形となりました」

と説明する。

問題の「ネアンデルタール」論については、ネアンデルタール人の遺伝子が現在の人類にも伝わっているという上述した近年の研究を踏まえ、以下のように「真意」を語る。

「2パーセントから4パーセントの(ネアンデルタール由来)遺伝子が、私たちにどのように影響しているのか、それとも全く影響していないのか、といったことは研究中・未知数のものでございます。このことから、あえて人類とは別種とされる『ネアンデルタール』との概念を出すことにより、ダイバーシティ社会の在り方や、他者との違いを認め合う共生社会の在り方について、皆さまと意見を深めるきっかけになればとの思いから、このような運びになりました」

また、批判に対しては「様々な指摘があることを真摯に」受け止めているとし、「今後ともその分野の専門家の指導を受けつつ、より情報の正確性の向上に努めたく思っております」とした上で、「人種差別」との指摘には、

「一般的な分類学の定義より、ネアンデルタールは『人種(ホモサピエンスの一種)』にあたるとする科学的理由はいまだ無いことから、人種差別にあたる合理的理由もないものと私どもは考えております」

と反論した。